岩波講座 コミュニケーションの認知科学 5

自立と支援

病気や障害をもつ人びと,子どもや高齢者への支援はどうあるべきか.そのコミュニケーションの特徴と現場の問題点を明らかにする.

自立と支援
著者 安西 祐一郎 , 今井 むつみ , 入來 篤史 , 梅田 聡 , 片山 容一 , 亀田 達也 , 開 一夫 , 山岸 俊男
ジャンル 書籍 > シリーズ・講座・全集
シリーズ 岩波講座 コミュニケーションの認知科学
刊行日 2014/11/26
ISBN 9784000113755
Cコード 3311
体裁 A5 ・ 上製 ・ カバー ・ 226頁
定価 3,740円
在庫 在庫僅少
病気や障害をもつ人びと,あるいは子どもや高齢者への支援は,相手への思いやりや共感が前提である.支援する者とされる者との立場の非対称を踏まえ,自己の尊厳を守り,自己の存在をいかに相手に認めてもらうかが鍵となる.それを可能にするコミュニケーションの特徴とは何か.臨床現場では何が問われているのかを明らかにする.


■編集部からのメッセージ
 第5巻では,「自立と支援」の問題を扱います.この巻は,他の巻とかなり構成や記述スタイルが異なります.人間におけるコミュニケーションの問題が典型的にあらわれる臨床現場では,どうなっているのかを取り上げます.
 もちろん網羅的ではありませんが,認知症,自閉症,失語症,医療面接,高齢者対応,司法面接,植物状態患者の話題を扱います.いずれも,ふつうの意味で言うコミュニケーション手段に相当な困難を抱える状況です.それぞれの場で,当事者間で,どのような対応・支援がなされているのかの具体例を紹介します.さらに,今後どのような取り組みがなされるべきかのさまざまなヒントを与えます.
 たとえば「医療面接」は,医師と患者,あるいは家族との会話,たとえば不妊治療,救急医療や終末医療をめぐっての当事者間の会話を詳細に分析することによって見えてくる,よりよいコミュニケーションの取り方について示唆します.「司法面接」は,子どもの目撃証言をいかに正確に引き出すか,あるいは誤審を防ぐための被疑者面接をどのようにするかといった話題です.
 ここで取り上げた臨床例はそれぞれ症状の原因は異なりますが,自立や支援の対応という意味では,明らかに共通する本質的な問題が浮かび上がってきます.さらに,植物状態にある患者においても,また,なにがしかのコミュニケーションがとれることを示唆する論考は,人間とは何かという問題を深く考えさせられます.
 ぜひとも,言語や共感,あるいは社会性や社会制度のなかの心の交流を理論的に研究する人たちに広く読んでいただきたいと思っています.またこれらの臨床現場で活躍されている方々には,ここに書かれていることが何かのお役に立てることを願っています.
第1章 自立と支援の意味
第2章 認知症者に対する自立と支援
第3章 言語聴覚障害とコミュニケーション
第4章 発達障害とは何か
第5章 会話分析からわかる医療現場
第6章 コミュニケーションとしてみるユニバーサルデザイン――「使いやすさ」とは何か
第7章 司法場面におけるコミュニケーション
第8章 植物状態における共存・共有の起源
《編著者》

編集=片山容一

片山容一(かたやま よういち) 第1章,第8章
日本大学医学部

池田 学(いけだ まなぶ) 第2章
熊本大学大学院生命科学研究部

立石雅子(たていし まさこ) 第3章
目白大学保健医療学部

内山登紀夫(うちやま ときお) 第4章
福島大学大学院人間発達文化研究科・よこはま発達クリニック

川島理恵(かわしま みちえ) 第5章
関西外国語大学短期大学部

原田悦子(はらだ えつこ) 第6章
筑波大学人間系心理学域

仲 真紀子(なか まきこ) 第7章
北海道大学大学院文学研究科
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