ジャパンクールと江戸文化

いま世界を席捲しているジャパンクールの強さの原点は「江戸文化」ではないか.その可能性を探求する.

ジャパンクールと江戸文化
著者 奥野 卓司
ジャンル 書籍 > 単行本 > 芸術
刊行日 2007/06/28
ISBN 9784000234382
Cコード 0070
体裁 四六 ・ 上製 ・ カバー ・ 238頁
在庫 品切れ
いま世界を席捲しているジャパンクールの強さの原点とはなんだろうか.ジャパンクールというコンテンツの作られ方やビジネスの背景は,実は「江戸文化」にあるのではないか.「江戸文化」をジャパンクールの視点から捉えなおし,それがいまもなお変化と創造を続ける状況を多面的に分析し,新たな可能性を浮き彫りにしてゆく.

■著者からのメッセージ

本書では,このように現代社会に似たありさまが江戸時代中・後期の世相,風俗にいかにみられたかを考察し,その様相を今日と比較することによって,今日の社会における江戸現象の文化的意味と,それらがデジタル化され,新たなジャパンクールとして世界に発信されていく近未来を見通したい.
(本文より




■編集部からのメッセージ

アニメやマンガなど世界を席捲するジャパンクールの強さの原点とはなんだろうか.実はジャパンクールというコンテンツの作られ方や背景には「江戸文化」があるのではないか.社会が成熟したとき,少子化と情報化が進み,人々はさまざまな遊びや芸事のマニアとなり,ネットワークを広げる.それはまさに江戸時代に起こっていたことなのである.本書はその「江戸文化」をジャパンクールの視点から捉えなおし,それがいまもなお変化と創造を続ける存在として,多面的に分析し,その可能性を浮き彫りにしてゆく.
【編集部 岩永泰造】
口上


第1章 ジャパンクールからみえる江戸文化
1 モザイク状に広がる日本文化―パリのジャパンクール
2 変貌するファン層
3 「伝統文化」のニューウェーブ
4 江戸人のクールな生き方
5 江戸時代をフィールドワークする


第2章 コミュニティを再生する江戸文化
1 「こんぴら歌舞伎」は全国から
2 歌舞伎によるまちづくり
3 祇園祭の変容
4 「伝統」の発明


第3章 ジャパンクールとしての江戸文化
1 「開国」していた江戸,「鎖国」している現代
2 江戸文化のデジタル化
3 「モノづくり」から「モノ語りづくり」へ
4 玉三郎のデジタル感覚
5 デジタル歌舞伎へ


第4章 江戸文化の「モエ」の構造
1 「情報化」「成熟化」「多様化」が「江戸」を呼ぶ
2 江戸のメディア文化
3 「数奇者」というオタクのネットワーク
4 「武士道」なんか知らない―マンガとしての「忠臣蔵」
5 エンターテインメントとしてのテクノロジー
6 アニミズムからアニメへ―キャラクターの錬金術
7 鎖国のクニのグローバリズム
8 江戸人の美意識―ワビ・サビ・イキ・モエ


第5章 京都・大坂・名古屋のコンテンツ戦略
1 上方の文化ビジネス戦略
2 京都商法としての家元制・本家制
3 大坂商家のフィランソロピー
4 元気な名古屋の存在理由


第6章 江戸という近未来
1 江戸は「管理社会」か「大衆社会」か
2 クールな江戸町民にとっての幸福―西鶴の教えるネット社会の罠
3 「江戸文化」をデジタル・コンテンツに


主要参考文献
あとがき
奥野 卓司(おくの たくじ)
1950年(昭和25年)京都市生まれ.関西学院大学大学院社会学研究科教授.学術博士.情報人類学・メディア産業論専攻.京都工芸繊維大学大学院修了.米国イリノイ大学人類学部客員准教授,甲南大学文学部教授などをへて,1997年から現職.2005年から同大学情報メディア教育センター長を兼任.現在,ヒトと動物の関係学会副会長,(社)私立大学情報教育協会理事.著書に『日本発イット革命―アジアに広がるジャパン・クール』(岩波書店),『第三の社会』(岩波書店),『人間・動物・機械―テクノアニミズム』(角川新書)など.訳書に『ビル・ゲイツ』(翔泳社),『ジェスチュア』(ちくま学芸文庫)などがある.

書評情報

美術手帖 2008年1月号
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日経広告研究所報 2007年12月号
大阪人 2007年11月号
SFマガジン 2007年10月号
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読売新聞(朝刊) 2007年9月16日
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