語る 兜太

わが俳句人生

俳句界に屹立する巨匠が,自らの生き方とともに俳句観や句作における姿勢や心得を熱く語った貴重な証言.

語る 兜太
著者 金子 兜太 , 黒田 杏子 聞き手
ジャンル 書籍 > 単行本 > 評論・エッセイ
刊行日 2014/06/25
ISBN 9784000259828
Cコード 0095
体裁 四六 ・ 上製 ・ カバー ・ 282頁
在庫 品切れ
三〇年近く朝日俳壇の選者をつとめ,国民文芸としての俳句の普及に多大な貢献をした俳句界の巨匠が,克明につけ続ける日記を基に九五年の生涯を振り返り,俳句とは何かを縦横に語った語り下ろし.生き方とともに,自らの俳句観や句作にあたっての姿勢や心得を思いを込めて語った貴重な証言.敬愛する人々への追憶(書き下ろし)や決定版自選百句,個人史年譜を併載.
金子兜太(かねこ とうた)
俳人.1919年生まれ.俳誌「海程」主宰.現代俳句協会名誉会長,朝日俳壇選者を務める.日本藝術院会員,文化功労者.詩歌文学館賞,蛇笏賞,正岡子規国際俳句賞大賞,菊池寛賞など受賞多数.句集に『少年』『遊牧集』『両神』『東国抄』『日常』など多数.小社刊著作に『わが戦後俳句史』(岩波新書),『小林一茶』(岩波現代文庫),『古典を読む 一茶句集』がある.
聞き手:黒田杏子(くろだ ももこ)
俳人,エッセイスト.1938年生まれ.俳誌「藍生」主宰.同人誌「件」同人.日経俳壇選者.夏草賞,現代俳句女流賞,俳人協会賞,桂信子賞,蛇笏賞などを受賞.句集に『木の椅子』『一木一草』『花下草上』『日光月光』『銀河山河』など.著作に小社刊『暮らしの歳時記』のほか,『証言 昭和の俳句』(聞き手),『布の歳時記』『季語の記憶』『手紙歳時記』など多数. この九月二十三日に満九十五歳となる金子兜太さん.この日が遊行者一遍の忌日であることから,折々に「私は一遍さんの生まれ変わりかも知れませんな」などと言ったりもするユーモアの人だ.
 東大経済学部を卒業して日銀に入行.しかし,終戦を南太平洋のトラック島で迎えた戦争体験が,山国秩父の医家の比較的恵まれた家庭に育ったこの人の土性骨となっている.日銀復職の日がかの二・一ゼネラルストライキの日だった.
 祖国に生還した金子さんは,「非業の死者に酬いたい」という思いから,先輩,上司が「その活動は君の将来を閉ざす」と忠告するのを振り切って,日銀従業員組合の専従となる.そのために五十五歳定年の日まで,いわゆる昇進はなく,福島・神戸・長崎での地方転勤を終えて東京に戻ってからも窓際族ならぬ窓奥族のままだった.日銀金庫の鍵を預かる文字通りの「金庫番」で職業人の生活を終わっている.
 一方,在職中から前衛俳句の旗手としてもてはやされ,早くから「俳句専念」の人生を選択.同志と『海程』を創刊している.定年以後の人生が四十年となる現在も,俳句界の長老として旺盛な活動をつづけ,いまや国民的人気俳人となっている.
 芭蕉よりも一茶に親しむこの巨人の生き方は痛快でもある.独自の長寿健康法「立禅」.権威や肩書,地に足の着かない理屈を排す生き方.憲法九条にこだわり,脱原発の立場と反戦の思想を貫きとおす姿勢は独自の俳句作品となり,就任以来三十年近くにもなる「朝日俳壇」の選者の選句・選評にも明確に示されている.
 俳句が国民文芸となり,HAIKUが世界語,地球語となっている今こそ,この行動する俳人,金子兜太の語る俳句人生に耳を傾けたい.

書評情報

しんぶん赤旗 2014年12月7日
読売新聞(朝刊) 2014年10月21日
日本農業新聞 2014年9月14日
週刊エコノミスト 2014年9月9日
望星 2014年9月号
岐阜新聞 2014年8月24日
山陰中央新報 2014年8月22日
熊本日日新聞(朝刊) 2014年8月17日
サンデー毎日 2014年8月10日号
毎日新聞(朝刊) 2014年8月10日
河北新報(朝刊) 2014年8月10日
大分合同新聞(朝刊) 2014年8月10日
佐賀新聞 2014年8月10日
徳島新聞(朝刊) 2014年
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