揺れる大欧州

未来への変革の時

ギリシャ危機やEU懐疑論に揺れる大欧州の未来はいかに.「第三の道」欧州版が未来への選択を迫る.

揺れる大欧州
著者 アンソニー・ギデンズ , 脇阪 紀行
ジャンル 書籍 > 単行本 > 政治
刊行日 2015/10/06
ISBN 9784000254212
Cコード 0031
体裁 四六 ・ 並製 ・ カバー ・ 268頁
在庫 品切れ
ギリシャの離脱を願う経済至上主義の声,極右政党のEU懐疑論,民主的な正当性を欠くEU統治に「怒れる人々」や「五つ星運動」.周辺国からのろしが上がり分断と紛争が大陸に再来するのか.「ヨーロッパ合衆国が「揺れる大欧州」を一変させる」.チャーチルの演説から約七〇年,ユーロ危機が示すEUの機能不全は反緊縮の福祉モデル,移民と市民,気候変動,安全保障の再考を促す.

■編集部からのメッセージ

ギリシャのユーロ離脱を願う経済至上主義の声,極右政党のEU懐疑論,民主的な正当性を欠くEU統治に「怒れる人々」や「五つ星運動」.周辺国からのろしが上がり分断と紛争が大陸に再来するのか.「ヨーロッパ合衆国が「揺れる大欧州」を一変させる」.チャーチルの演説から約70年,ユーロ危機が示すEUの機能不全は,反緊縮の福祉モデル,移民と市民,気候変動,安全保障の再考を促しています.平常時の正式な「EU1」,メルケル独首相が主導する緊急時の「EU2」,野心的だが実行を伴わない「紙のヨーロッパ」,この3つの道具立てによる分析で,『第3の道』の著者が,EU悲観論が大勢を占める今,未来への変革を提示します.
2014年ヨーロッパブック賞受賞のアンソニー・ギデンズの最新話題作である本訳書は,原著刊行後の,イギリスの総選挙やギリシャの最新情勢の分析を加味した日本語版オリジナルの増補版刊行です.


■ 「序章」より

公平にみてEUは,多くの成功にもかかわらず,市民層のどこにも感情的土台を築いていなかった.……チャーチルが語った「広がりを持った愛国心の感覚と共通の市民権」は,ついに姿を見せなかった.EUは,これからの数年間で,市民層にもっと近づかなければならないし,逆もまた然りである.……本書を執筆するのは,そうした過程がどのように起きるのかを探求するためだ.
謝 辞
序 章
第一章 運命共同体としてのEU
第二章 緊縮政策とその影響
第三章 社会モデルはもうなくなったのか
第四章 世界市民に必要なこと
第五章 気候変動とエネルギー
第六章 EUの安全保障政策の行方
結 論
訳者あとがき

人名索引/事項索引
アンソニー・ギデンズ
(Anthony Giddens)
1938年,英国ロンドンで生まれる.ハル大学で学んだ後,LSE(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス・アンド・ポリティカル・サイエンス)に進学.その後,レスター大学専任講師,ケンブリッジ大学教授を経て,1997年から2003年までLSEの学長.現在は上院議員を務める.主な邦訳書に,『資本主義と近代社会理論』(研究社出版),『社会理論の最前線』(ハーベスト社),『社会学』(而立書房),『第三の道』(日本経済新聞社),『暴走する世界』(ダイヤモンド社).
訳:脇阪紀行(わきさか のりゆき)
1954年生まれ.京都大学法学部卒業.1979年に朝日新聞社入社.松山支局,和歌山支局,経済部,バンコク特派員を経て,1997年から東南アジア担当の論説委員.その後,ブリュッセル支局長,外報部次長,2006年から国際担当の論説委員.2013年から大阪大学未来共生イノベーター博士課程プログラム特任教授.著書に『大欧州の時代』『欧州のエネルギーシフト』(ともに岩波新書)など.

書評情報

日本経済新聞(朝刊) 2015年12月13日
週刊東洋経済 2015年11月28日号
毎日新聞(朝刊) 2015年11月15日
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