地域切り捨て 生きていけない現実

著者からのメッセージ/執筆者略歴/目次


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2007夏,なぜ自民党は大敗したのか? いま,地方の投票者の反乱が起きている.次の総選挙でも同じことが起こる可能性はきわめて高い.いったい何が起きているのか? その理由をあますところなく語る.

著者からのメッセージ

 地域間格差と地域衰退の問題は根が深い.ただ単に,小泉「構造改革」を批判していればすむ問題ではない.その起源をさかのぼると,いずれも中曽根政権期の「行革」「民営化」路線に行き着くからだ.この20年あまり,政府がとってきた政策そのものが根底的に問い直されねばならない.
 実際,「新自由主義」の政策とともに,この社会は静かに壊れ始めている.職業の「職」も,食べる「食」と「農」も崩れており,住む地域も壊れつつある.だが,地域の現実をひとつも見ることなく,「住めない地域から出ていけばよい」といった無責任な言説が公然と発せられる.たちが悪いことに,一部は地域崩壊がひどくなるにつれて,前言を一切反省することがないままひるがえし,あたかも地方や地域を救うかのような言説へとモデルチェンジを図る者もいる.イラク戦争に関しても同じことが起きていることを思えば,この国では,言説の無責任は日常の出来事かもしれない.しかし,それは一つの立派な「犯罪」と言ってよいのではないか.
 本物は別のところに存在している.それは,息長く地域を取材してきた若手ジャーナリストたちである.偽物の言説を暴くためにも,彼らと組んで,崩壊する地域のありのままの現実を伝えたい.そして,その根底に流れている原因を探り当て,真のオルタナティブを提示しなければいけない──筆者は強くそう思うようになっている.
 問題の本質に届くまでディープに,そして地域再生への新しい視点の発見を──それが果たせたかどうかは,読者の率直な評価にゆだねたい.
金子 勝
高端正幸

(本書「はじめに」より)


執筆者略歴

編著
金子 勝(かねこ まさる)
1952年生まれ.経済・財政学者.東京大学大学院経済学研究科博士課程修了.現在,慶應義塾大学経済学部教授.著書に『環境エネルギー革命』(共著,アスペクト),『金子勝の 食から立て直す旅』,『金子勝の 仕事道!』(ともに岩波書店),『戦後の終わり』(筑摩書房),『2050年のわたしから』(講談社)など.

編著
高端正幸(たかはし まさゆき)
1974年生まれ.財政学者.東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学.現在,聖学院大学政治経済学部准教授.著書に『公私分担と公共政策』(共著,日本経済評論社),『希望の構想──分権・社会保障・財政改革のトータルプラン』(共著,岩波書店),『財政学』(共著,有斐閣),『地方交付税 何が問題か』(共著,東洋経済新報社)など.

鈴木 徹(すずき とおる)
〈第1章,第2章〉
北海道新聞報道本部記者.1967年生まれ.日銀,金融庁,農水省,首相官邸などの担当を経て,現職.地方自治や金融問題などを取材.

葉上太郎(はがみ たろう)
〈第3章,第5章〉
地方自治ジャーナリスト.全国紙記者を経て,2000年よりフリー.住民の視点からの地方自治が専門.

浜田裕造(はまだ ゆうぞう)
〈第4章,第6章〉
NHK制作局ディレクター.1967生まれ.NHK広島放送局などを経て,現職.介護・医療現場の問題や地域の問題をテーマに,多くの番組を制作.

松井克明(まつい かつあき)
〈第2章〉
フリー・ジャーナリスト.1973年生まれ.雑誌社にて文化人・メディア批評を主に担当.2004年3月以降はフリー編集・取材記者として活動.


目次

はじめに

第1章 夕張破綻 もう一つのストーリー  金子 勝・鈴木 徹・高端正幸

第2章 民営化のツケ 誰がそれを払うのか?
金子 勝・鈴木 徹・高端正幸・松井克明

第3章 〈合併〉症 国のモデルは破綻する  金子 勝・高端正幸・葉上太郎

第4章 使えない介護保険 使わせない介護保険
金子 勝・高端正幸・浜田裕造

第5章 原発のつぎは原発  金子 勝・高端正幸・葉上太郎

第6章 命の値段 地域医療が壊れていく  金子 勝・高端正幸・浜田裕造

第7章 兵糧攻め 追いつめられる自治体財政  金子 勝・高端正幸

終 章 貧困化する想像力 地方から日本が崩れる  金子 勝・高端正幸

用語解説
あとがき
初出一覧


夕張市内の炭鉱住宅(第1章参照)


福島第一原発・遠景(第5章参照)



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