検証 日露首脳交渉

冷戦後の模索

領土返還と平和条約締結に向けた両国首脳の熱気は,再び凍り付いてしまった.いま明かされる交渉の全容.

検証 日露首脳交渉
著者 佐藤 和雄 , 駒木 明義
ジャンル 書籍 > 単行本 > 政治
刊行日 2003/03/26
ISBN 9784000242196
Cコード 0031
体裁 四六 ・ 上製 ・ カバー ・ 374頁
在庫 品切れ
冷戦後,90年代に入って北東アジアでも日米中露の4大国間での新たなパワーゲームが始まった.日露両国首脳は北方領土返還と平和条約締結に向け,総力を上げて交渉を重ねた.あの熱気は,なぜ再び凍り付き,冷戦期の振り出しに戻ってしまったのか? 現場の中枢にいて取材を重ねた記者によって,いま明かされる交渉の全容.


■著者からのメッセージ
 日露関係は,冷戦後の日本が抱えるどの2国間関係よりも波乱に富んだストーリーをたどった.私たち2人は,日本政府の秘密主義のベールの中で,交渉当事者やその周辺への取材を重ねた.4年以上をかけて得られた証言や秘密資料を基に,舞台裏をできるだけ詳細に再現したのがこの本だ.
 橋本龍太郎,小渕恵三,森喜朗,エリツィン,プーチン,鈴木宗男,佐藤優,田中真紀子,丹波實,東郷和彦――.舞台に登場する役者たちのいずれ劣らぬ個性が,このストーリーを魅力溢れるものにしてくれた.太平洋をはさむ日米中露という主要国によるパワーゲームの構造と具体な姿を描くとともに,政治家と外務官僚の希望と野心と失意を伝える秘められたエピソードも盛り込むよう心がけた.日露交渉はなぜ迷走を余儀なくされたのか.今後の展開はどうなるのか.そうした問いについて考える人たちに,本書が手がかりとなってくれれば幸いである.
佐藤和雄,駒木明義


■編集部からのメッセージ
 ムネオVS真紀子の暗闘,対露二元外交の怪.
 日露交渉をめぐって,去年の今頃は,ワイドショーを中心にかなりヒートアップした報道合戦が繰り広げられていました.
 ムネオも真紀子も政界から身を隠し,外交の本題が北朝鮮とイラクに移ったいま,日露関連の報道がブラウン管からはたと消えてしまいました.
 いったいあの熱気はなんだったのか,なぜこれほど急激に熱気が冷めてしまったのか.ロシア側の熱気も冷めているのだろうか? そんな疑問を抱きつつ,本書を読み進めていただくと,両国側の交渉の一部始終を知る立場にあった両記者の淡々とした記述の中に,知恵を絞って冷戦の問題を解決しようとするエリツィン・プーチン・橋本・小渕・森・小泉ら両国首脳と,それを冷戦のステージに引き戻す国内圧力の強さとのせめぎあいが,まるで大河小説を読むかのように,手に取るように見えてくるはずです.
 北方領土交渉の全容を解明し,秘められた首脳交渉のやり取りを始めて明らかにし,取材の広さ深さ,裏づけ資料の確かさで,他に類を見ない本であると自信をもってお奨めします.
北方四島関係地図
序 章 「白く輝く髪の男」

第I部 ゴルバチョフからエリツィンへ
第1章 海部・ゴルバチョフ会談
第2章 ソ連崩壊とロシアの変化
第3章 存在しないとされた秘密提案

第II部 第二期エリツィン政権との高揚と失望
第4章 新しい展開
第5章 リュウとボリス
第6章 新しい対露三原則
第7章 クラスノヤルスク会談
第8章 クラスノの後で
第9章 川奈提案の決断
第10章 川奈会談の誤算
第11章 日露関係の変調
第12章 暗 転
第13章 会談前夜
第14章 モスクワ会談
第15章 エリツィン辞任
第16章 鈴木問題

第III部 プーチン政権との混乱と停滞
第17章 転 回
第18章 密 使
第19章 果 実
第20章 混 迷
第21章 新しい海図
資料・あとがき
佐藤和雄
1957年生.早稲田大学政経学部卒業.朝日新聞ニューヨーク特派員を経て,現在同紙大阪本社社会部次長.

駒木明義
1966年生.東京大学教養学部卒業.朝日新聞政治部記者.
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