ウィキペディア革命

そこで何が起きているのか?

教育の現場の混乱や悪意のある書き込み,政治的な意図をもった情報操作など,その問題を浮き彫りにする.

ウィキペディア革命
著者 ピエール・アスリーヌ 序文 , ピエール・グルデン , フロランス・オクリ , ベアトリス・ロマン・アマ , デルフィーヌ・スーラ , タシロ・フォン・ドロステ・ツー・ユルショフ , 木村 忠正 解説 , 佐々木 勉
ジャンル 書籍 > 単行本 > 総記
刊行日 2008/07/25
ISBN 9784000222051
Cコード 0004
体裁 四六 ・ 上製 ・ カバー ・ 174頁
在庫 品切れ
2007年夏,ある調査がフランスで話題となった.調査はウィキペディアによる教育の現場の混乱や,そこで不正確で悪意のある書き込みが日常化し政治的な意図をもった情報操作も行われていることを明らかにした.単なるウィキペディア批判ではなく,集合知という情報システムそのものの可能性と内在する問題を根本的に問い直す.


■著者からのメッセージ
 我々は百科事典の下書きであるウィキペディアを禁止させ,「ウィキトピア」(Wikitopie)という社会的地位を抹殺しあるいは無効にすることを希望しているのではない.この百科事典には,その誕生からあらゆる社会現象がそのメンタリティの中に根を張り巡らせてきた.それが存在する以上,我々はそれを携えて行くしかない.このツールを無視するのではなく,反権力という我々の批判的精神を作用させることで,行き過ぎを抑えたいだけである.
(序より)


■編集部からのメッセージ
 1953年生まれの作家,ジャーナリストであり,パリ政治学院の講師のピエール・アスリーヌのもと,彼の5人の学生のウィキペディアについての調査が7月はじめに行われ,新聞社ルモンドのサイトで紹介された.続いてテレビのTF1(フランスの最も視聴率の高い放送局)とラジオ・RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル),雑誌リベラシオンで紹介され,2007年夏にフランスで大きな話題となった.WEB2.0の象徴ともいえるウィキペディアだが,その実像について5人の学生が多面的に検証している本.単なるウィキペディア批判ではなく,日本や世界で起こっている共通の問題としてWEB2.0に基づいたこうした情報システムそのものの存在の可能性と問題を根本的に問い直している.
序 情報ソースに何が起きているのか ピエール・アスリーヌ

第1章 動揺する教育現場
社会では

第2章 判定の判断― ネイチャー誌調査の真実
争点の少ない調査項目/信義に関わる文章の貼り合わせ/ネイチャー誌が確認しなかった間違い/誇張される調査

第3章 ウィキペディアの裏側 
書き込みのコントロール/管理者の役割/数字への執着/数百万ものウィキペディアン/ 曖昧なウィキペディア

第4章 間違い,改ざん,虚偽
信頼の限界/反エリート主義のプロジェクト/よく知られるでっち上げと間違い/我も我も/光よりも速く

第5章 百科事典の興亡

第6章 ディドロはウィキペディアの先駆者?
歴史を振り返って/ 構成の問題/全てが政治的に,イデオロギー的に/ミッシェル・セール―孤立する「ウィキ熱狂者」/情熱の問題

第7章 ウィキペディアの賢い利用法
二つの利用タイプ/ 投稿による成績評価/固定したウィキペディア

解説 ウィキペディアと日本社会―集合知,あるいは新自由主義の文化的論理 木村忠正

訳者あとがき
ピエール・アスリーヌ(Pierre Assouline)(序)
1953年生まれ.作家,ジャーナリスト.パリ政治学院の講師.ルモンド・サイトの彼のブログ「La Republique des Livres(本の共和国)」は,フランスの教育系TV局TV5 の選ぶベストブログになった.ルモンド2(ルモンド紙別冊)などに記事を寄稿している.2005年出版社賞,2007年フランス言語賞を受賞.なお,本文執筆のグルデン,オクリ,ロマン=アマ,スーラ,ユルショフの5人は2007年シアンスポ・ジャーナリズム学科を卒業し,現在ジャーナリズム界で活躍し始めている.

書評情報

信濃毎日新聞(朝刊) 2008年10月5日
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