地域間格差と地域衰退の問題は根が深い.ただ単に,小泉「構造改革」を批判していればすむ問題ではない.その起源をさかのぼると,いずれも中曽根政権期の「行革」「民営化」路線に行き着くからだ.この20年あまり,政府がとってきた政策そのものが根底的に問い直されねばならない.
実際,「新自由主義」の政策とともに,この社会は静かに壊れ始めている.職業の「職」も,食べる「食」と「農」も崩れており,住む地域も壊れつつある.だが,地域の現実をひとつも見ることなく,「住めない地域から出ていけばよい」といった無責任な言説が公然と発せられる.たちが悪いことに,一部は地域崩壊がひどくなるにつれて,前言を一切反省することがないままひるがえし,あたかも地方や地域を救うかのような言説へとモデルチェンジを図る者もいる.イラク戦争に関しても同じことが起きていることを思えば,この国では,言説の無責任は日常の出来事かもしれない.しかし,それは一つの立派な「犯罪」と言ってよいのではないか.
本物は別のところに存在している.それは,息長く地域を取材してきた若手ジャーナリストたちである.偽物の言説を暴くためにも,彼らと組んで,崩壊する地域のありのままの現実を伝えたい.そして,その根底に流れている原因を探り当て,真のオルタナティブを提示しなければいけない──筆者は強くそう思うようになっている.
問題の本質に届くまでディープに,そして地域再生への新しい視点の発見を──それが果たせたかどうかは,読者の率直な評価にゆだねたい.
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金子 勝
高端正幸 |
(本書「はじめに」より) |