戦争と平和 愛のメッセージ

戦争を体験し時代の変化と真理を見据えてきた著者が,現代日本社会に警鐘を鳴らす.心に染みる言葉の数々.

戦争と平和 愛のメッセージ
著者 美輪 明宏
ジャンル 書籍 > 単行本 > 評論・エッセイ
刊行日 2005/07/27
ISBN 9784000236485
Cコード 0095
体裁 四六 ・ 上製 ・ カバー ・ 54頁
在庫 品切れ
「正義の戦争なんて,ありゃせんのですよ」戦中・戦後を経験し,時代の変化と不変の真理を見据えてきた著者が,不穏な雰囲気を増す現代日本社会に警鐘を鳴らす.人間が平和に,よりよく生きるために必要なのは,真の教養,文化,そして愛――.心に染みる言葉の数々を,美しい装いの本でお届けします.


写真:御堂義乘

■著者からのメッセージ
 今日,あなたが家に帰ると,明日から,お父さんがいなくなる,わが子がいなくなる,ボーイフレンドがいなくなることになっていました.死を約束された旅に出るのです.もう二度と会えなくなるのです.
 さぁ,どうしますか?
 あなたの大切な人に,そんなことが起きたら,どう思いますか?

 若い人たちも,考えてみてください.
 明日から義務として教練を受けて,命令を聞かなかったら鬼軍曹にぶん殴られる,蹴飛ばされる.合コンもなければ,好きな音楽だってろくに聞けない.
 信じられないでしょうけれど,戦争のときには,実際,そうなるんです.

 戦争体験を持たない人たちは,のんびりとかまえてしまっているんですね.
 でも,一度,自分の愛する人がいなくなるということはどういうことなのか,自分が戦争に行くとはどういうことなのか,じっくりと考えてみてください.
――本文より


■編集部からのメッセージ
 歌に舞台にテレビにと,年齢も性別も超え,華麗に活躍する美輪明宏さん.
 美輪さんの多岐に及ぶ表現活動の根幹には,常に「愛」と「美」があります.
 その「愛」と「美」から最も遠いところにあるもの,「愛」と「美」を疎外し,破壊するもの――それが,戦争です.
 美輪さんは長崎で原爆にも遭われ,戦争の不条理さ,悲惨さを,目の当たりにされました.
 また,戦前・戦中・戦後,それぞれの時代を経験される中で,人の世の何が変わり,何が不変の真理であるのかを見つめてこられました.
そして今,美輪さんは,再び戦争に向かいかねない日本社会に警鐘を鳴らしています.

 この『戦争と平和 愛のメッセージ』では,“戦争の正体”と“平和のために本当に必要なこと”が,私たちに身近な生活から,地球全体の歴史にまでわたり,深い洞察力をもって語られています.
 美輪さんの心打つ言葉の数々を,是非,多くのみなさんに味わっていただきたいと願っています.
【編集部:渡部朝香】
美輪 明宏(みわ あきひろ)
1935年,長崎市生まれ.国立音楽大学附属学校中退.17歳でプロ歌手としてデビューし,1957年「メケメケ」が大ヒット,ファッション革命と美貌で衝撃を与える.また日本におけるシンガー・ソング・ライターの先駆けとして「ヨイトマケの唄」ほか,多数の歌を作詞・作曲.1967年,寺山修司の演劇実験室・劇団天井桟敷旗揚げ公演「青森県のせむし男」「毛皮のマリー」に,翌年には三島由紀夫作「黒蜥蜴」に主演し,空前の絶賛を博す.その後も,演劇・コンサート・TV・ラジオ・講演など,多彩に活躍.90年代からは「黒蜥蜴」「毛皮のマリー」などを続々と再演し,1997年,13年ぶりの「双頭の鷲」再演で読売演劇大賞優秀賞を受賞.『紫の履歴書』『ほほえみの首飾り』(水書坊),『人生ノート』(PARCO出版)など,著書多数.

書評情報

週刊朝日 2005年9月2日号
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