連続講義 一九六〇年代 未来へつづく思想

人類危機がさまざまに顕在化した1960年代.抵抗運動を担った当事者が若い世代に語り継ぐ貴重な証言.

連続講義 一九六〇年代 未来へつづく思想
著者 高草木 光一
ジャンル 書籍 > 単行本 > 歴史
刊行日 2011/02/25
ISBN 9784000236997
Cコード 0021
体裁 A5 ・ 並製 ・ カバー ・ 302頁
在庫 品切れ
人類の危機がさまざまな局面で顕在化した1960年代.その時,動き始めた学生運動・市民運動に関わってきた,吉川勇一・原田正純・最首悟・山口幸夫.彼らを講師に迎え,同時代をともに過ごした彼らにとって忘れがたき人物を取り上げ,その体験を生々しく語った連続講義の記録.編者による序論と同時代年表を付す.

■編集部からのメッセージ

人類の危機がさまざまな局面で顕在化した一九六〇年代.その時,動き始めた学生運動・市民運動に関わってきた,吉川勇一・原田正純・最首悟・山口幸夫.彼らを講師に迎え,同時代をともに過ごした彼らにとって忘れがたき人物を取り上げつつ,その体験を生々しく語った連続講義の記録.編者による序論と関連年表を付す.
一九六〇年代から考える 高草木光一

I 一九六〇年代という時代

II 一九四五年と一九六八年

III 小田実の「市民」概念


原水爆禁止運動からベ平連へ 吉川勇一

はじめに

I 原水爆禁止運動

II 六〇年安保闘争

III ベトナム戦争とベトナム反戦運動

IV 脱走兵援助運動,反軍・叛軍闘争

V 市民運動の未来へ


水俣と三池 原田正純

I 水俣病五〇年

II 世界の水俣病

III 三池炭塵爆発による一酸化炭素中毒

IV 歩いてきた路――水俣学へ


東大闘争と学生運動 最首 悟

I 一九六〇年代――「私」の収斂と発散

II 所美津子のフェミニズムと全共闘

III 助手共闘から「いのち学」へ

おわりに


三里塚と脱原発運動 山口幸夫

はじめに

I ぷろじぇ――もう一つの道の模索

II 三里塚闘争と高木仁三郎

III ただの市民が戦車を止めた運動

IV 反原発から脱原発運動へ

おわりに――「坂の上」志向の「知の構造」を問う


あとがき(高草木光一)

関連年表

人名索引
高草木光一(たかくさぎ こういち) 慶應義塾大学経済学部教授

一九五六年群馬県生まれ.慶應義塾大学経済学部卒業.慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学.慶應義塾大学経済学部助手,助教授を経て,二〇〇一年より現職.社会思想史専攻.
『連続講義 「いのち」から現代世界を考える』(編著)岩波書店,二〇〇九年.
『連続講義 東アジア 日本が問われていること』(共編著)岩波書店,二〇〇七年.
Marx for the 21st Century, Routledge, 2006. (共著)
『社会主義と経済学』(共著)日本経済評論社,二〇〇五年.

吉川勇一(よしかわ ゆういち) 平和運動家

一九三一年東京生まれ.東京大学文学部中退.一九五一年日本共産党に入党.東京大学学生自治会中央委員会議長を務め,退学処分を受けた後,原水禁運動の方針をめぐって共産党より除名処分.「ベトナムに平和を!市民連合(ベ平連)」事務局長.現在,「市民の意見30」等で市民運動を展開.
『民衆を信ぜず,民衆を信じる――「ベ平連」から「市民の意見30」へ』第三書館,二〇〇八年.
『反戦平和の思想と行動(コメンタール戦後50年 第4巻)』社会評論社,一九九五年.
『市民運動の宿題――ベトナム反戦から未来へ』思想の科学社,一九九一年.
『資料・「ベ平連」運動』(編著),河出書房新社,全三巻,一九七四年.

原田正純(はらだ まさずみ) 医師

一九三四年鹿児島県生まれ.一九五九年熊本大学医学部卒.六四年医学博士.熊本大学医学部専任講師,同体質医学研究所助教授,熊本学園大学社会福祉学部教授,同水俣学研究センター長等を歴任.二〇一〇年退職.一貫して水俣病の問題に取り組んでいる.
『水俣学講義』(編著)第一集-第四集,日本評論社,二〇〇四-二〇〇七年.
『水俣学研究序説』(共編著)藤原書店,二〇〇四年.
『炭じん爆発――三池三川鉱の一酸化炭素中毒』日本評論社,一九九四年.
『水俣病』岩波新書,一九七二年.
『水俣病は終わっていない』岩波新書,一九八五年.

最首 悟(さいしゅ さとる) 環境哲学者

一九三六年福島県生まれ.東京大学大学院理学系研究科動物学専攻博士課程中退.七七年から水俣にかかわる.七六年に生まれた三女星子のことを中心に,学問,水俣を考え続ける.無用の用,無思想の思想,無派の派のなかに「いのち」を浮かび上がらせようとしている.
『「痞(ひ)」という病いからの――水俣誌々パート2』どうぶつ社,二〇一〇年.
『水俣五〇年――ひろがる「水俣」の思い』(共編著)作品社,二〇〇七年.
『星子が居る』世織書房,一九九八年.
『生あるものは皆この海に染まり』新曜社,一九八四年.

山口幸夫(やまぐち ゆきお) 市民科学者

一九三七年新潟県生まれ.一九六五年東京大学大学院数物系研究科博士課程修了.工学博士.物性物理学専攻.東京大学工学部講師等を経て一九九八年より原子力資料情報室共同代表.一九七二年「ただの市民が戦車を止める」会を結成.一九九九年三里塚「地球的課題の実験村」を結成.
『エントロピーと地球環境』七つ森書館,二〇〇一年.
『理科がおもしろくなる12話』岩波ジュニア新書,二〇〇一年.
『新版 20世紀理科年表』岩波ジュニア新書,一九九八年.
『金属格子の中の文明』社会思想社,一九七六年.

書評情報

図書新聞 2011年9月10日号
東京新聞(夕刊) 2011年4月12日
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