秘密保護法 何が問題か

検証と批判

秘密保護法の諸論点を網羅し,第一線の研究者がその危険性を明らかにする.逐条解釈と資料編を収録.

秘密保護法 何が問題か
著者 海渡 雄一 , 清水 勉 , 田島 泰彦
ジャンル 書籍 > 単行本 > 政治
刊行日 2014/03/28
ISBN 9784000245197
Cコード 0031
体裁 A5 ・ 並製 ・ 374頁
在庫 品切れ
「何が秘密? それも秘密」――中身の検討も不十分なまま可決された秘密保護法.秘密を漏らした公務員のみならず市民も罰される可能性のある危険な法律として,短期間のうちに世論が盛り上がった.本書は,この法律の論点を網羅し,第一線の研究者によってその危険性を明らかにする.逐条解釈と豊富な資料編も収録.

■編集部からのメッセージ

「何が秘密? それも秘密.」――短い審議時間で,中身の検討も充分でないまま可決・成立した秘密保護法.政府の秘密を漏らした公務員のみならず,取材を通じてそれを得た記者や市民なども罰せられてしまいかねない危険な法律だとして,短期間のうちに大きな声が全国的にあがりました.
 本書は,この法律のさまざまな問題点や論点を網羅し,第一線の研究者の方々によってその危険性を明らかにします.さらに,逐条解釈と豊かな資料編によって,法の具体的運用がどうなるかという点も検証します.論集として,また資料集として,ご活用ください.
【『世界』編集部:熊谷伸一郎】
序章 国家・情報・民主主義
隷従しないために,鎖の衣を解く  西谷 修
「犯行声明」を見逃していた主権者  想田和弘
萎縮はジャーナリズムの敗北  原 寿雄
「理性の経路」を選ぶとき  澤地久枝

第1部 自由と平和はどう脅かされているか
緒言 日本国憲法の基本原理が脅かされている
表現を規制し情報を統制する秘密保護法  田島泰彦
政党政治・議会政治の劣化と秘密保護法  山口二郎
安全保障政策からみた秘密保護法の文脈  青井未帆
自衛隊と平和主義の行方  前田哲男
秘密保護法と軍機保護法・国防保安法  荻野富士夫
民主的な対話阻む悪法――破壊される「歴史紡ぐ作業」  太田昌克
炙り出された大メディアの分裂と混迷  桂 敬一
《対談》「多事封論」をどう崩すか  鳥越俊太郎×金平茂紀

第2部 秘密保護法とはどのような法律か
緒言 部分的修正では繕えない根本的欠陥を持つ法律
独立した監視機関は準備されているか  海渡雄一
国連人権条約から見た秘密保護法の問題性  藤田早苗
刑事法から見た秘密保護法の問題点  村井敏邦
諸外国の適性評価制度との比較  清水 勉
情報公開法の権利を形骸化させる秘密保護法  齋藤 裕
公文書管理と秘密保護法  牧田潤一朗
《座談会》社会を侵食する公安警察  原田宏二×清水 勉×青木 理

第3部 秘密保護法逐条解説  清水 勉
《解説》官僚の,官僚による,官僚のための法律
第一章 総 則
第二章 特定秘密の指定等
第三章 特定秘密の提供
第四章 特定秘密の取扱者の制限
第五章 適性評価
第六章 雑 則
第七章 罰 則
附 則

第4部 資料ツワネ原則――「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則」
《解説》ツワネ原則の全条項とその意義  海渡雄一

語句の定義
第1章 一般的諸原則
第2章 国家安全保障を理由に秘匿され得る情報と開示されるべき情報
第3章A 情報の機密指定及び機密解除に関する規則
第3章B 情報請求の扱いについての規則
第4章 国家安全保障と情報への権利の司法的側面
第5章 安全保障部門を監視する機関
第6章 公務関係者による公益的開示
第7章 公衆への情報暴露に対する制裁又は制約行為の制限
第8章 結びの原則

あとがきにかえて――主権者には法律の廃止を求める権利がある  海渡雄一

海渡雄一(かいど ゆういち)
弁護士.日弁連秘密保全法制対策本部副本部長.著書に『何のための秘密保全法か』『共謀罪とは何か』(ともに岩波ブックレット),『原発訴訟』(岩波新書)など.
清水 勉(しみず つとむ)
弁護士.日弁連情報問題対策委員会委員長・秘密保全法制対策本部事務局長.著書に『「マイナンバー法」を問う』(岩波ブックレット)など.
田島泰彦(たじま やすひこ)
上智大学文学部新聞学科教授.憲法,メディア法.著書に『人権か 表現の自由か』(日本評論社),『この国に言論の自由はあるのか』(岩波ブックレット)など

書評情報

毎日新聞(朝刊) 2015年1月25日
法学セミナー 2014年7月号
朝日新聞(朝刊) 2014年6月1日
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