チョコラ! アフリカの路上に生きる子どもたち
少年らは今日も朝から屑拾い.無邪気に,ちゃっかり,したたかに.実力派監督が,躍動する生命を活写!
「チョコラ」とはスワヒリ語で,「拾う」=ストリートチルドレンを意味する.少年らは大きな袋を下げ,今日も朝から屑拾い.食っていくためのしたたかさ,仲間との無邪気なふざけ合い,警察を煙に巻きボランティアの援助はちゃっかりいただく.そんな彼らに,実力派ドキュメンタリー監督が密着.5カ月の長期取材の日々を描く.
■編集部からのメッセージ
ドキュメンタリー映画『チョコラ!』が2009年5月9日(土)より,渋谷ユーロスペースでロードショー.引き続き全国各地の劇場で順次公開されます(新潟・札幌・大阪・京都・名古屋・徳島・沖縄ほか).
http://www.chokora.jp/
監督は,重症心身障害児施設びわこ学園の日々を描いた『わたしの季節』(2004年)などで知られる小林茂監督(54).今回の映画『チョコラ!』は,アフリカ・ケニアのストリートチルドレンが主人公ですが,なかなかにしたたかで,そのくせ純な少年らが,わが身一つで日々を生きるパワーに圧倒される作品です.
「チョコラ」とは,スワヒリ語で「拾う」という意味.転じて,ストリートチルドレンを指します.舞台は,ケニアの首都ナイロビから車で1時間の地方都市ティカ.少年たちはまだ薄暗いうちに起き出し,鉄,プラスチックなどのクズ拾い.それを回収業者に持ち込み,食うための金に換えます.あるいは,街ゆく人にお茶代をねだったり.「こら,チョコラ!」とののしられても,めげてはいません.映画には余計な説明はなく,少年たちをとらえる映像の力でぐいぐい観客を引き込みます.
撮影は5カ月(2006年6月~11月)にわたる長期のもの.しかも小林監督は腎不全のため人工透析直前の身でした.現地で子どもたちの支援をしている知人・松下照美さんの撮影依頼がきっかけといいますが,いったいどのように子どもたちと関係を結んでいったのでしょうか.ブックレットでは,小林監督の視点から子どもたちと接した日々のことが生き生きと語られます.
映像と文字――.異なる表現法ではありますが,それぞれの特長を生かし,それぞれに躍動感あふれる作品が完成しました.
ブックレットでは,現地でNGOモヨ・チルドレン・センターを主催する松下照美さん,国際政治経済学者の勝俣誠さん,文化人類学者の鈴木裕之さん,アフリカ友の会の徳永瑞子さんなど,アフリカと深いかかわりを持つ4名の方に,コラムを執筆いただいています.カラー写真も豊富に掲載.
単独の読み物としてもおもしろい! 映画と併せて読むことができれば,いっそう楽しい! そんなブックレット『チョコラ! アフリカの路上に生きる子どもたち』をぜひ手にとっていただければと思います.
■編集部からのメッセージ
ドキュメンタリー映画『チョコラ!』が2009年5月9日(土)より,渋谷ユーロスペースでロードショー.引き続き全国各地の劇場で順次公開されます(新潟・札幌・大阪・京都・名古屋・徳島・沖縄ほか).
http://www.chokora.jp/
監督は,重症心身障害児施設びわこ学園の日々を描いた『わたしの季節』(2004年)などで知られる小林茂監督(54).今回の映画『チョコラ!』は,アフリカ・ケニアのストリートチルドレンが主人公ですが,なかなかにしたたかで,そのくせ純な少年らが,わが身一つで日々を生きるパワーに圧倒される作品です.
「チョコラ」とは,スワヒリ語で「拾う」という意味.転じて,ストリートチルドレンを指します.舞台は,ケニアの首都ナイロビから車で1時間の地方都市ティカ.少年たちはまだ薄暗いうちに起き出し,鉄,プラスチックなどのクズ拾い.それを回収業者に持ち込み,食うための金に換えます.あるいは,街ゆく人にお茶代をねだったり.「こら,チョコラ!」とののしられても,めげてはいません.映画には余計な説明はなく,少年たちをとらえる映像の力でぐいぐい観客を引き込みます.
撮影は5カ月(2006年6月~11月)にわたる長期のもの.しかも小林監督は腎不全のため人工透析直前の身でした.現地で子どもたちの支援をしている知人・松下照美さんの撮影依頼がきっかけといいますが,いったいどのように子どもたちと関係を結んでいったのでしょうか.ブックレットでは,小林監督の視点から子どもたちと接した日々のことが生き生きと語られます.
映像と文字――.異なる表現法ではありますが,それぞれの特長を生かし,それぞれに躍動感あふれる作品が完成しました.
ブックレットでは,現地でNGOモヨ・チルドレン・センターを主催する松下照美さん,国際政治経済学者の勝俣誠さん,文化人類学者の鈴木裕之さん,アフリカ友の会の徳永瑞子さんなど,アフリカと深いかかわりを持つ4名の方に,コラムを執筆いただいています.カラー写真も豊富に掲載.
