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ショック・ドクトリン (上)

惨事便乗型資本主義の正体を暴く

戦争,自然災害を含む大惨事を過激な市場主義経済への荒療治に利用する「グローバル資本主義」の正体.

ショック・ドクトリン (上)
著者 ナオミ・クライン , 幾島 幸子 , 村上 由見子
ジャンル 書籍 > 単行本 > 経済
刊行日 2011/09/08
ISBN 9784000234931
Cコード 0033
体裁 四六 ・ 上製 ・ 402頁
在庫 品切れ
戦争,津波やハリケーンのような自然災害,政変などの危機につけこんで,あるいはそれを意識的に招いて,人びとが茫然自失から覚める前に,およそ不可能と思われた過激な市場主義経済改革を強行する.アメリカとグローバル企業による「ショック療法」は世界に何をもたらしたか.3.11以後の日本を考えるためにも必読の書.


■編集部からのメッセージ
 本書は,2007年秋に刊行された"The Shock Doctrine――The Rise of Disaster Capitalism"の待望の翻訳です.
 著者のナオミ・クラインは1970年生まれのカナダ人.「罪びとの罪を糺す天使」とまで呼ばれる気鋭のジャーナリストです.本書でクラインは,アメリカの自由市場主義がどのように世界を支配したか,その神話を暴いています.ショック・ドクトリンとは,「惨事便乗型資本主義=大惨事につけこんで実施される過激な市場原理主義改革」のこと.アメリカ政府とグローバル企業は,戦争,津波やハリケーンなどの自然災害,政変などの危機につけこんで,あるいはそれを意識的に招いて,人びとがショックと茫然自失から覚める前に過激な経済改革を強行する…….
 発売後すぐ,絶賛する反響が世界的に広がり,ベストセラーになりました.すでに三十数カ国版が,発売済みもしくは発売予定となっています.「この本が災害後の日本の状況を参考にして書かれたのではないかという錯覚さえ感じてしまう.いまこそ日本で読まれるべき本ではないか.邦訳はまだか」といった声が編集部にも届いています.3.11以後の日本を考えるためにも必読です.ご期待ください.
【編集部:清宮美稚子】
■ 上巻目次

序章 ブランク・イズ・ビューティフル――30年にわたる消去作業と世界の改変

第一部 ふたりのショック博士――研究と開発
第1章 ショック博士の拷問実験室――ユーイン・キャメロン,CIA,そして人間の心を消去し,作り変えるための狂気じみた探究
第2章 もう一人のショック博士――ミルトン・フリードマンと自由放任実験室の探究

第二部 最初の実験――産みの苦しみ
第3章 ショック状態に投げ込まれた国々――流血の反革命
第4章 徹底的な浄化――効果を上げる国家テロ
第5章 「まったく無関係」――罪を逃れたイデオローグたち

第三部 民主主義を生き延びる――法律で作られた爆弾
第6章 戦争に救われた鉄の女――サッチャリズムに役立った敵たち
第7章 新しいショック博士――独裁政権に取って代わった経済戦争
第8章 危機こそ絶好のチャンス――パッケージ化されるショック療法

第四部 ロスト・イン・トランジション――移行期の混乱に乗じて
第9章 「歴史は終わった」のか?――ポーランドの危機,中国の虐殺
第10章 鎖につながれた民主主義の誕生――南アフリカの束縛された自由
第11章 燃え尽きた幼き民主主義の火――「ピノチェト・オプション」を選択したロシア

原注


■ 下巻目次

第12章 資本主義への猛進――ロシア問題と粗暴なる市場の幕開け
第13章 拱手傍観――アジア略奪と「第二のベルリンの壁崩壊」

第五部 ショックの時代――惨事便乗型資本主義複合体の台頭
第14章 米国内版ショック療法――バブル景気に沸くセキュリティー産業
第15章 コーポラティズム国家――一体化する官と民

第六部 暴力への回帰――イラクへのショック攻撃
第16章 イラク抹消――中東の“モデル国家”建設を目論んで
第17章 因果応報――資本主義が引き起こしたイラクの惨状
第18章 吹き飛んだ楽観論――焦土作戦への変貌

第七部 増殖するグリーンゾーン――バッファーゾーンと防御壁
第19章 一掃された海辺――アジアを襲った「第二の津波」
第20章 災害アパルトヘイト――グリーンゾーンとレッドゾーンに分断された社会
第21章 二の次にされる和平――警告としてのイスラエル
終章 ショックからの覚醒――民衆の手による復興へ

訳者あとがき
原注/索引
ナオミ・クライン(Naomi Klein)
1970年,カナダ生まれのジャーナリスト,作家,活動家.デビュー作『ブランドなんか,いらない』が世界的ベストセラーとなり,一躍,反グローバリゼーションの語り部となる.第2作目の『貧困と不正を生む資本主義を潰せ』を著したあと,アメリカによるイラク侵攻と占領の現実,戦後の「復興」に群がるグローバル企業に注目し,2004年に現地を取材したことが,3作目の本作につながる.『ニューヨーク・タイムズ』『ガーディアン』『ネーション』など,さまざまな媒体で記事を発表している.トロント在住.

幾島幸子(いくしま さちこ)
翻訳家.訳書に『マルチチュード(上・下)』(アントニオ・ネグリ/マイケル・ハート著,NHKブックス),『思考する言語(上・中・下)』(スティーブン・ピンカー著,NHKブックス,共訳),『なぜ女は昇進を拒むのか』(スーザン・ピンカー著,早川書房,共訳)などがある.

村上由見子(むらかみ ゆみこ)
著述家(表象文化,エスニック研究).慶應義塾大学非常勤講師.著書に『ハリウッド100年のアラブ―魔法のランプからテロリストまで』(朝日選書)など,訳書に『マンハッタン,9月11日―生還者たちの証言』(ディーン・E.マーフィー著,中央公論新社)などがある.

書評情報

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朝日新聞(朝刊) 2011年11月20日
産経新聞 2011年11月20日
週刊東洋経済 2011年11月12日号
京都新聞(朝刊) 2011年10月30日
週刊文春 2011年10月27日号
北海道新聞(朝刊) 2011年10月21日
中国新聞(朝刊) 2011年10月16日
週刊文春 2011年10月13日号
朝日新聞(朝刊) 2011年10月10日
東京新聞(朝刊) 2011年10月9日
毎日新聞(朝刊) 2011年10月6日
東京新聞(夕刊) 2011年9月27日
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