それでもボクは会議で闘う
ドキュメント刑事司法改革
映画『それでもボクはやってない』の監督が,法制審議会・特別部会の委員に.論争の行方,舞台裏の真実とは?
場違いなところに来てしまった――映画『それでもボクはやってない』で刑事裁判の闇を描いた監督が,思わぬ縁で法制審議会・特別部会の委員に.不祥事のあとも一向に懲りない司法関係者の発言に愕然,もってまわった役人話法に苦戦しながらも,「改革への一歩」を模索する.はたして「密室での取調べ」に光は差し込むのか?
■著者からのメッセージ
2011年,僕はとても長い名前の会議――「法制審議会 新時代の刑事司法制度特別部会」の委員になった.
3年間,30回におよんだ会議に出席して,最終的な取りまとめ案が承認されたあと,記者会見で口をついて出た言葉は,「民主主義は大変ですね」だった.
もともとは郵便不正事件という,検察の不祥事をきっかけに開かれた会議であったはずなのに,自らの組織の非を認めようとしない人たちを相手に,改革の必要性を訴える日々は,虚しさに満ちていた.それでも,最後まで諦めずに言葉を尽した.「民主主義は大変ですね」のひとことは,達成感ではなく,徒労の果ての「やれやれ」だった.
「10人の真犯人を逃すとも,1人の無辜を罰するなかれ」――僕はかつて,監督した映画の冒頭にこの法格言を掲げた.
日本の警察が,検察が,裁判所が,弁護士が,えん罪をつくり出さないために,どんな制度が必要だったのか.会議のスタートから,僕たちがようやく「小さいけれど,確かな1歩」を踏み出すまでを描いたこの本を読んで,改革の「これから」に注目する人が,1人でも増えてくれたらうれしい.
■編集部からのメッセージ
本書は『Shall we ダンス?』『舞妓はレディ』など,話題作を世に送り出してきた映画監督の周防正行さんがつづった,「闘いの記録」です.
どんな闘いなのか.
監督は,痴漢えん罪事件を扱った映画『それでもボクはやってない』の取材をきっかけに,「99パーセントの有罪率」「人質司法」「密室での取調べ」等など,日本の刑事裁判の不条理に衝撃をうけ,映画の公開後も,えん罪をなくすための改革を訴えてきました.
「職業柄なのか性格なのか,好奇心には抗えない」と法制審議会・特別部会の委員を引きうけたものの,刑事司法改革への抵抗は予想以上に大きく,葛藤の日々がはじまります.
それでも,足利事件,布川事件,PC遠隔操作事件と,深刻なえん罪があとをたたない状況に黙ってはいられないと,監督がよりよい着地点を模索する様子が,手に汗握るタッチで描かれています.
法制審議会の委員が,みずから会議をふり返って語ることは異例のことです.法律・裁判に興味のある方はもちろん,「取調べの可視化」ってなに? というあなたにも,“法律の素人”の苦闘を,ぜひ見届けていただければと思います.
■著者からのメッセージ
2011年,僕はとても長い名前の会議――「法制審議会 新時代の刑事司法制度特別部会」の委員になった.
3年間,30回におよんだ会議に出席して,最終的な取りまとめ案が承認されたあと,記者会見で口をついて出た言葉は,「民主主義は大変ですね」だった.
もともとは郵便不正事件という,検察の不祥事をきっかけに開かれた会議であったはずなのに,自らの組織の非を認めようとしない人たちを相手に,改革の必要性を訴える日々は,虚しさに満ちていた.それでも,最後まで諦めずに言葉を尽した.「民主主義は大変ですね」のひとことは,達成感ではなく,徒労の果ての「やれやれ」だった.
「10人の真犯人を逃すとも,1人の無辜を罰するなかれ」――僕はかつて,監督した映画の冒頭にこの法格言を掲げた.
日本の警察が,検察が,裁判所が,弁護士が,えん罪をつくり出さないために,どんな制度が必要だったのか.会議のスタートから,僕たちがようやく「小さいけれど,確かな1歩」を踏み出すまでを描いたこの本を読んで,改革の「これから」に注目する人が,1人でも増えてくれたらうれしい.
■編集部からのメッセージ
本書は『Shall we ダンス?』『舞妓はレディ』など,話題作を世に送り出してきた映画監督の周防正行さんがつづった,「闘いの記録」です.
どんな闘いなのか.
監督は,痴漢えん罪事件を扱った映画『それでもボクはやってない』の取材をきっかけに,「99パーセントの有罪率」「人質司法」「密室での取調べ」等など,日本の刑事裁判の不条理に衝撃をうけ,映画の公開後も,えん罪をなくすための改革を訴えてきました.
「職業柄なのか性格なのか,好奇心には抗えない」と法制審議会・特別部会の委員を引きうけたものの,刑事司法改革への抵抗は予想以上に大きく,葛藤の日々がはじまります.
