年金を問う

本当の「危機」はどこにあるのか

年金制度の構造的問題を1からわかりやすく解説,根本的改革のためには何が必要かを明らかにする.

年金を問う
著者 保坂 展人
通し番号 637
ジャンル 書籍 > 岩波ブックレット
日本十進分類 > 社会科学
刊行日 2004/10/05
ISBN 9784000093378
Cコード 0336
体裁 A5 ・ 並製 ・ 72頁
在庫 品切れ
参院選の結果は「年金不信」の根深さを見せつけた.国民にさらなる「痛み」を強いる「年金改革法」,不透明な「年金積立金」の行方,官僚のムダ遣いと社会保険庁問題……他の「年金ハウツー本」とは一味違って,わかりにくい年金制度の構造的問題を1からわかりやすく解説,根本的改革のためには何が必要かを明らかにする.

■著者からのメッセージ

 年金問題の根底には,国民年金・厚生年金あわせて,147兆円にのぼる年金積立金の問題がある.年金の給付以外の目的で使用してはならない「国民からの預かり金」だ.
 今年の年金国会では「保険料の流用」と「国会議員の年金未納」の話題にまぎれて,147兆円の積立金を預かる「年金積立金管理運用独立行政法人」が成立したことは,ほとんど知られていない.年金官僚と天下りOBによって,年金積立金は運用される.株式投資は,資金を増やすどころか1986年からの累積で二兆円の赤字.また今後,米国債も買い続ける.さらに,日本道路公団など特殊法人の救済資金である財投債を(現在28兆所有)も買う.147兆円の年金積立金という財産は,ボロボロに朽ちてしまうのではないか.「年金官僚の百年安心」の秘密は,戦前の年金制度設計時にすでに盛り込まれていた.
 年金積立金を検証し,国民のための年金積立金を取り戻す市民活動を提唱する.
はじめに――年金不信の高まりのなかで
I 年金は戦争のドサクサにまぎれて発足した――年金小史
II 「年金積立金」という巨大資金の誕生
III グリーンピアという夢物語
IV 年金住宅融資の行方
V 「年金広告費」と監修ビジネス――年金汚職の温床
VI 年金積立金の運用――「財投改革」以前,以後
VII 国有メガバンクの誕生――年金積立金管理運用独立行政法人
おわりに――年金を国民の手に取り戻そう
保坂 展人(ほさか・のぶと)
1955年生まれ.自身の中学校時の内申書をめぐり内申書裁判を闘う.80年代に子どもの現場を歩き伝えるジャーナリストとなり,学校問題のルポを次々と発表.96年から2期7年間,衆議院議員として活動,質問回数は312回を数えた.国家公務員倫理法,児童虐待防止法などの立法活動に奔走する.また,年金積立金のあり方を予算委員会などで追及し続けた.03年秋からは再びジャーナリストとして教育・年金問題を中心に活動中.近著に『年金のウソ――隠される積立金147兆円』(ポット出版).
http://www.hosaka.gr.jp
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