子育ては,いま

変わる保育園,これからの子育て支援

民間企業の参入などで大きく変わる保育園,始まったばかりの家庭での子育て支援など,様々な試みを紹介する.

子育ては,いま
著者 前田 正子
ジャンル 書籍 > 単行本 > 教育
刊行日 2003/04/24
ISBN 9784000228305
Cコード 0037
体裁 B6 ・ 並製 ・ カバー ・ 228頁
在庫 品切れ
出生率の低下,出産後も働き続ける女性の増加,育児ノイローゼのクローズアップなど,日本の子育ては大きな転換期をむかえている.設置基準の緩和や民間企業の参入などで大きく変わる保育園,始まったばかりの家庭における子育て支援など,様々な現場での試みを紹介しながら,子育てのいまと,将来に向けての課題を描き出す.

■著者からのメッセージ

 子育てしやすい社会を作るには,様々な領域での改革が必要です.保育園や在宅の子育て支援の充実,子どもへの経済的保障,そして職場や働き方の改革.
 子育てを取り上げたエンゼルプランは1995年からスタートしました.少子化問題の深刻化もあり,子育てに関して様々な議論がなされるようになってきましたが,これから子育てを巡る仕組みはどうなるか,今や,本当に子育てしやすい社会になるかどうかの大きな岐路にさしかかっているのです.
 子育てしやすい,子どもたちが生き生きと育つ社会はどうあるべきか,みなさんに考えていただけたらと思います.また,働く親と家にいる親が,それぞれ自分の立場からだけ子育てのことを考えても,問題の解決にはなりません.子どもどうしの関係は親の立場を越えて広がっています.様々な状況の親が互いの子育ての問題にも想像力を働かせ,子どもたちのためには何がよいかを考え,互いに助け合える関係を作ることも必要ではないでしょうか.

〈「あとがき」より〉
はじめに――進む少子化
  少子化対策の変遷/少子化対策プラスワン

1章 急速に変わる保育園の姿
1 進む規制緩和
  増える入園者と増える待機児童/地域によって大きく違う保育事情/地域によって違う共働き率/認可保育園と幼稚園・認可外保育園/量か質か
2 様々な保育園の登場
  渕野辺保育園
  現状に合わせた保育をめざして
  東京都の認証保育園の試み
  認証保育園の運営コスト/認証保育園のとりくみ――Jキッズ・ルミネ北千住保育園/適正な保育コストとは
  横浜保育室
  近所の仲間が集まって/認可になるかどうかの選択
  公立保育園の民間委託
  民営化に対する賛否両論/東台保育園/問われる保育の質
3 第三者評価
  なぜ保育に評価が必要なのか/現場の反応は/オーストラリアでは

2章 家庭での子育てを支える
1 子育てを楽しめる条件は?
  孤立する母親/子育てにかかわれない父親
2 地域子育て支援センターの試み
  せいがの森保育園の中の「わくわく」
  「わくわく」のプログラム/地域に開かれた保育/保育園と地域子育て支援センター
  親と子の「みずべ」
  「人を迎える」気持ちで/居心地の良い場所づくり/多くの人の支えを得て
3 新しい子育て支援の試み
  小さな親子のひろば――「びーのびーの」
  自分たちの手で自分たちの居場所を作る/親が親に寄り添う
  「止まり木」のような保育の場を目指して――「ミニデイサービスほっぷ」
  地域の保育ニーズは/地域で育て育てられる関係を
  おばあちゃんの家のように――「保育サービスひまわりママ」
  あらゆる子育てのニーズに応える/子育て支援の活動の中に喜びがある
4 地域で巡りあう子育て仲間
  出会いのきっかけを作る――「カンガルークラブ」
  ゆるやかにつながる/地域を変える
  自主保育
  プレーパーク/大人と子どもが出会う場/子育てが終わった後

3章 子育てと社会
1 子育てを支える制度をめぐって
  先進諸国の仕事と子育ての関係は/各国の社会保障制度の枠組み/5カ国を取り上げて/スウェーデン/フランス/ドイツ/オランダ/米国/日本の場合は
2 子育て支援の今後
  働き方を変えよう/育児休業制度/児童手当/子育て支援にはお金か現物か/子育て支援の現場で/子育て支援は何のために/子育て支援現場の人材は/保育について

あとがき
参考文献
装丁=荒木洋子
前田正子(まえだ まさこ)
1960年大阪生まれ.1982年早稲田大学教育学部卒業.松下政経塾研究員などを経て,1992年から1994年まで,生後半年の息子を連れて米国ノースウエスタン大学ケロッグ経営大学院に家族で留学.そこで米国の保育事情を体験,帰国後の94年から2003年3月までライフデザイン研究所(現第一生命経済研究所)で,自らも働く母親の立場から保育制度や育児支援策などの研究に従事.2002年慶應義塾大学大学院商学研究科後期博士課程修了.商学博士.2003年4月より横浜市副市長(助役).研究の成果を活かして,子育ての基盤整備などを担当している.著書に『保育園は,いま――みんなで子育て』(岩波書店),『少子化時代の保育園――いま,何を変えるべきか』(岩波ブックレット)など.

書評情報

東京新聞(夕刊) 2003年6月12日
神奈川新聞 2003年5月14日
日本経済新聞(夕刊) 2003年5月10日
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