福島原発事故 東電テレビ会議49時間の記録

東電が隠し続けたテレビ会議記録.事故原因解明のカギ,初期対応を巡る「運命の49時間」を明らかにする.

福島原発事故 東電テレビ会議49時間の記録
著者 福島原発事故記録チーム , 宮﨑 知己 解説 , 木村 英昭 解説
ジャンル 書籍 > 単行本 > 社会
刊行日 2013/09/27
ISBN 9784000246866
Cコード 0036
体裁 B5 ・ 並製 ・ 430頁
在庫 品切れ
メルトダウンにいたる「運命の49時間」.東電が隠し続けたテレビ会議の記録.そこに刻まれた様々な肉声をすべて起こし,刊行する.迫り来る格納容器爆発の危機,そして,撤退計画の浮上…….原子炉制御に失敗した東電内部の生々しいやりとりは,事故原因の解明に迫るカギである.福島原発事故を検証する基礎資料の決定版.

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『福島原発事故 東電テレビ会議49時間の記録』
福島原発事故記録チーム 編
宮﨑知己,木村英昭 解説

■解説者からのメッセージ

 今なお14万人もの住民に避難所生活を強いる東京電力福島原発事故.この事故の収束作業の実態を克明に刻みながら,東電が頑に開示を拒んだ記録があった.福島第一原発の幹部と東電本店の首脳・幹部らのやりとりを録画したテレビ会議映像記録だ.判断ミスによる3号機の事態悪化の際にとられたマスコミに対する箝口令,必要だと分かっているのに一向に進められない水や消防車や燃料の調達,実は失敗続きだった「ベント作業」,2号機爆発の危機を前に進められた撤退計画…….6分割されたテレビ画面で飛び交う肉声からは,私たちが当然知っておかねばならぬのに,知ることが妨げられていた真実が続々と浮かび上がる.キャンペーン報道で東電に記録を開示させた朝日新聞記者2人の解説付きで捧げる49時間分の音声の文字起こし.全430ページを読み終えたとき,あなたはあの忌まわしい原発事故の実相をようやく知ることになる.
宮﨑知己


■編集部からのメッセージ

 2011年3月12日22時59分から3月15日0時6分までの49時間7分.福島第一原発では何が起こっていたのか,官邸や原子力安全・保安院は何を指示したのか,福島県など地元自治体への情報提供,被曝を避けるための住民への対応はいかに見過ごされていったか…….そのすべてが本書の79万字にあります.解説は最小限に抑え,テレビ会議での発言をそのまま文字化したドキュメントです.残念ながら49時間のテレビ会議映像記録は東電本店での報道機関に限ってしか視聴できない状況ですが,11時間13分32秒は東京電力のホームページで視聴ができます(2013年10月現在).その公開映像すべて,279カ所(ファイル)の映像開始場所も発言者と発言内容とともに記載しています.ぜひ映像も視聴しながら本書をお読みください.
渡辺勝之
はじめに
東電テレビ会議映像記録について
主な登場人物
凡例
3月12日22:59
3月13日12:00
3月14日00:00
3月14日12:00
原子力発電所用語集
公開映像リスト
あとがき
宮﨑知己(みやざき ともみ)
1964年大阪府布施市(現東大阪市)生まれ.バブル期の1988年,神戸大学を卒業し住友銀行に入行.1990年に朝日新聞社に転職し,水戸,青森支局で原発・核燃料サイクル問題を取材.その後,経済部でトヨタ自動車や新日本製鉄,金融庁を担当.2006年に特別報道チーム記者として電機・精密産業の偽装請負問題に取り組み,翌年,一連の報道で石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞を共同で受賞した.その際,偽装請負に苦しむ若者世代を「ロストジェネレーション」と呼ぼうと提起.この言葉は「ロスジェネ」として流行語になる.2011年からは朝日新聞の福島原発事故問題の連載企画「プロメテウスの罠」のデスク兼ライターを務め,2012年に同連載で新聞協会賞と石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞を受賞.さらに2013年に「東京電力テレビ会議記録の公開キャンペーン報道」で同早稲田ジャーナリズム奨励賞を受賞.現在,朝日新聞デジタル委員.
木村英昭(きむら ひであき)
1968年鳥取県生まれ.ジャーナリスト.朝日新聞で記者をしている.同紙記者として,2006年から4年間,福島県の郡山支局に勤務.現在,東京本社経済部に所属.著書に『検証 福島原発事故官邸の一〇〇時間』(2012年,岩波書店),『ヤマは消えても三池CO中毒患者の記録』(1997年,葦書房),共著に『国立公園は誰のものかルポ新尾瀬を歩く』(2010年,彩流社)など,共編著に『三井三池炭鉱炭じん爆発事件史料集成第Ⅰ期・第Ⅱ期』(2005年・2007年,柏書房).朝日新聞の「プロメテウスの罠」取材班の一員として2012年度の新聞協会賞と石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞を受賞.さらに2013年に「東京電力テレビ会議記録の公開キャンペーン報道」で同早稲田ジャーナリズム奨励賞を受賞.法政大学大原社会問題研究所嘱託研究員,早稲田大学ジャーナリズム教育研究所招聘研究員.

書評情報

しんぶん赤旗 2014年1月19日

受賞情報

日隅一雄・情報流通促進賞2014〔特別賞〕
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