渥美清の肘突き
人生ほど素敵なショーはない
戦後大衆文化の生き証人による自伝.渥美清や越路吹雪,夏目雅子ら数々のスターの素顔とテレビや舞台への熱い思いを軽妙に綴る.
著者の親友である渥美清は,一緒に観劇している舞台が面白くないと腕を軽く肘で突いてきた.外へ出ようという合図だ.会場を出た後の雑談こそ至福のときだった──.渥美清やクレージーキャッツをテレビの世界に引き入れ,三谷幸喜に劇作家を志させ,夏目雅子の最初で最後の舞台を演出した鬼才が,戦後大衆文化の生き証人として知られざるエピソードの数々を活写する.
■著者からのメッセージ
ここ2,3年の間に,全くバタバタと,若い頃からお世話になった先輩,同輩,後輩の友人,仕事仲間が亡くなった.市川崑監督,増田通二氏,作曲家宮川泰,羽田健太郎,俳優の植木等,岸田今日子,仲谷昇,北村和夫,作詞家阿久悠,演出家久世光彦…….それ以前にも,渥美清,杉村春子,越路吹雪,色川武大,山本直純,渡辺晋と,私の記憶から消えない恩人がこの世を去っている.私の年齢(昭和7年生まれ)になれば人生の避けられない事実だから,とも思うが,「想い出」は避けられない.折にふれて付きまとう,消えてくれない.
この本は,一緒に時代を過ごしてきたこれらの方達への「オマージュ的エピソード」を集めたものですが,私の何とか生きてこられた時代,敗戦から戦後すぐの学生時代,「テレビ創成期」,そして「舞台演出とプロデュース」を始めた時代から現在までの「時代の変化」をからめた本でもあります.
「テレビ時代」から何とか新しい「コメディ・エンターテインメント」を目指した記録の一つでもあると思うので,今の中年以下,若い人達が「こんな時代もあったのか」「テレビも舞台も変化したものだなぁ」と知ってくれれば,これに越した嬉しいことはない.
楽しんで読んで下さることを切に願っています.「時代」「人生」の演出家は「時間」ですから.
■著者からのメッセージ
ここ2,3年の間に,全くバタバタと,若い頃からお世話になった先輩,同輩,後輩の友人,仕事仲間が亡くなった.市川崑監督,増田通二氏,作曲家宮川泰,羽田健太郎,俳優の植木等,岸田今日子,仲谷昇,北村和夫,作詞家阿久悠,演出家久世光彦…….それ以前にも,渥美清,杉村春子,越路吹雪,色川武大,山本直純,渡辺晋と,私の記憶から消えない恩人がこの世を去っている.私の年齢(昭和7年生まれ)になれば人生の避けられない事実だから,とも思うが,「想い出」は避けられない.折にふれて付きまとう,消えてくれない.
この本は,一緒に時代を過ごしてきたこれらの方達への「オマージュ的エピソード」を集めたものですが,私の何とか生きてこられた時代,敗戦から戦後すぐの学生時代,「テレビ創成期」,そして「舞台演出とプロデュース」を始めた時代から現在までの「時代の変化」をからめた本でもあります.
「テレビ時代」から何とか新しい「コメディ・エンターテインメント」を目指した記録の一つでもあると思うので,今の中年以下,若い人達が「こんな時代もあったのか」「テレビも舞台も変化したものだなぁ」と知ってくれれば,これに越した嬉しいことはない.
楽しんで読んで下さることを切に願っています.「時代」「人生」の演出家は「時間」ですから.
福田陽一郎
はじめに 敗戦の日の青空
第1章 パンのみにて生きるにあらず――昭和20年代の青春
「SEE YOU,BOYS!」/日本初のストリップショー/なんで俺が教会へ?/勉強より大切なもの/千代子の「サヨナラ」/浪人,乱読,そして大学生に/陽べぇ,歌舞伎と演劇を知る/シャンソン喫茶「ロワ LE ROI」で/劇団「新人会」を知る/文学座からの誘い/提出した卒論を引っ込める/「日本テレビ」に内定
第2章 生まれたてのテレビとともに――渥美ちゃんがいた
編成課に配属/「劇場中継」から始まった/渥美清と植木等たちとの出会い/杉村春子さんとの出会い・演出/木下順二・渥美清・尾上松緑/越路吹雪のテレビ一人芝居/藤山寛美の憶い出/市川崑とハナ肇/連続ドラマ「男嫌い」/ファンタジー・コメディ「四重奏」/グニャチンショット/映画化された「男嫌い」/蕎麦屋の2階,渥美清大独演会
第3章 ドラマ,バラエティ,ハプニング――ナマほど素敵な番組はない
初めて海外へ/フランソワーズ・アルヌールを訪問/「吹き屋」が揃うと/娘が生まれた頃/「木島則夫ハプニングショー」/大群衆/警察で事情聴取/パラシュート/寺山修司との「ハプニング」/月面からの映像
第4章 ミュージカル「ショーガール」誕生――テレビから舞台へ
「日本テレビ」を辞める/「おしゃれ」と「すばらしい世界旅行」/ブランコを漕ぐ山本直純/エーゲ海ロケ/「とび出せ!真理ちゃん」の頃/産声を上げた「ショーガール」/ロングランへの手応え/小沢昭一vs芥川比呂志/「朝食まで居たら?」で初の芝居演出/日本にもオリジナルのミュージカルを/人間・笑い・コメディ/「ショーガール」の旅/「ヴァージニア・ウルフなんかこわくない」
第5章 「エンターテインメント」への思い