単独の読み物としてもおもしろい! 映画と併せて読むことができれば,いっそう楽しい! そんなブックレット『チョコラ! アフリカの路上に生きる子どもたち』をぜひ手にとっていただければと思います.
1 アフリカの大地に身を投じる
チョンバの水浴び/ケニアへ/「Buy me a chai」/「漬物はいかがですか」/「モヨ・チルドレン・センター/チョンバの家出の理由/チョンバが消えた/ムトゥリの脅し/焦りと血尿とカメラマン
2 カメラが回りはじめた
チェゲとアントニー/油にまみれた子どもたち――ムキリテグループ/ドンゴの鼻歌/賑やかな食堂/タウングループ/探索,アジト?発見/撮影に非難ごうごう
〈コラム〉生きることへの限りない肯定(勝俣誠)
3 子どもたち,それぞれの物語
大木食堂での密談/ジュリアスの居場所/リーダー格マウラ/マウラの希望/マウラの急死/家出を繰り返すアンドリュー/父親の詰問
〈コラム〉モヨ・チルドレン・センターの日々(松下照美)
〈コラム〉ストリートの「知性」(鈴木裕之)
4 ある家族の祈り
スラムのキオスクとマーシー/ルーシーの強い意思/「小さな幸せ」の風景/友だちの訪問/暗闇に浮かぶ時間
〈コラム〉エイズ孤児アラン(徳永瑞子)
5 世界の片隅の小さな「祭り」
ムキリテの夜はふけてゆく/ピラフパーティ/「チョコラ」の歌/ドキュメンタリー映画「チョコラ!」
チョンバの水浴び/ケニアへ/「Buy me a chai」/「漬物はいかがですか」/「モヨ・チルドレン・センター/チョンバの家出の理由/チョンバが消えた/ムトゥリの脅し/焦りと血尿とカメラマン
2 カメラが回りはじめた
チェゲとアントニー/油にまみれた子どもたち――ムキリテグループ/ドンゴの鼻歌/賑やかな食堂/タウングループ/探索,アジト?発見/撮影に非難ごうごう
〈コラム〉生きることへの限りない肯定(勝俣誠)
3 子どもたち,それぞれの物語
大木食堂での密談/ジュリアスの居場所/リーダー格マウラ/マウラの希望/マウラの急死/家出を繰り返すアンドリュー/父親の詰問
〈コラム〉モヨ・チルドレン・センターの日々(松下照美)
〈コラム〉ストリートの「知性」(鈴木裕之)
4 ある家族の祈り
スラムのキオスクとマーシー/ルーシーの強い意思/「小さな幸せ」の風景/友だちの訪問/暗闇に浮かぶ時間
〈コラム〉エイズ孤児アラン(徳永瑞子)
5 世界の片隅の小さな「祭り」
ムキリテの夜はふけてゆく/ピラフパーティ/「チョコラ」の歌/ドキュメンタリー映画「チョコラ!」
小林茂さんのドキュメンタリー監督としての歩みを語った本に,岩波ジュニア新書『ぼくたちは生きているのだ』(2006年7月,定価819円)があります.今回の映画撮影のためケニアに渡る直前に執筆されたもの.『チョコラ!』に至る道がわかります.
小林茂さんのドキュメンタリー作品『わたしの季節』の舞台,「びわこ学園」(現・びわこ学園医療福祉センター野洲)でくりひろげられた,何とも豊かな粘土活動を紹介した田中敬三『粘土でにゃにゅにょ』(岩波ジュニア新書,2008年7月,定価819円)も評判です.
ケニアで活動する国際NGOモヨ・チルドレン・センターについては,同会を応援する会の下記ホームページに紹介があります.
http://moyo.jp/小林 茂
1954年,新潟県生まれ.ドキュメンタリー映画監督・カメラマン.撮影作品『阿賀に生きる』(佐藤真監督),監督作品『こどものそら』『ちょっと青空』『わたしの季節』『チョコラ!』など.著書『ぼくたちは生きているのだ』(岩波ジュニア新書)ほか.
小林茂さんのドキュメンタリー作品『わたしの季節』の舞台,「びわこ学園」(現・びわこ学園医療福祉センター野洲)でくりひろげられた,何とも豊かな粘土活動を紹介した田中敬三『粘土でにゃにゅにょ』(岩波ジュニア新書,2008年7月,定価819円)も評判です.
ケニアで活動する国際NGOモヨ・チルドレン・センターについては,同会を応援する会の下記ホームページに紹介があります.
http://moyo.jp/小林 茂
1954年,新潟県生まれ.ドキュメンタリー映画監督・カメラマン.撮影作品『阿賀に生きる』(佐藤真監督),監督作品『こどものそら』『ちょっと青空』『わたしの季節』『チョコラ!』など.著書『ぼくたちは生きているのだ』(岩波ジュニア新書)ほか.
書評情報
キネマ旬報 2009年11月上旬号