四世桂米團治 寄席随筆

四代目米團治が残した珠玉の随筆の数々.愛弟子・桂米朝の編集により,その精粋を初めて集大成.〈年譜収録〉

四世桂米團治 寄席随筆
著者 桂 米朝
ジャンル 書籍 > 単行本 > 芸術
刊行日 2007/11/06
ISBN 9784000254588
Cコード 0076
体裁 菊判 ・ 上製 ・ 函入 ・ 388頁
在庫 品切れ
四代目桂米團治は,五代目笑福亭松鶴と共に上方落語復興に尽力,雑誌『上方はなし』等に健筆を振るった.卓抜した描写力,構成の妙,洒落た文体,批判精神が光る著作は,今もなお精彩を放ち,上方落語資料としても貴重である.その文業を継承する愛弟子・桂米朝の編集により,主要著作を初めて集大成.〈年譜収録〉


■編者からのメッセージ
 師匠米團治は寝ても醒めても芸のことばかり考えていた.常に酒と清貧を楽しんだ.酔うては芸を語るのが無上の喜びであった.寝酒の相手に毎晩聞かされた芸談――これが,その後の私にどれだけ役に立ったことか.
 字を書かせても,絵を描いても実に上手な人であった.(中略)学歴とてなかったが,今考えても大変なインテリであった.その師匠の面目躍如たる仕事が,今も残る数々の文章である.(中略)
 やっと師匠米團治の本が出来ました.これから師匠に一献供えることにいたします.
――本書「あとがき」より
桂 米朝


■編集部からのメッセージ
 四代目桂米團治師(明治29年~昭和26年)は,桂米朝師の落語家としての師匠に当たります.落語随筆のパイオニア的存在であり,芸への真摯な想いと類稀なる文才で,珠玉の著作を多数遺しました.
 本書は,雑誌『上方はなし』掲載のものを中心に,主要作品を網羅した初の著作集です.戦争に翻弄された時代の執筆にもかかわらず,卓抜した描写力,構成の妙,洒落た文体,鋭い批判精神は著者ならではのもの.現代でも決して色褪せぬ魅力を持つ名文揃いで,味わい深い著作集になっています.
  読み物としてお楽しみいただけるだけでなく,貴重な写真・落語台本・詳細な年譜も収録し,資料としても価値の高い愛蔵版です.さらに,“米朝著作の原点”を辿るために,『完本正岡容寄席随筆』(既刊)も併せてお読みになることをお薦めいたします.
(編集部 中嶋裕子)
まえがき桂 米朝
凡 例
第一章 近世落語家伝
  林家正楽
  桂枝太郎
  桂 枝雀
  桂文團治
  桂 文治
  桂 文我
  三代目桂万光,桂小文枝兄弟
  三遊亭圓馬
  犠牲――四代目桂文吾
  畸人桂仁鶴
  べしょたれ雑炊
第二章 漫画漫文「おやじ」よ恕せ
  入門の巻
  見習の巻
  前座の巻
  泣かすの巻
  益々泣かすの巻
第三章 流庵漫筆
  真の落語
  真の落語(承前)
  噺の味
  再び「噺の味」に就て
  流庵漫筆
  流庵漫筆―ああ薬湯は飽くまで祟る
  鵺の悩み
  わたしゃ売られて往くわいナ
  漫画漫文 
  流行歌を排す
  昔の道頓堀
第四章 殺された龍馬
  一、木曾の宿
  二、浮気の虫
  三、濡れ仏
  『上方はなし』第三十集 編輯後記
第五章 落語梗概―落語の落ちを主とした作品短評
第六章 凡想録
第七章 戦後の随筆
  三分の理
  天王寺の売り物と見せ物
  本当の“たちき
桂 米朝(かつら べいちょう)
大正14年大連生まれ.落語家,重要無形文化財保持者(人間国宝),文化功労者.昭和18年,作家正岡容に師事.昭和22年,四代目桂米團治に入門,三代目桂米朝を名乗る.『米朝落語全集』全7巻(創元社),『上方落語ノート』1~4集(青蛙房),『桂米朝集成』全4巻,『桂米朝座談』1・2,『完本 正岡容寄席随筆』(共編)(以上岩波書店)など著書多数.

書評情報

京都新聞(朝刊) 2008年1月28日
信濃毎日新聞(朝刊) 2008年1月12日
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