外交証言録 沖縄返還・日中国交正常化・日米「密約」

戦後日本外交において外務官僚はどのような役割を果たしてきたのか.日米「密約」の内幕も率直に語る.

外交証言録 沖縄返還・日中国交正常化・日米「密約」
著者 栗山 尚一 , 中島 琢磨 , 服部 龍二 , 江藤 名保子
ジャンル 書籍 > 単行本 > 政治
刊行日 2010/08/25
ISBN 9784000224062
Cコード 0031
体裁 A5 ・ 上製 ・ カバー ・ 286頁
在庫 品切れ
佐藤・ニクソン共同声明を作成し沖縄返還に向けた対米交渉に深く関わり,日中国交正常化交渉においても日中共同声明の日本側原案を起筆するなど,外交史上の重要局面にて大きな役割を果たした外務官僚・栗山尚一.日米「密約」の内幕をも率直に語った彼の証言録は,戦後日本外交の足跡をたどるうえでの基本資料である.


■編集部からのメッセージ
 栗山尚一氏は,外務次官,駐米大使などを務めた外務官僚です.この本は,気鋭の若手学者たちによって,2008年からの2年間,計5回にわたって行われた,栗山氏へのインタビューをまとめたものです.
 栗山氏は,佐藤・ニクソン共同声明を作成し沖縄返還に向けた対米交渉に深く関わり,日中国交正常化交渉においても日中共同声明の日本側原案を起筆するなど,外交史上の重要局面において大きな役割を果たしてきた人物です.
 またそれだけでなく,栗山氏は,いわゆる日米「密約」のすべてを知り得る立場にいた人でもあります.この本には,民主党政権による「密約」調査が行われ守秘義務が解除された直後に実施したインタビューも収録されています.そこで栗山氏は,「密約」の内幕をも率直に語っています(余談ですが,その2010年4月8日付インタビューを覆っていた緊張感と,時代とシンクロナイズしたことによる高揚感は,決して忘れることができません).
 アメリカとの関係,アジアとの関係が問い直されている今だからこそ,外交交渉における当事者たちの足跡をたどることの意義は,ますます大きくなっているように思います.この本は,戦後日本外交の歴史を理解しようとするとき,どのような立場の人にとっても欠かせない資料になるはずです。
(編集部:中山永基)
 はしがき 栗山尚一

解題 栗山尚一と日米・日中関係 中島磨
第一章 沖縄返還と外務省――条約局の立場
第二章 佐藤・ニクソン共同声明――核兵器と戦闘作戦行動
第三章 日中国交正常化――交渉の舞台裏
第四章 アジアとの関係・歴史認識問題
第五章 戦後日本外交とは何だったのか
終章 日米「密約」との葛藤――非核三原則とアメリカ核政策の間

 あとがき 服部龍二
 インタビューアー一覧
 栗山尚一略歴
栗山尚一(くりやま たかかず)
1931年パリ生まれ.東京大学法学部中退後,1954年外務省入省.条約局条約課長,条約局長,駐米大使,外務事務次官などを経て退官.1997年から2002年まで早稲田大学法学部客員教授,1999年から2002年までは国際基督教大学客員教授.現在,宮内庁参与,アジア調査会会長.著書に『日米同盟 漂流からの脱却』(日本経済新聞社,1997年).

中島 磨(なかしま たくま)
日本学術振興会特別研究員.九州大学大学院法学府博士後期課程単位取得退学,博士(法学).主な編著書,論文に『心の一燈 回想の大平正芳――その人と外交』(森田一著,服部龍二,昇亜美子との共編,第一法規,2010年),「1967年11月の佐藤訪米と沖縄返還をめぐる日米交渉」(『年報政治学 2009-I 』2009年6月)など.

服部龍二(はっとり りゅうじ)
中央大学総合政策学部教授.神戸大学大学院法学研究科後期博士課程単位修得退学,博士(政治学).主著に『幣原喜重郎と二十世紀の日本――外交と民主主義』(有斐閣,2006年),『広田弘毅』(中公新書,2008年),『日中歴史認識――「田中上奏文」をめぐる相剋1927-2010』(東京大学出版会,2010年)など.

江藤名保子(えとう なおこ)
人間文化研究機構地域研究推進センター・慶應義塾大学東アジア研究所現代中国研究センター研究員.慶應義塾大学法学研究科政治学専攻単位取得退学.主な論文に「中国の対外戦略と日中平和友好条約」(日本国際政治学会編『国際政治』第152号,2008年3月),「中国の対日政策における歴史認識問題の源泉――1982年歴史教科書問題の分析を中心に」(慶應義塾大学法学政治学論究刊行会『法学政治学論究』第80号,2009年3月)など.

書評情報

毎日新聞(朝刊) 2010年10月31日
朝日新聞(朝刊) 2010年10月24日
日本経済新聞(朝刊) 2010年10月3日
毎日新聞(朝刊) 2010年9月23日
ページトップへ戻る