私が見た大津波

編集者からのメッセージ
編集者からのメッセージ

 この本は,宮城県仙台市に本社を置く新聞社「河北新報」が大震災のひと月後に開始した連載「私が見た大津波」をまとめるものです.大津波で被災した方々75名に記者が取材し,言葉だけでは伝わりきらない被災の現場を,被災者にスケッチブックと色鉛筆を渡して,絵で再現してもらうという連載でした.
 当時の報道部長の武田さんは震災前の2月,出張で訪れた広島の平和記念資料館で見た展示から,この連載企画を着想したと言います.それは,1970年代におこなわれた,原爆の体験を絵で残そうという企画の展示でした.
 体験者だけが描写できる真実がある――.2011年12月まで続いた連載にはのちのち写真も掲載されますが,絵と写真いずれの再現も,言葉による証言を超えて,その人だけが目にしたものを如実に描き出しています.
 「大震災の現場は被災者の数だけある」という「河北新報」が追求しつづけている「現場」を,この本をつうじて,多くの人に共有していただきたいと願っています.






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