いのちの対話 医者と患者の絆

大ベテランの医師二人と,病を得て左手での表現を切り拓いたピアニストが語りあう,希望の医療.

いのちの対話 医者と患者の絆
著者 鎌田 實 , 日野原 重明 , 舘野 泉 , 村上 信夫
通し番号 729
ジャンル 書籍 > 岩波ブックレット
日本十進分類 > 社会科学
刊行日 2008/06/05
ISBN 9784000094290
Cコード 0336
体裁 A5 ・ 並製 ・ 56頁
在庫 品切れ
患者の希望や幸せを大切にする医師に出会いたい──.お任せ医療ではなく,患者と医療者がチームとなって,ともに病気に向きあうには,どうしたらよいのだろうか.大ベテランの医師二人と,病を得て左手での表現を切り拓いたピアニストが,いのちに寄り添う医療が広がることを願い,語りあう.NHKラジオの好評番組を書籍化.

■編集部からのメッセージ

 NHKラジオ「鎌田實 いのちの対話」は,『がんばらない』『あきらめない』などの著作で知られる医師の鎌田實さんをホスト役に,村上信夫アナウンサーの司会のもと,さまざまなゲストが“いのち”について語りあう番組です.全国各地から公開生放送されるこの番組は,回を重ねるごとに,多くの反響を呼んでいます.
 本書は,過去の「いのちの対話」の放送より,日野原重明さんと舘野泉さんをゲストに迎え,「医者と患者の絆」をテーマとして行った対話を,再構成して編んだものです.
 日野原重明さんは,90歳を超えてなお現役で活躍される医師.若いころに何度も病を得た苦労が,医師として患者に接するにあたり,恩寵と感じられるようになったことなど,長年の思索と実践に基づく言葉が,胸を打ちます.
 舘野泉さんは,フィンランドを拠点に国際的に活躍するピアニスト.これまでリリースされたLP・CDは100枚を上回ります.2002年に脳出血に倒れましたが,左手による演奏で見事に復活をとげ,独自の音楽世界を切り拓かれました.病ののちに新たな人生を生きる体験を,音楽家ならではの魅力的な表現で語られています.
 「医療はいままで,医師が絶大な権限をもって,患者さんそれぞれの生き方まで決めることが多かった.しかし,そういうお任せ医療は,もう時代遅れだ」(鎌田實さん,巻頭エッセイより)
 医者として,患者として,深い経験を持つ三人の対話からは,医学的な治療だけではなく,医者と患者が絆を結ぶことこそが,病に立ち向かい,その人がその人らしく生きるための,大きな力となるのだということが,熱く伝わってきます.
 読者の皆さんも,本書を通じ,また,ご自身の経験を顧みながら,幸福な医療とは何か,ともに考えていただければ嬉しく思います.
 なお,以降もNHKラジオ「鎌田實 いのちの対話」より,岩波ブックレット化を予定しているものがあります.どうぞご期待ください.
巻頭エッセイ
鎌田 實

病気が拓く新しい人生
互いを結ぶ言葉の力
見えないものをこそ
鎌田 實,日野原重明,舘野 泉,村上信夫

「いのちの対話」追記
ありのままと融通無碍
村上信夫

巻末付録 舘野泉ディスコグラフィー
鎌田 實(かまた・みのる)
1948年,東京都生まれ.東京医科歯科大学医学部卒業.諏訪中央病院名誉院長.一貫して「住民と共に作る医療」を実践するとともに,チェルノブイリ,イラクへの医療支援も行う.『がんばらない』,『あきらめない』,『なげださない』など著書多数.
日野原重明(ひのはら・しげあき)
1911年,山口県生まれ.京都帝国大学医学部卒業.聖路加国際病院名誉院長・同理事長.キリスト者として患者に寄り添う医療に取り組み,90歳を超えてなお現場に立つ.『十歳のきみへ――九十五歳のわたしから』,『いま伝えたい 大切なこと』など著書多数.
舘野 泉(たての・いずみ)
1936年,東京都生まれ.東京藝術大学ピアノ科卒業.ピアニスト.フィンランドを拠点に活動し,各国で高い評価を受けている.脳出血の闘病後,左手で新たな音楽世界を切り拓いた.著書に『ひまわりの海』,『左手のコンチェルト――新たな音楽のはじまり』など.
村上信夫(むらかみ・のぶお)
1953年,京都府生まれ.明治学院大学社会学部卒業.NHKチーフアナウンサー.「鎌田實 いのちの対話」,「ラジオビタミン」などを担当.著書に『元気のでてくることばたち!』,『おやじの腕まくり』,『言えなかったありがとう.』などがある.

書評情報

がん治療最前線 2008年9月号
丹波新聞 2008年8月21日号
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