ショーガールの旅の終わり/色川武大さんの一文/「シューズ・オン! SHOES ON!」のスタート/新しいショーを模索した八年間/コーちゃんの憶い出/杉村春子さんのふくよかな手/大竹しのぶの感性/安藤昇からの依頼/ヒロインの失踪/徹夜の稽古/夏目雅子の最初で最後の舞台/運命/色川さんとレーザーディスク/心臓は強すぎてもいけない/岸田今日子のエミリー・ディキンソン/「おかしな二人」に出たがった渥美清/渥美ちゃんの軽い肘突き/「最後の電話」/過ぎ去りし友たちから学んだこと/人生ほど素敵なショーはない
【特別対談】「コメディ」を見たい,つくりたい! 三谷幸喜×福田陽一郎
あとがき
福田陽一郎作品リスト
第1章 パンのみにて生きるにあらず――昭和20年代の青春
「SEE YOU,BOYS!」/日本初のストリップショー/なんで俺が教会へ?/勉強より大切なもの/千代子の「サヨナラ」/浪人,乱読,そして大学生に/陽べぇ,歌舞伎と演劇を知る/シャンソン喫茶「ロワ LE ROI」で/劇団「新人会」を知る/文学座からの誘い/提出した卒論を引っ込める/「日本テレビ」に内定
第2章 生まれたてのテレビとともに――渥美ちゃんがいた
編成課に配属/「劇場中継」から始まった/渥美清と植木等たちとの出会い/杉村春子さんとの出会い・演出/木下順二・渥美清・尾上松緑/越路吹雪のテレビ一人芝居/藤山寛美の憶い出/市川崑とハナ肇/連続ドラマ「男嫌い」/ファンタジー・コメディ「四重奏」/グニャチンショット/映画化された「男嫌い」/蕎麦屋の2階,渥美清大独演会
第3章 ドラマ,バラエティ,ハプニング――ナマほど素敵な番組はない
初めて海外へ/フランソワーズ・アルヌールを訪問/「吹き屋」が揃うと/娘が生まれた頃/「木島則夫ハプニングショー」/大群衆/警察で事情聴取/パラシュート/寺山修司との「ハプニング」/月面からの映像
第4章 ミュージカル「ショーガール」誕生――テレビから舞台へ
「日本テレビ」を辞める/「おしゃれ」と「すばらしい世界旅行」/ブランコを漕ぐ山本直純/エーゲ海ロケ/「とび出せ!真理ちゃん」の頃/産声を上げた「ショーガール」/ロングランへの手応え/小沢昭一vs芥川比呂志/「朝食まで居たら?」で初の芝居演出/日本にもオリジナルのミュージカルを/人間・笑い・コメディ/「ショーガール」の旅/「ヴァージニア・ウルフなんかこわくない」
第5章 「エンターテインメント」への思い
ショーガールの旅の終わり/色川武大さんの一文/「シューズ・オン! SHOES ON!」のスタート/新しいショーを模索した八年間/コーちゃんの憶い出/杉村春子さんのふくよかな手/大竹しのぶの感性/安藤昇からの依頼/ヒロインの失踪/徹夜の稽古/夏目雅子の最初で最後の舞台/運命/色川さんとレーザーディスク/心臓は強すぎてもいけない/岸田今日子のエミリー・ディキンソン/「おかしな二人」に出たがった渥美清/渥美ちゃんの軽い肘突き/「最後の電話」/過ぎ去りし友たちから学んだこと/人生ほど素敵なショーはない
【特別対談】「コメディ」を見たい,つくりたい! 三谷幸喜×福田陽一郎
あとがき
福田陽一郎作品リスト
福田陽一郎(ふくだ よういちろう)
1932年東京生まれ.脚本家・演出家.1957年,東京大学仏文科卒.草創期の日本テレビに入社し,ディレクター,脚本家として「男嫌い」「四重奏」等のドラマから「木島則夫ハプニングショー」「すばらしい世界旅行」等のバラエティまで,あらゆるジャンルの番組を手掛ける.1972年にフリーとなり,数々の舞台,テレビドラマ脚本を執筆,また「ショーガール」「シューズ・オン!」をはじめとするオリジナルミュージカルを演出し,日本に良質の「エンターテインメント」を定着させる.
著書に『ザ・ショーガール・ストーリー』(パルコ出版),『ショーガール』(集英社),翻訳に『ニール・サイモン戯曲集』(早川書房,共訳)など.
1932年東京生まれ.脚本家・演出家.1957年,東京大学仏文科卒.草創期の日本テレビに入社し,ディレクター,脚本家として「男嫌い」「四重奏」等のドラマから「木島則夫ハプニングショー」「すばらしい世界旅行」等のバラエティまで,あらゆるジャンルの番組を手掛ける.1972年にフリーとなり,数々の舞台,テレビドラマ脚本を執筆,また「ショーガール」「シューズ・オン!」をはじめとするオリジナルミュージカルを演出し,日本に良質の「エンターテインメント」を定着させる.
著書に『ザ・ショーガール・ストーリー』(パルコ出版),『ショーガール』(集英社),翻訳に『ニール・サイモン戯曲集』(早川書房,共訳)など.
書評情報
朝日新聞(夕刊) 2010年4月30日
産経新聞 2009年9月17日
週刊新潮 2008年8月28日号
東京新聞(朝刊) 2008年8月17日
読売新聞(夕刊) 2008年8月6日
デーリー東北 2008年7月6日
週刊文春 2008年7月3日号
日本経済新聞(朝刊) 2008年6月29日
産経新聞 2009年9月17日
週刊新潮 2008年8月28日号
東京新聞(朝刊) 2008年8月17日
読売新聞(夕刊) 2008年8月6日
デーリー東北 2008年7月6日
週刊文春 2008年7月3日号
日本経済新聞(朝刊) 2008年6月29日