サラムとサラン

思いはつながる

サラム(人)がサラン(愛)でつながると,何かが変わる.過去と現在をつなぐ,著者待望の最新エッセイ集.

サラムとサラン
著者 朴 慶南
ジャンル 書籍 > 単行本 > 評論・エッセイ
刊行日 2008/11/13
ISBN 9784000230223
Cコード 0095
体裁 四六 ・ 並製 ・ 222頁
定価 1,980円
在庫 在庫僅少
サラム(人)がサラムとつながるとき,サラムがサラン(愛)を感じるとき──.現実にいま起こっている戦争も,重い歴史も,克服していくために一人ひとりにできることは何? 思いを伝え,共感し,そして踏み出す一歩から,何かが変わりはじめる.日常の小さな愛おしさを大切に,人と人とのかかわりを説く著者待望の,最新エッセイ集.

■著者からのメッセージ

朴慶南
 前作,『私以上でもなく,私以下でもない私』から5年.とてもしばらくぶりの新刊です.無事,できあがって,ようやく胸をなでおろしています.
 韓国・朝鮮語でサラムは人,サランは愛をいいます.響きがとても似ていますが,文字にすると,サラム()は下の部分が四角になり,サラン()はまるの形になります.そこでこんな風に思いました.
 人間は,本来曲線であるはずなのに,どういうわけか角をつくってしまう.そんな人間を愛でまるく包んでこそ,角がとれ,本来の,自然で豊かな人間性が現れてくるのではないか…….そんな願いをこめて,タイトルを考えました.
 読み返してみて,“温かい”という言葉が多く出てくることに気がつきました.命は温かいということ,サラム(人)とサラン(愛)をつなぐものは温かさだということ.これがいちばんの原点なのではないかと思います.
 いろいろな話をたくさん書きましたが,この本のなかを流れているのは,さまざまな一つひとつの“思い”でしょうか.
 大切な人への思い,わかりあいたいと願う思い,日々のなかの思い,自分の可能性を信じる思い,平和を求める思い,命と向きあう思い……それぞれの思いがつながっていくとき,自分を変える,社会を変える一歩がきっと生まれるのだと思います.
 読んでくださった方の思いともつながると,これ以上うれしいことはありません.これからも,出会う人たちと思いを響かせあい,それを言葉にして伝えていけたらと願います.
第1章 曲線でつながり,直線を越える

  サラムとサラン
  やさしさでつながる
  輝く瞳を忘れない
  心のふれあいが生む力
  タヌキの恩返し
  心の“塀”を越えて
  人とともに未来を築く
  “伝える”ことの大切さ

第2章 鮮やかなる朝の国へ

  逆流
  母の両の手
  手杵祭り
  「ここ韓国の土になる」
  沙也可の里
  ひとりの存在の大きさ
  目の前にある命を助けたい
  人びとの心を結ぶ架け橋

第3章 心の歳時記

  年賀状から生まれる出会い
  福は内
  入試の○×より,人生を○に
  一生懸命やってみよう
  “北海道力”
  宝物
  父の日
  お弁当
  よかったら,ここ座んなよ
  花言葉は「友情」
  「元気を出して」
  ミホアルダン
  ひとりで生きているんじゃない

第4章 可能性は,いつでもだれにでも広がっている

  一心に彫る
  その友人の分まで
  九十九歳孤高の水彩画家
  夢に向かって
  “ある出会い”

第5章 平和をつくっていくいちばんの道

  この鉄砲が牛蒡であったら
  だれも「無力ではない」
  戦争は人間のしわざです
  沖縄へ
  済州島への旅

第6章 楽しい命,うれしい命にしよう

  しがまっこ溶けた
  託された思いのバトン
  いのちの授業
  あたたかい命
  まるい地球の上で

あとがき
朴 慶南(ぱく きょんなむ)
1950年鳥取県生まれ.作家.執筆のみならず講演活動も活発で,全国を訪ねている.そこでの出会いが新たな交友の輪をひろげ,そんな輪がどんどんふくらんでいる.命(人権)が大切にされる社会をめざし,日本と朝鮮半島のかけ橋に,そして世界中から戦争がなくなるようにという願いを原動力に活動.
著書に『クミヨ!ゆめよ』(未来社),『ポッカリ月が出ましたら』『私の好きな松本さん』(三五館),『いつか会える』(毎日新聞社),『なんとかなるよ,大丈夫』(小学館),『クレドサラヤジ(それでも生きていかなくちゃ)』(北水),『命さえ忘れなきゃ』『私以上でもなく,私以下でもない私』(岩波書店)など.

書評情報

毎日新聞(夕刊) 2009年3月13日
週刊金曜日 2009年1月16日
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