この時代に生きること,働くこと 9.11犠牲者遺族とジャーナリストのメッセージ

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編集部だより
著者からのメッセージ

 どうかこの小さな本を開いて,あなたも二つのライブ会場へ出かけてください.
 一つ目のライブは,9・11犠牲者遺族である中村佑さんが大阪で行った講演です.中村さんは,2001年9月11日,米国同時多発テロでご次男を失いました.事件の第一報を知った驚き,星条旗があふれる9・11直後のニューヨーク,我が子を失った思いなどを淡々と語る中村さんが,最後に「テロや戦争をなくす一つの鍵」を示すとき,悲しみに裏打ちされたその言葉は,幾百の平和論をこえて心を打ちます.
 二つ目のライブは,島本が福岡で行った講演です.ジャーナリストとして労働と戦争を取材してきた島本は「戦争のリアル」「戦争と労働の関係」について語ります.切り分けて語られることの多い「格差と改憲」がここでは一体となり,雇用破壊の社会が戦争への道をつくり,改憲が日々の労働を変えていく未来が浮かび上がります.全国を回っての講演が驚きを呼び続けたため,この出版に踏み切りました.
 頻発するテロや戦争をどう把握するか.それにどう対処するか.そして私たちは何のために働いていくのか.日本と日本人はいままさに岐路に立っています.そんないまだから,どうしても伝えておきたいメッセージ.著者二人がライブで語りかける言葉を受けとめて,どうかあなたも「日本の明日を開く鍵」について考えはじめてください.
【島本慈子】


著者プロフィール

中村 佑(なかむら・たすく)
1941年生まれ.山口県立豊浦高等学校卒業後,東京ムービー入社.実父の逝去に伴い66年より郷里にて小さな縫製工場を経営し,2005年に引退.9・11のとき,次男の匠也さん(当時30歳)をニューヨーク・世界貿易センタービルの崩壊で失った.

島本慈子(しまもと・やすこ)
ジャーナリスト.1951年大阪市生まれ.京都府立大学文学部卒業.雑誌記者を経て,2001年フリーに.著書に『子会社は叫ぶ』(筑摩書房),『倒壊』(ちくま文庫),『住宅喪失』(ちくま新書),『ルポ解雇』『戦争で死ぬ,ということ』(以上,岩波新書)など.


編集部よりメッセージ

 2007年5月14日,憲法改正の手続きを定める国民投票法が成立しました.
 新聞には「最短で国民投票は2011年」との見出しが踊り,安倍首相の「来る参院選は憲法改正を公約に戦う」との言葉が報道されています.改憲をめぐる状況は新たな局面に入ったと言えるでしょう.
 「改憲」.より踏み込んで言うならば9条の「改正」.それによって,いったい何がもたらされるのでしょうか? このブックレットでは,改憲と私たちの生活が,経済の構造やその他のさまざまな政策によって深く結びついていることを述べるとともに,「いま」という時代だからこそ,平和を築くために何が必要であるのかを考えてほしい,と強く訴えています.
 国民投票法の施行までの,これからの3年は,私たち一人ひとりが,いったいどのような社会で生きていきたいのか,そしてどのような社会を次世代に手渡したいのか,厳しく問われる時期となります.日本の「これから」を考える際の材料として,著者お二人の渾身のメッセージに耳を傾けてください.できる限り多くの方に手にとっていただきたい,心からそう思っています.
【編集部 太田順子】


目次

I グラウンドゼロが語るもの 中村 佑
〔2006年9月2日 豊中市ルシオーレホール 『今,テロを語る』実行委員会主催〕

II いま〈労働・テロ・戦争〉の何を語るか 島本慈子
〔2007年3月6日 西日本新聞社会議室 福岡マスコミ文化情報労組会議主催〕

各地の質疑応答から



■編集部よりお詫びと訂正
本書39ページ掲載の写真は,キャプションに「著者提供」とありますが,正しくは「主催者提供」です.訂正するとともに,著者,写真提供者,読者の皆さまにお詫び申し上げます.
(編集部)



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