漫画映画(アニメーション)の志 『やぶにらみの暴君』と『王と鳥』

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『やぶにらみの暴君』日本公開時のパンフレット表紙


著者からのメッセージ

 この本は,一本のフランス産長編漫画映画がたどった驚くべき数奇な運命を克明に跡づけた書物です.わたしはその映画『やぶにらみの暴君』を観ることがなかったら,いまの漫画映画の道に進むことはありませんでした.
 東映動画で育ったわたしたちの世代にとって『やぶにらみの暴君』の影響は決定的でした.ひと言でいえば,漫画映画において人物や空間に存在感を与え,子どもだましではない内面性と社会性のある作品をつくろう,という決意を促されたのです.これが実際には,作者たちにとって不本意なかたちで完成させられた作品だったということはどうでもいいことでした.そこには表現のすばらしさがあり,はっきりと作者2人,グリモーとプレヴェールの「志」が読みとれたからです.
 ところがその後,30年の歳月を経て作者たちがあらたに作り直した映画『王と鳥』に出会います.はじめは,なにをいまさら……と,容易にはこれを受け入れることができませんでした.そのわたしが,この『王と鳥』の驚くべき先見性に気づき,再び作者の烈々たる「志」に心打たれたことこそ,この書を書いた動機です.


『王と鳥』タキカルディ王宮決定版デッサン(1977)


著者略歴

高畑 勲(たかはた いさお)
1935年三重県生まれ.アニメーション映画監督.東京大学仏文科卒業,1959年東映動画入社,1968年映画『太陽の王子ホルスの大冒険』を初監督.1985年宮崎駿らとスタジオジブリ設立.主な監督・演出作品に,テレビシリーズ『アルプスの少女ハイジ』『母をたずねて三千里』『赤毛のアン』,映画『じゃりン子チエ』『火垂るの墓』『おもひでぽろぽろ』『平成狸合戦ぽんぽこ』『ホーホケキョ となりの山田くん』『柳川堀割物語』など.著書に『話の話』『映画を作りながら考えたこと』『十二世紀のアニメーション』(徳間書店)など.


『王と鳥』夜の王の秘密室全景デッサン(1977)


目次

序章 『やぶにらみの暴君』の衝撃
I 章 作品のたどった数奇な運命
II章 何を描き,語っているのか――その先見性
III章 両作品制作の実際と映像表現
IV章 2人の作者――グリモーとプレヴェール
終章 漫画映画(アニメーション)の志――もうひとつの衝撃

主要参考文献


『やぶにらみの暴君』長階段デッサン(1947)

『やぶにらみの暴君』王の秘密室内デッサン(1947)



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