セックスとナチズムの記憶―― 20世紀ドイツにおける性の政治化


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編集部だより
ナチズムとホロコーストの過去を乗りこえるために 学生たちは性の解放をめざした

訳者からのメッセージ

 本書は20世紀ドイツにおける性と政治の関係,これと切り結ぶ歴史的記憶の役割に焦点をあてることで,ナチズムと68年運動についての一般的な通念を覆した斬新な研究であり,とくにナチズム=性の抑圧という見方を否定し,性の解放こそナチズムの動員力を説明する鍵であることを示した点,また,ナチズム=性の抑圧という見方が過去の克服をめぐる記憶のポリティクスを通じて,とりわけ68年世代の若者たちの親たちへの反抗の過程で生じたものであることを明らかにした点に,本書の画期的な意義がある.本書はさらに,ナチ党やキリスト教政党,議会等の議論,キリスト教関係者の主張,性の啓蒙書や研究書,ニューレフトのパンフレットなど,豊富な史料を駆使して性をめぐる議論の展開をあとづけており,セクシュアリティという切り口から歴史解釈をめぐる近年の方法論的な議論にも参与しつつ,性と記憶の問題を軸にした20世紀ドイツ史の全体像を描き出している点も,大きな魅力となっている.
(「訳者あとがき」より)


著者紹介

ダグマー・ヘルツォーク(Dagmar Herzog)
1961年生.ニューヨーク市立大学大学院歴史学教授.専門:近現代ドイツ・ヨーロッパ史.著書:Sexuality in Europe: A Twentieth-Century History (Cambridge University Press, 2011), Intimacy and Exclusion: Religious Politics in Pre-Revolutionary Baden (Princeton University Press, 1996, 2007)ほか.


訳者紹介

川越 修(かわごえ おさむ)
 1947年生.同志社大学経済学部教授.専門:社会経済史.著書:『社会国家の生成――20世紀社会とナチズム』(岩波書店,2008),『性に病む社会――ドイツ ある近代の軌跡』(山川出版社,1995)ほか.

田野 大輔(たの だいすけ)
 1970年生.甲南大学文学部教授.専門:歴史社会学.著書:『愛と欲望のナチズム』(講談社,2012),『魅惑する帝国――政治の美学化とナチズム』(名古屋大学出版会,2007)ほか.

荻野 美穂(おぎの みほ)
 1945年生.同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授.専門:女性史・ジェンダー論.著書:『「家族計画」への道――近代日本の生殖をめぐる政治』(岩波書店,2008),『中絶論争とアメリカ社会――身体をめぐる戦争』(岩波書店,2001)ほか..


目次

日本語版への序文

第1章 セックスと第三帝国
ナチズムを記憶する/セックスと反ユダヤ主義/奨励と否認/教会の反応/総力戦
第2章 異性愛のもろさ
第1のテーマ/キリスト教道徳/性の擁護/ドイツの男性性の回復/175条/未来の人々
第3章 正常化への執念
性的保守主義の文化/青少年の保護/青少年のための性教育/1950年代の結婚/避妊と中絶/セクシュアリティと犯罪/ホロコースト後の記憶
第4章 快楽という道徳
性革命/教会への挑戦/ヴィルヘルム・ライヒを読み,それに従って行動せよ!/不服従を教える/性は自由をもたらす
第5章 社会主義のロマンス
社会主義的徳性/中絶の再犯罪化/性の漸進的変化/女性のファンタジー/東ドイツへの郷愁(Ostalgie)  
第6章 反ファシズムの身体
性の権利運動/ジェンダー間のトラブル/性と政治はうまく行かなかった/反ファシズムのファンタジー/1968年を思い出す
結び
訳者あとがき

参考文献
人名索引
事項索引




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