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統合の終焉

EUの実像と論理

気鋭の国際政治学者がEUを多面的に分析.ヨーロッパ統合から豊かな含意を引き出す意欲作.

統合の終焉
著者 遠藤 乾
ジャンル 書籍 > 単行本 > 政治
刊行日 2013/04/23
ISBN 9784000258999
Cコード 0031
体裁 四六 ・ 上製 ・ 508頁
在庫 品切れ
連邦国家を目標とする「統合」の物語は終わった.けれども,どっこいEUは生きている.このことをどう考えたらよいのだろうか.EUの形成過程やその内的なダイナミズムの分析,統合の思想的検討などを通じて,ヨーロッパ統合のもつ豊かな含意を引き出していく.気鋭の国際政治学者がEUの実像と論理に迫る意欲作.


■内容紹介
 「統合の終焉」という書名を見て,EUが崩壊することを予測した本だと思われた方もいらっしゃるかもしれません.520頁もの本書は次の文章から始まります.
 「大文字の「統合(Integration)」は終わった.けれども,どっこいEU(欧州連合)は生きている.そしてそのことの含意には,実際上であれ理論上であれ,相当な奥行きがある.本書のメッセージを煎じ詰めると,そうなる.」
 EUを見る私たちの目線は大きく揺れ動いてきました.統合が進めば,域内に平和をもたらす理想の空間などとして持ち上げ,統合が向かい風を受ければ,ユーロは崩壊,ヨーロッパが分裂するという悲観論が強まる,というように.本書は,そうした見方を批判しながら,EUの形成過程やその内的なダイナミズムの分析,統合の思想的検討などを通じて,ヨーロッパ統合の本質とその含意の豊かさを示していきます.単なるEU分析にとどまらず,社会科学の問い直しにもつながる広さと深さをもった本です.
 まえがき
 第1章 ヨーロッパ統合の政治学――EUの実像と世界秩序の行方
第Ⅰ部 EUの歴史的形成――統合リーダーシップのドラマツルギー
 第2章 ジャン・モネ――「ヨーロッパの父」は何を創ったのか
 第3章 ジャック・ドロール――中興の祖はどう動いたのか
 第4章 マーガレット・サッチャー――劇場化するヨーロッパ
第Ⅱ部 ポスト統合を生きるEU――冷戦,拡大,憲法
 第5章 鏡としてのヨーロッパ統合――「地域」の作り方と安全保障,経済統合,人権規範
 第6章 拡大ヨーロッパの政治的ダイナミズム――「EU-NATO-CE体制」の終焉
 第7章 統合の終焉か――フランス・オランダによる欧州憲法条約否決は何を意味する
第Ⅲ部 危機の下のEU/ユーロ――正統性,機能主義,デモクラシー
 第8章 ポスト・ナショナリズムにおける正統化の諸問題――国家を超えたデモクラシーは可能か
 第9章 ユーロ危機の本質――EUの正統性問題からグローバルな「政治」危機へ
第Ⅳ部 国際政治思想としてのEU――世界秩序における主権,自由,学知
 第10章 ようこそ「多元にして可分な政治体」へ――EUにおける主権と補完性
 第11章 国際政治における自由――EUシティズンシップの問いかけ
 第12章 日本におけるEU研究の可能性――方法論的ナショナリズムを超えて

 注
 初出一覧
 あとがき
 人名索引・事項索引
遠藤 乾(えんどう けん)
1966年生まれ.北海道大学法学部卒業.カトリック・ルーヴァン大学修士号(ヨーロッパ研究),オックスフォード大学博士号(政治学).欧州委員会「未来工房」専門調査員等を歴任.現在は,北海道大学大学院法学研究科・公共政策大学院教授.国際政治,ヨーロッパ政治.著書に The Presidency of the EUropean Commission under Jacques Delors: The Politics of Shared Leadership (Macmillan, 1999). 編著に『グローバル化時代の地方ガバナンス』(共編著,岩波書店,2003年),『グローバル・ガバナンスの最前線――現在と過去のあいだ』(東信堂,2008年),『ヨーロッパ統合史』(名古屋大学出版会,2008年),『原典ヨーロッパ統合史――史料と解説』(同前),『EUの規制力』(共編著,日本経済評論社,2012年)ほかがある.

書評情報

読売新聞(朝刊) 2013年12月22日
毎日新聞(朝刊) 2013年12月15日
毎日新聞(朝刊) 2013年7月28日
北海道新聞(夕刊) 2013年7月2日
読売新聞(朝刊) 2013年6月30日
朝日新聞(朝刊) 2013年6月23日
日本経済新聞(朝刊) 2013年6月16日
週刊ダイヤモンド 2013年6月15日号

受賞情報

第15回読売・吉野作造賞(2014年)

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