臨界事故 隠されてきた深層――揺らぐ「国策」を問いなおす


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編集部だより
著者からのメッセージ

 東海村のJCOで「臨界事故」が起きたのは1999年9月のことです.それから5年の月日が流れようとするころ,美浜原発で悲劇が繰り返されてしまいました.臨界事故の意味は真剣に受け止められてきたのでしょうか.
 私たちはJCO臨界事故がなぜ起きてしまったのか,考えつづけてきました.国によるJCO事故調査委員会の作業は,その疑問に答え切るのに十分ではありませんでした.国による安全審査はどうなっていたのか.なぜ危険な作業が発注されていたのか.作業者の命を奪ったものは何かを問う「JCO刑事裁判」を追跡していくことで,事故へと至るメカニズムが少しずつ見えてきました.
 裁判によって集められた無数の文書や証言があぶり出したのは,あまりに空洞化した「安全」の実態でした.そしてなぜウラン溶液を「沈澱槽」に入れてしまい事故が起きたのかについても,ひとつの理由が浮かび上がってきたのです.
 いま,続発する事故・事件のなかで,何かがおかしい,どうすればよいのかという疑問を多くの人が共有しているはずです.激動のなかにある原子力政策,ひいては現代社会の「安全」のあり方に重いメッセージを発しつづけている「青い光」の教訓を,今こそ広く訴えかけたいという思いでこのブックレットを作りました.



著者プロフィール

原子力資料情報室(げんしりょくしりょうじょうほうしつ)
1975年設立.原子力問題にかんする独立の民間研究団体.岩波ブックレットに『恐怖の臨界事故』 『検証 東電原発トラブル隠し』がある.JCO臨界事故の解明のため,原子力資料情報室と原水爆禁止日本国民会議(原水禁)の呼びかけのもとJCO臨界事故総合評価会議が在野の研究者により組織された.評価会議は2000年『JCO臨界事故と日本の原子力行政――安全政策への提言』(七つ森書館)を出版.その後もトヨタ財団の研究助成により刑事確定訴訟記録を分析するなど研究を続けている.



編集部から

 岩波書店では,JCO臨界事故の直後に『恐怖の臨界事故』(原子力資料情報室編,岩波ブックレットNo.496)を刊行,事故の実態とその影響を生々しく伝えました.『臨界事故 隠されてきた深層』は,いわばその続編にあたります.2名の死者を出した臨界事故から5年,原子力資料情報室は膨大な裁判資料を丹念に分析,隠されてきた事故原因の深層を明らかにし,わが国の原子力政策への提言をまとめています.
 『臨界事故 隠されてきた深層』をお読みいただいたうえで,『恐怖の臨界事故』もご覧いただければ,臨界事故に対する理解がいっそう深まることでしょう.ぜひご一読ください.



目次

はじめに
どんな事故だったのか
事故の背景
事故の芽は安全審査に
作業工程の変化
最後の一線――沈澱槽への道
おわりに



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