暮らしのなかの農薬汚染

食べもの・水から住まい・街まで

食品中の残留農薬,シックハウスやシックスクール,化学物質過敏症などを検証し,脱「農薬」社会を提案.

暮らしのなかの農薬汚染
著者 河村 宏 , 辻 万千子
通し番号 619
ジャンル 書籍 > 岩波ブックレット
日本十進分類 > 社会科学
刊行日 2004/03/05
ISBN 9784000093194
Cコード 0336
体裁 A5 ・ 並製 ・ 72頁
在庫 品切れ
農薬は,いまや食べ物だけでなく,日々の暮しの様々なところで使用されている.果たして,それだけ使う必要はあるのだろうか.食品や水のなかの残留農薬,シックハウスやシックスクールなど住居の問題,さらには化学物質過敏症やアレルギーへの影響など農薬のもつ多様な側面を検証し,脱「農薬」社会を提案する.

■著者からのメッセージ

 農薬というと,農作物に使用するものというイメージが強く,消費者は主に残留農薬に関心を持っています.そのため,安全な食べものを求めてそれなりの苦労をしていても,業者の言うまま床下に使用したシロアリ防除剤や隣家がガーデニングで散布した農薬で,健康を害することには,気がつきにくいものです.
 農水省は,昨年,住宅地周辺での農薬使用による住民の健康被害を防止するための通知を出しました.その中で,農家や街の散布業者から家庭菜園にいたるすべての農薬使用者に対して,病害虫に強い品種,発生しにくい土づくり,人手による害虫の捕殺,防虫網など物理的防除手段の活用などにより,農薬使用の回数及び量を削減するよう,「減農薬」を求めています.このことは,生活環境で使用されている,農薬と同じ成分を含むシロアリ防除剤や不快害虫用殺虫剤などについてもあてはまります.
 農薬は,食べものからの摂取も問題ですが,実は,汚染された空気を吸うほうが,より強く毒性が現われます.農薬や殺虫剤をあびて,慢性中毒や化学物質過敏症になった人もいます.被害を受けてからでは遅すぎます.身の回りで使用される農薬類の危険性をぜひとも多くの人に知ってもらい,薬剤に頼らない「脱農薬」生活を築き上げてほしいと思います.
はじめに

第1章 街の農薬汚染
  (1)農薬散布/(2)シロアリ防除剤/(3)防除業者による室内での殺虫剤散布/(4)防疫用殺虫剤とウエストナイル熱/(5)シックスクール/(6)その他の用途

第2章 農薬の毒性
  (1)急性毒性/(2)有機リン系農薬類による慢性中毒/(3)化学物質過敏症・アレルギーなど/(4)発ガン性/(5)妊娠中の仔(子)への影響/(6)生殖毒性/(7)環境ホルモン作用/(8)ADI(一日摂取許容量)

第3章 食べもの・水道水と残留農薬
  (1)農薬取締法と農薬登録制度/(2)改定された農薬取締法/(3)消費者の知らないところで/(4)食品衛生法と残留農薬基準/(5)残留農薬のポジティブリスト制度/(6)農薬による水系汚染と水道水

第4章 脱農薬をめざして
  (1)もうひとつの道/(2)毒性評価と規制のあり方
河村 宏(かわむら・ひろし)
環境問題研究者(専門化学)で,市民団体・反農薬東京グループの科学分野担当.
辻 万千子(つじ・まちこ)
市民団体・反農薬東京グループの代表.
共著に『農薬毒性の事典』,『残留農薬データブック』(以上,三省堂),『親子で読む 環境ホルモンってなあに?』(毎日新聞社)などがある.
反農薬東京グループは,農薬をはじめとする化学物質による健康被害や環境汚染に警鐘をならし,その使用を減らすことを目標に活動している.毎月,機関誌『てんとう虫情報』を,随時,テーマ別解説書「反農薬シリーズ」を発行している.
連絡先 〒202-0021 西東京市東伏見2-2-28-B
TEL/FAX:0424(63)3027
email:mtsuji@jcom.home.ne.jp
http://home.e06.itscom.net/chemiweb/ladybugs/

書評情報

高知新聞(朝刊) 2004年5月14日
ふぇみん 2004年4月25日号
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