日本の書物への感謝

『古事記』にはじまり,『枕草子』,『謡曲集』,芭蕉から鶴屋南北まで,いまの自分を形づくってきた書物たち.

日本の書物への感謝
著者 四方田 犬彦
ジャンル 書籍 > 単行本 > 評論・エッセイ
刊行日 2008/10/30
ISBN 9784000242592
Cコード 0095
体裁 四六 ・ 上製 ・ カバー ・ 278頁
在庫 品切れ
『古事記』にはじまり,『枕草子』『方丈記』『謡曲集』,芭蕉から鶴屋南北まで,いまの自分を形づくってきた書物たち.若いころに親しんだその追憶のままに本を手にし,再読する幸福,そしてあらたに気づかされたこと.日本の古典に感謝の気持ちをこめて,みずからの読書遍歴をたどった1冊.わたしたちには日本の古典があった!

■著者からのメッセージ

往古に記された書物を読むことは,学会の動向を知る目的で情報蒐集のため最新論文に目を通すこととは,まったく異なった体験である.この10年ほどのことだが,わたしは外国に旅行や滞在で向かうたびに,旅行鞄のなかに『風土記』や『金槐和歌集』といった,以前であればまず考えられなかった書物を忍ばせ,無為の時間を見つけて頁を捲るということを習慣とするようになった.わたしはようやくこうした書物を,心の慰めとして必要とする年代にさしかかったのかもしれない.(中略)だが,これ以上,抽象的な懸念は慎むことにしよう.つまらない思惑は捨てて,迷わずに日本の古典を読み直そうではないか.幼い頃に垣間見ながら,これまで敬遠してきた書物に対して,自然に感謝の気持ちを書き記す時節が到来したというのなら,どうしてそれを頑なな姿勢で拒むことがあるだろう.これから読者が読まれることになるのは,こうした動機に基づいたエッセイであることを,理解していただきたい.
(本書「前書」より)


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日本の古典を読み直そうではないか! 『古事記』にはじまり,『枕草子』,『謡曲集』,芭蕉から 鶴屋南北まで,いまの自分を形づくってきた書物たち
前書
『古事記』
『出雲国風土記』
『竹取物語』
『万葉集』
『枕草子』
『源氏物語』
『今昔物語集』
『梁塵秘抄』
浦島太郎
『金槐和歌集』
『方丈記』
『歎異抄』
『正法眼蔵』
『徒然草』
『神道集』
『謡曲集』
『さんせう太夫』
『天地始之事』
芭蕉
井原西鶴
蕪村
平賀源内
上田秋成
鶴屋南北
 後書
四方田犬彦(よもた いぬひこ)
1953年生まれ.東京大学文学部で宗教学を,同人文系大学院で比較文学を学ぶ.ソウルの建国大学,コロンビア大学,ボローニャ大学,テルアヴィヴ大学などで客員教授・客員研究員を務め,現在は明治学院大学教授として映画史の教鞭を執っている.映像,文学,演劇,都市,料理,アジア論と,さまざまなジャンルで批評的探求を行う.
文学関係の主な著書に『叙事詩の権能』(哲学書房),『貴種と転生・中上健次』(ちくま学芸文庫),『摩滅の賦』(筑摩書房),『航海の前の読書』(五柳書院),『先生とわたし』(新潮社)があり,『映画史への招待』(岩波書店)でサントリー学芸賞を,『モロッコ流謫』(新潮社)で伊藤整文学賞を,また『日本のマラーノ文学』『翻訳と雑神』(人文書院)で桑原武夫学芸賞を受けた.他にサイード,パゾリーニ,マフムード・ダルウィーシュの翻訳がある

書評情報

Richer 2009年2月号
聖教新聞 2009年1月14日
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