それでも,足利事件,布川事件,PC遠隔操作事件と,深刻なえん罪があとをたたない状況に黙ってはいられないと,監督がよりよい着地点を模索する様子が,手に汗握るタッチで描かれています.
法制審議会の委員が,みずから会議をふり返って語ることは異例のことです.法律・裁判に興味のある方はもちろん,「取調べの可視化」ってなに? というあなたにも,“法律の素人”の苦闘を,ぜひ見届けていただければと思います.
はじめに――刑事裁判にこだわり続ける理由
第I部 会議は踊る,されど……
1 委員デビューの日
2 特別部会“最大の使命”――取調べの録音・録画を考える
3 証拠の全面開示は不可能なのか――法曹界の「常識」への挑戦
4 身体拘束への想像力――人質司法は存在しない?
5 五人の非法律家委員,動き出す
第II部 巻き返せるか? 官僚式取りまとめ
6 袴田事件の衝撃
7 「可視化」の仕組みをつくる――役人話法との悪戦苦闘
8 最高検「依命通知」で急展開――「可視化」の仕組みをつくる(2)
9 一つ先の案を求めて――「可視化」の仕組みをつくる(3)
10 二つのテーマ,一歩前進なるか――証拠開示・人質司法の着地点は
第III部 大きな改革への「第一歩」として
11 なぜボクは妥協したのか
おわりに――民主主義は大変だ
巻末資料――法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」資料URL一覧
法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」委員等名簿
「新時代の刑事司法制度特別部会 取りまとめに向けての意見」
「新時代の刑事司法制度特別部会 取りまとめに向けての再意見」
カバー・中扉イラスト 内澤旬子
第I部 会議は踊る,されど……
1 委員デビューの日
2 特別部会“最大の使命”――取調べの録音・録画を考える
3 証拠の全面開示は不可能なのか――法曹界の「常識」への挑戦
4 身体拘束への想像力――人質司法は存在しない?
5 五人の非法律家委員,動き出す
第II部 巻き返せるか? 官僚式取りまとめ
6 袴田事件の衝撃
7 「可視化」の仕組みをつくる――役人話法との悪戦苦闘
8 最高検「依命通知」で急展開――「可視化」の仕組みをつくる(2)
9 一つ先の案を求めて――「可視化」の仕組みをつくる(3)
10 二つのテーマ,一歩前進なるか――証拠開示・人質司法の着地点は
第III部 大きな改革への「第一歩」として
11 なぜボクは妥協したのか
おわりに――民主主義は大変だ
巻末資料――法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」資料URL一覧
法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」委員等名簿
「新時代の刑事司法制度特別部会 取りまとめに向けての意見」
「新時代の刑事司法制度特別部会 取りまとめに向けての再意見」
カバー・中扉イラスト 内澤旬子
周防正行(すお まさゆき)
1956年東京都生まれ.映画監督.立教大学文学部仏文科卒業.
作品に『ファンシイダンス』(1989),『シコふんじゃった.』 (1992),『Shall we ダンス?』(1996),『それでもボクはやってない』(2007),『ダンシング・チャップリン』(2011),『終の信託』(2012),『舞妓はレディ』(2014)ほか.
著書に『「Shall weダンス?」アメリカを行く』(文春文庫,2001),『それでもボクはやってない――日本の刑事裁判,まだまだ疑問あり!』(幻冬舎,2007),『周防正行のバレエ入門』(太田出版,2011)など.
1956年東京都生まれ.映画監督.立教大学文学部仏文科卒業.
作品に『ファンシイダンス』(1989),『シコふんじゃった.』 (1992),『Shall we ダンス?』(1996),『それでもボクはやってない』(2007),『ダンシング・チャップリン』(2011),『終の信託』(2012),『舞妓はレディ』(2014)ほか.
著書に『「Shall weダンス?」アメリカを行く』(文春文庫,2001),『それでもボクはやってない――日本の刑事裁判,まだまだ疑問あり!』(幻冬舎,2007),『周防正行のバレエ入門』(太田出版,2011)など.
書評情報
自由と正義 2015年10月号
週刊現代 2015年6月27日号
サンデー毎日 2015年6月14日号
中国新聞(朝刊) 2015年6月14日
しんぶん赤旗 日曜版 2015年6月7日
週刊東洋経済 2015年5月30日号
週刊朝日 2015年5月29日号
東京新聞(朝刊) 2015年5月24日
読売新聞(夕刊) 2015年5月23日
岩手日報 2015年5月10日
週刊現代 2015年6月27日号
サンデー毎日 2015年6月14日号
中国新聞(朝刊) 2015年6月14日
しんぶん赤旗 日曜版 2015年6月7日
週刊東洋経済 2015年5月30日号
週刊朝日 2015年5月29日号
東京新聞(朝刊) 2015年5月24日
読売新聞(夕刊) 2015年5月23日
岩手日報 2015年5月10日