岩波講座 「帝国」日本の学知 全8巻


全巻構成/刊行の言葉/刊行にあたって/特色

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岩波講座 「帝国」日本の学知 全8巻

【編集委員】 山本武利・田中耕司・杉山伸也・末廣 昭
山室信一・岸本美緒・藤井省三・酒井哲哉

【写真】
上・京城帝国大学にて尾高朝雄・法文学部教授(法哲学)の講義
下・台北帝国大学の外観


全巻構成
1 「帝国」編成の系譜
2 「帝国」の経済学
3 東洋学の磁場
4 メディアのなかの「帝国」
5 東アジアの文学・言語空間
6 地域研究としてのアジア
7 実学としての科学技術
8 空間形成と世界認識


刊行の言葉

A5判・上製カバー・平均350頁
 本講座は,1992年から93年にかけて刊行された『岩波講座 近代日本と植民地』を受けて,近代日本における学知の生成と展開を歴史的文脈のなかに位置づけようとするものである.同講座では,帝国日本の植民地化のプロセスと,それに抵抗する植民地ナショナリズムの論理を,世界史的な視座のなかで把握しようとした.これに対して『岩波講座「帝国」日本の学知』は,90年代以降の研究状況をも踏まえつつ,開国期に欧米の学問を移入する形で出発し,近代日本の「帝国」化の過程で構築されていった日本の諸学の形成過程に改めて焦点をあてる.そのことで,いわば帝国的認識空間の位相を明らかにすることを目的としたい.従って本講座が目指すものは,単なる輸入学問の移植史でもなければ,諸学の境界内に安住した学説史でもない.
 「学知」という問題設定には,学問の内在的理解を踏まえつつ,同時にそれを知の実践的文脈のなかで問い直す複眼的視点が念頭におかれている.近代日本の学知をアジア諸地域との相互的交渉の場として捉え直すこと,それらを通して今日我々が所与のものとして受け入れている理論としての学説や,制度としての学問のありかたを省察すること.これらが本講座のねらいとするところである.それはまた,ともすれば戦前と戦後の学問を裁断しがちな思考の惰性を正すとともに,冷戦後の今日の視点から,近代日本の学知の批判的継承を目指すものにもなるであろう.
 『岩波講座「帝国」日本の学知』は,単なるイデオロギー批判を目的とするものではない.それは近代日本の学知の歴史的省察を通して,明日に向けて新たな知の可能性を問う試みである.グローバリゼーションの国家戦略のなかで,現在,諸学問の「科学的管理の学」としての再編が進められつつある.本講座の刊行が,ささやかながらも「人間性の学」としての学問と知識への信頼を取り戻すよすがになるのならば,編者としてこれに優る悦びはない.
【編集委員】 山本武利・田中耕司・杉山伸也・末廣 昭
山室信一・岸本美緒・藤井省三・酒井哲哉


刊行にあたって

 1990年代以降,アジア共同体の構築を促す機運の高まりとともに,日本の近代を世界史的視野から複眼的に捉えていこうという取り組みが,歴史学界を中心にさまざまな学問分野で行われつつあります.
 近代日本は,西洋文明を受容し,「帝国」として再編し,植民地を失って今日に至るまで,西洋やアジアとの交錯のなかで,いかなる世界認識をいかにして形成してきたのでしょうか.今こそ構造的な解明が求められています.
 『岩波講座「帝国」日本の学知』は,各学問分野の研究者を結集し,日本の帝国的世界システムを支えた認識空間のありようと戦後の変容を,各学問の歴史的編成過程に即した切り口で,今日的な問題意識のもとに論究した,本邦初の共同論集です.
岩波書店


特色

各巻にテーマの広がりを重視した8−9本の論文を収録し,各論文の相互連関性と各巻ごとの体系性に留意した編集を心がけます.
各巻に50頁平均の付録を設け,各学問分野の主要文献解題や研究機関の沿革表や年表を盛り込みます.いわば各学問の財産目録を作成し,研究案内としての便を図ります.
政治学・法学・経済学・哲学・歴史学・文学・言語学・地域研究・自然科学など諸学問に携わる学生・研究者および研究職を志す人びとを対象にします.



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