あしなが運動と玉井義臣
歴史社会学的考察
わが国有数のボランティア運動とリーダー玉井義臣の活動の意義を社会運動論的観点から位置付ける労作.
災害遺児,病気遺児,自死遺児などを対象とした教育奨学運動である「あしなが育英会」.今や国際的にも認知されるに至った,このわが国有数のボランティア活動を無から立ち上げ,ここまで大きな組織に育て上げた玉井義臣と周辺の人物像を,その前史とともに描き出し,活動の意義を社会運動史・社会運動論的に位置付けた,優れた社会学的考察.
■著者からのメッセージ
あしなが運動,あしなが育英会という言葉をこのところよく聞く.これは病気遺児,災害遺児,自死遺児などのための教育運動である.リーダーは社会運動家・玉井義臣.この現代的課題を歴史社会学的に研究すると,日本文化と日本社会にかんする,いろいろなことが見えてきた.日本文化では,恩と恩返しをはじめとする伝統的倫理・道徳が「あしながさん」たちのボランティア運動をささえている.しかし,その運動は若い世代を中心に次第に社会参加のライフスタイルを追求するものになりつつある.本書は新しい社会運動論であって,道徳社会学の研究である.日本社会では,この国の真の支配階級は国家官僚たちであり,かれらは政治家と連合して,社会の諸分野を統制している.玉井は,自らが育てた交通遺児育英会を天下りしてきた高級官僚OBに乗っ取られ,あしなが育英会を創出して,社会運動家として再起した.本書は日本の社会運動の歴史社会学であって,官僚階級と市民社会,庶民階級の抗争にかんする政治社会学の研究である.
-
写真について
1.阪神タイガース 星野監督の発案で、1年間全選手のヘルメットにあしなが育英会のステッカーを貼り、プレー。球界初の大きな社会貢献だった。
2.レインボーハウス 世界150か国以上の支援を受け、1999年、神戸に日本初の阪神大震災遺児の心のケア 「レインボーハウス」が建設された。
3.Pウォーク10 毎年春と秋に全国100コース、1万人超の参加者が10キロを歩くフィランソロピー(社会貢献)ウォーク。2003年は5月11日実施。
4.奨学生のつどい 毎夏、遺児高校、大学生のつどいを全国10会場で開催。遺児らへの奨学金と心のケア サポートは、あしなが育英会の2大事業。
■編集部からのメッセージ
あしなが育英会は,病気や災害,自死で親を亡くした子どもたちを物心両面で支える民間の非営利団体です.会は,街頭募金に応じてくれる人々や奨学金を継続的に送金してくれる「あしながさん」への,遺児高校生・大学生たちの「恩返し運動」のなかから発足しました.
本書は,このわが国有数のボランティア活動を無から立ち上げ,紆余曲折を経ながらここまで大きな組織に育て上げた玉井義臣と周辺の人物像を,その前史である「交通遺児育英会」の栄枯盛衰とともに描き出します.ボランティア活動としていまや国際的にも注目を集める,この遺児救済運動とそれを支えた人々の長い物語であり,運動への応援歌です.二つの育英会運動に研究者として関与してきた著者による,まさに「あしなが運動40年史」ともいうべき労作です.
■著者からのメッセージ
あしなが運動,あしなが育英会という言葉をこのところよく聞く.これは病気遺児,災害遺児,自死遺児などのための教育運動である.リーダーは社会運動家・玉井義臣.この現代的課題を歴史社会学的に研究すると,日本文化と日本社会にかんする,いろいろなことが見えてきた.日本文化では,恩と恩返しをはじめとする伝統的倫理・道徳が「あしながさん」たちのボランティア運動をささえている.しかし,その運動は若い世代を中心に次第に社会参加のライフスタイルを追求するものになりつつある.本書は新しい社会運動論であって,道徳社会学の研究である.日本社会では,この国の真の支配階級は国家官僚たちであり,かれらは政治家と連合して,社会の諸分野を統制している.玉井は,自らが育てた交通遺児育英会を天下りしてきた高級官僚OBに乗っ取られ,あしなが育英会を創出して,社会運動家として再起した.本書は日本の社会運動の歴史社会学であって,官僚階級と市民社会,庶民階級の抗争にかんする政治社会学の研究である.
-
写真について
1.阪神タイガース 星野監督の発案で、1年間全選手のヘルメットにあしなが育英会のステッカーを貼り、プレー。球界初の大きな社会貢献だった。
2.レインボーハウス 世界150か国以上の支援を受け、1999年、神戸に日本初の阪神大震災遺児の心のケア 「レインボーハウス」が建設された。
3.Pウォーク10 毎年春と秋に全国100コース、1万人超の参加者が10キロを歩くフィランソロピー(社会貢献)ウォーク。2003年は5月11日実施。
4.奨学生のつどい 毎夏、遺児高校、大学生のつどいを全国10会場で開催。遺児らへの奨学金と心のケア サポートは、あしなが育英会の2大事業。
■編集部からのメッセージ
あしなが育英会は,病気や災害,自死で親を亡くした子どもたちを物心両面で支える民間の非営利団体です.会は,街頭募金に応じてくれる人々や奨学金を継続的に送金してくれる「あしながさん」への,遺児高校生・大学生たちの「恩返し運動」のなかから発足しました.
本書は,このわが国有数のボランティア活動を無から立ち上げ,紆余曲折を経ながらここまで大きな組織に育て上げた玉井義臣と周辺の人物像を,その前史である「交通遺児育英会」の栄枯盛衰とともに描き出します.ボランティア活動としていまや国際的にも注目を集める,この遺児救済運動とそれを支えた人々の長い物語であり,運動への応援歌です.二つの育英会運動に研究者として関与してきた著者による,まさに「あしなが運動40年史」ともいうべき労作です.
副田義也(そえだよしや)
1934年生まれ.社会学者.東京大学大学院社会科学研究科修士課程修了.筑波大学社会科学系教授を経て,現在,同大学名誉教授.金城学院大学教授.博士(社会学)=東京大学.
著書に,『死の社会学』(小社刊,編著),『日本文化試論――ベネディクト"菊と刀"を読む』『生活保護制度の社会史』『教育勅語の社会史――ナショナリズムの創出と挫折』『家庭教育ノート』『世界子供の歴史――現代』『マンガ文化』など,多数.
1934年生まれ.社会学者.東京大学大学院社会科学研究科修士課程修了.筑波大学社会科学系教授を経て,現在,同大学名誉教授.金城学院大学教授.博士(社会学)=東京大学.
著書に,『死の社会学』(小社刊,編著),『日本文化試論――ベネディクト"菊と刀"を読む』『生活保護制度の社会史』『教育勅語の社会史――ナショナリズムの創出と挫折』『家庭教育ノート』『世界子供の歴史――現代』『マンガ文化』など,多数.
書評情報
毎日新聞(朝刊) 2003年10月1日
新聞及新聞人 2003年7月10日号
サンデー毎日 2003年6月22日号
Yomiuri Weekly 2003年6月8日号
週刊社会保障 2003年6月2日号
出版ニュース 2003年6月中旬号
月刊少年育成 2003年6月号
NEWあしながファミリー 2003年5月23日号
朝日新聞(朝刊) 2003年5月11日
新聞及新聞人 2003年7月10日号
サンデー毎日 2003年6月22日号
Yomiuri Weekly 2003年6月8日号
週刊社会保障 2003年6月2日号
出版ニュース 2003年6月中旬号
月刊少年育成 2003年6月号
NEWあしながファミリー 2003年5月23日号
朝日新聞(朝刊) 2003年5月11日