総理の原稿

新しい政治の言葉を模索した266日

鳩山首相演説の作成や情報発信に携わった二人が,これからの政治的コミュニケーションについて語る.

総理の原稿
著者 平田 オリザ , 松井 孝治
ジャンル 書籍 > 単行本 > 社会
刊行日 2011/04/07
ISBN 9784000237253
Cコード 0036
体裁 B6 ・ 並製 ・ 186頁
在庫 品切れ
この国では人々と政治との距離が遠い.それを埋める言葉を求めて,鳩山首相演説の作成やソーシャルメディアによる情報発信に携わった二人が,政権交代の試行錯誤を踏まえつつ,これからの政治的コミュニケーションについて語る.

■編集部からのメッセージ

「私が鳩山さんの演説を書くことになった時に,自分に課したルールがあります.それは,クリーニング屋さんがプレスをしていても,スーパーのおばちゃんが店のBGMで,あるいはタクシーの運転手さんやお客さんが車の中で,それぞれラジオで総理の演説を聞いた時に,耳から入ってわかるようなものにしなければいけないということ.」

(松井孝治氏)



「国民が政治に参加する仕方は選挙だけではない.選挙というのは本当にごくごく一部の手段であって,日常的に私たちは政治にかかわっているわけですから,そのシステムをもう少しだけ変える.いままで自民党の長期政権の中では,それは必要なかったわけです.選挙と陳情,族議員という,そういう非常に限られた,霞が関を中心にした官僚システムを壊して,本当に政治主導を実現するためには,もう一つ大きな,それを支える国民とのコミュニケーションデザインが必要だというのが,まず前提としての実感です.」

(平田オリザ氏)


 2009年に政権交代を果たした鳩山内閣で,松井氏は内閣官房副長官として,平田氏は内閣官房参与として,首相演説のスピーチライターを務めました.そして各界の第一戦で活躍する面々とともに,ツイッターやブログなどの新しいメディア,あるいは市民の声を直接聞く場などを拠点として,政治的なコミュニケーション回路をめぐる試行錯誤を重ねてゆきます.背後にあったのは,国民と政治との距離を近づける,という課題意識でした.

 日本の演説文化,官邸の情報発信機能,記者クラブメディアとの関係――1年に満たない,しかし濃密な試行錯誤を自己検証しながら,ソーシャルメディアが世界を変えつつあるなかで,これからの政治の言葉のありかたについて,この本で語り合い,論じます.

【編集部:大矢一哉】
はじめに平田オリザ


対談 政治のコミュニケーションデザイン      平田オリザ・松井孝治

政権交代 「国民のさらなる勝利に向けて」

「基本方針」から所信表明演説へ

国会演説はどうやってつくられるか

身体性のある言葉

ソーシャルメディアを使う

ツイッターの教訓

「リアル鳩カフェ」

記者会見はオープンに

施政方針演説

官邸機能に足りないもの

国際交流会議演説「アジアの未来」

最後の演説

政治とコミュニケーションデザイン


あとがき松井孝治


資料

「国民のさらなる勝利に向けて」

「基本方針」

「第173回国会における鳩山内閣総理大臣所信表明演説」

「第174回国会における鳩山内閣総理大臣施政方針演説」

「第16回国際交流会議「アジアの未来」鳩山内閣総理大臣スピーチ」
平田オリザ(ひらた おりざ)
1962年生まれ.劇作家,演出家.2009年鳩山内閣において内閣官房参与に就任.劇団「青年団」を主宰.1995年『東京ノート』で第39回岸田國士戯曲賞受賞.現在,大阪大学教授.著書『話し言葉の日本語』(井上ひさし氏との共著,2002年,小学館),『演劇のことば』(2004年,岩波書店).

松井孝治(まつい こうじ)
1960年生まれ.参議院議員(民主党所属).鳩山内閣の官房副長官を務める.1983年通商産業省入省.1994年首相官邸に出向,内閣官房内閣副参事官.1996年通産省大臣官房総務課長補佐を経て行政改革会議調査員.同省退官後,2001年参議院選挙にて京都選挙区より初当選.著書『この国のかたちを変える』(2007年,PHP研究所).

書評情報

朝日新聞(朝刊) 2011年9月18日
毎日新聞(朝刊) 2011年6月26日
日本経済新聞(朝刊) 2011年6月19日
信濃毎日新聞(朝刊) 2011年6月19日
京都新聞(朝刊) 2011年6月5日
琉球新報 2011年5月19日
週刊エコノミスト 2011年5月10日号
毎日新聞(朝刊) 2011年4月30日
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