韓国温泉物語

日朝沐浴文化の交流をたどって

お湯の中から見えてくる日朝の沐浴文化とその交流の歴史を,対立や葛藤も含めてたどる歴史エッセイ.図版多数.

韓国温泉物語
著者 竹国 友康
ジャンル 書籍 > 単行本 > 評論・エッセイ
刊行日 2004/03/16
ISBN 9784000224390
Cコード 0026
体裁 四六 ・ 並製 ・ カバー ・ 274頁
在庫 品切れ
なぜ,韓国の人は風呂場でまえを隠さないのか? 朝鮮と日本の沐浴習俗のちがい,日本式の公衆浴場が朝鮮社会で受容されていく過程,中世から日本と深い関係にある東莱温泉の歴史などを説き明かしながら,お湯の中から見えてくる日朝の沐浴文化とその交流の歴史を,双方にあった対立や葛藤も含めてたどる歴史エッセイ.図版多数.


■著者からのメッセージ
 朝鮮半島には古くから温泉があり,また汗蒸(ハンジュン)とよばれる熱気浴もおこなわれていました.そして,日本が朝鮮を支配した時代に,日本からもち込まれた公衆浴場や日本式の温泉文化が受け入れられ,広がっていきます.「どこから来たものでも,いいものはいい」と受容されたとしても,その「いい」と受けとめた,日本の入浴文化に共感する朝鮮の人びとの感性や身体とはいったいどういうものだったのだろう――そのような問いもかかえながら,日朝の沐浴文化の交流をたどって,韓国各地の温泉を訪ね,人びとや古い資料とも対話する,ちいさな「旅」を重ねました.
 ところでいま,日本の若い人たちのあいだでは,韓国のテレビドラマ『冬のソナタ』が支持されているようです.画面に映し出された自然の表情や,作品全体にただよう抒情的なリズムなども,どことなく身に覚えのあるものとして,そのドラマにたいする共感を下支えしているのではないでしょうか.沐浴文化の交流にも見られたような,列島と半島のあいだでながい時間をかけて織りあげられてきた「共感のかたち」は,いまなお,私たちの身体のうちに息づいているように思えます.
 韓国旅行を計画しているかた,ソウルの路地裏までくわしくご存知のリピーターのかた,そして朝鮮半島の生活文化や歴史に関心をもっておられるかたがたに読んでいただけることを願っています.
はじめに――東莱温泉を訪ねて

第一部 日朝沐浴文化のルーツをさぐる
 第一章 朝鮮の沐浴文化
 第二章 入浴習俗と裸体観
 第三章 海を渡った日本の「湯屋」

第二部 東莱温泉物語
 第一章 東莱温泉の歴史をたどる
 第二章 開港期の東莱温泉
 第三章 朝鮮第一の温泉地となる
 第四章 朝鮮人と東莱温泉

第三部  韓国の温泉を訪ねて

 海雲台温泉/釜谷温泉/温陽温泉/白岩温泉/儒城温泉……

おわりに――金剛山温泉で考えたこと

あとがきにかえて

資料1 日本統治期の朝鮮「温泉リスト」
資料2 現在の北朝鮮の温泉
略年表
基本文献
竹国友康(たけくに・ともやす)
1949年,兵庫県生まれ.1972年,京都大学文学部卒業.
現在,河合塾大阪校で現代文を担当.
著書に『リトル・トウキョウ物語』(四季書房,1978年),『現代文と格闘する』(共著,河合出版,1995年),『ある日韓歴史の旅 鎮海の桜』(朝日新聞社,1999年)がある.

書評情報

セヌリ 2004年7月8日号
朝日新聞(朝刊) 2004年5月16日
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