岩波 応用倫理学講義 全7巻

第5巻 性/愛

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すいせん文(養老孟司)/内容構成/特色/読者対象


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5 性/愛   [編集]金井淑子
 
目次
  はじめに
I 講義の七日間 リベラリズムとパターナリズムのはざまで 金井淑子
  第一日 ジェンダーを脱ぐ――「性はフェイク」とはいいますが
  第二日 ためらいのセックスワーク論――理論と感情のせめぎあい
  第三日 倫理と文学批評――セクシュアリティの地殻変動を聴き取る臨床の場に
  第四日 性に憑かれた/疲れた近代人――性からの自由/性への自由
  第五日 両義性のモラルへのまなざし――「状況がつくる女」の内的葛藤へ
  第六日 性の議論の新しい土台づくりへ――パターナリズムか自己決定か
  第七日 フェミニニティ・母の領域へ――倫理を下支えする感情

II セミナー  
  1 セックスワーク
   ――「セックスというお仕事」と自己決定権
内田 樹
  はじめに
  (「セックスワーク」という言葉は価値中立的な語ではなく……)
  (世界娼婦会議の主張について……)
  (論理の経済に緊縛されている「不自由な知識人たち」に比べると……)
  (売春は女性にとって……)
  (身体を道具視した視座からの……)
  (セックスワーカーたちが「安全に労働する権利」を……)

  2 サルトルと女とアンドロイド
   ――両義性の倫理へ/意識・身体・自己欺瞞
永野 潤
  〈になる〉ということ
  人間は人間〈になる〉
  フォビアと〈似せもの〉性
  怪物としての他者
  自己欺瞞とは何か
  両義性からの逃避
  両義性のモラル
  〈にせもの〉性と倫理

  3 新しい倫理概念としての「母性」 阿木津英
  はじめに
  「母性」という新しい倫理概念
    1 「母性」という日本語の出現
    2 倫理的主題として見出された「母性」
  知的生長のよろこびと自己拡大欲望
    1 男女平等教育の権利を得た女性たち
    2 『青鞜』の時代の女性たちの知的生長欲
  おわりに

  4 母・娘のナラティヴ
   ――愛着と分離のはざまで
河野貴代美
  はじめに
  母・娘の幻想
    (1)母娘の境界の不明さ
    (2)母に内在する「インナーチャイルド」
    (3)母からのダブルメッセージ
    (4)自閉する母
  豊穣な母と存在しない母
    (1)母の出現――対象関係論
    (2)デメテルのメタファー
    (3)メランコリー理論
  ふたたび母との出会い
    1 アイデンティティの再形成
    2 「母親業」の再定義――唯心論と唯物論
    3 ふたたび「新しい母」との出会い

  5 愛と暴力
   ――ドメスティック・バイオレンスから問う
   親密圏の関係倫理
沼崎一郎
  はじめに
  暴力の再定義
  「制縛圏」と「親密圏」
  甘えのポリティクス
  愛の再定義
  おわりに

  6 「美醜」問題と倫理
   ――美醜は個人的なことか?
細谷 実
  はじめに
  「個人的問題としての美醜問題」という主張
  社会的問題としての美醜問題
  解決のためのプログラムのスケッチ
  むすびにかえて


III 問題集  

  1 不妊が見えない
   ――日本におけるマジョリティの無意識構造
岩本美砂子
  子どもを持つこと/持たないことの無意識
  不妊を意識する社会・しない社会
  「養子」が見えない
  子どもは2人いるのが「普通」
  マジョリティ側の優生意識
  医師と政治家との暗黙の結託

  2 産のエロス
   ――親密圏創成の契機となるもの
三砂ちづる
  一 新たな親密圏
  二 原身体経験

  3 「銃をもつ平等」/「銃を捨てる平等」 伊田久美子
  一 女性兵士問題とフェミニストの困難
  二 女は平和な生き物か?
   ――「女性と軍隊」をめぐる本質主義と構築主義
  三 軍隊の土台としてのジェンダー
   ――近代化と女性の武装解除
  四 労働としての女性兵士問題

  4 性的弱者とは誰か 倉本智明
  はじめに
  (性的弱者とは……)
  (具体的にはどのような障壁が……)
  (性的弱者という概念が一人歩きをはじめること……)

  5 クィアな思想とポリティクス
   ――〈ずれ〉のある両輪をたずさえて
砂川秀樹
  「クィア」――その当事者による侮蔑語の肯定的使用
  アイデンティティ・ポリティクス批判へ
  日本の情況の中で

  6 親密圏 井上たか子
  親密圏とは……
  【家族/私領域/親密圏】
  【親密圏の模索】
  【親密圏/公共圏】

IV シンポジウム 「性に憑かれた/疲れた」近代の終焉
足立眞理子・加藤秀一・竹村和子・金井淑子[司会]
  フェミニズムからの問題提起/3つの層――フェミニスト経済学から/フェミニズムという爆弾/文学――個体性から出発したクリティシズム/間主体的なものの解体/主体が崩れていく/男女特性論はなぜ根強いか/内主体的なもの=間主体的なもの/自己決定権の両義性/「光源」としての自己決定権/自由・自己への配慮/グローバリゼーションとポスト・ジェンダー論/「母」の領域/ケアの関係?/「母」が喚起する歴史性/女の身体が負うもの/世代間の伝承/親たちの悲鳴を聴けるか



執筆者紹介

金井淑子(かない よしこ)
1944年生まれ.専攻,倫理学,ジェンダー論.横浜国立大学教育人間科学部教授.『フェミニズム問題の転換』(勁草書房,1992),『身体のエシックス/ポリティクス――倫理学とフェミニズムの交叉』(共編著,ナカニシヤ出版,2002).
内田 樹(うちだ たつる)
1950年生まれ.専攻,フランス現代思想.神戸女学院大学文学部教授.『レヴィナスと愛の現象学』(せりか書房,2001),『寝ながら学べる構造主義』(文春新書,2002).
永野 潤(ながの じゅん)
1965年生まれ.専攻,哲学.東京都立大学等非常勤講師.『図解雑学サルトル』(ナツメ社,2003),「違和としての身体――岡崎京子とサルトル」『身体のエシックス/ポリティクス――倫理学とフェミニズムの交叉』(ナカニシヤ出版,2002).
阿木津英(あきつ えい)
1950年生まれ.歌人.日本女子大学等非常勤講師.歌集『紫木蓮まで・風舌』(短歌研究社,1980),評論集『折口信夫の女歌論』(五柳書院,2001).
河野貴代美(かわの きよみ)
1939年生まれ.専攻,フェミニストカウンセリング,臨床心理,ジェンダー論.お茶の水女子大学ジェンダー研究センター教授.『フェミニスト・カウンセリング パートII』(新水社,2004),L.ギルバート,M.シャー『カウンセリングとジェンダー』(翻訳,新水社,2004).
沼崎一郎(ぬまざき いちろう)
1958年生まれ.専攻,文化人類学,東アジア研究,男性学.東北大学大学院文学研究科教授.『キャンパス・セクシュアル・ハラスメント対応ガイド』(嵯峨野書院,2001),『なぜ男は暴力を選ぶのか――ドメスティック・バイオレンス理解の初歩』(かもがわブックレット,2002).
細谷 実(ほそや まこと)
1957年生まれ.専攻,倫理学.関東学院大学経済学部教授.「大町桂月による男性性理念の構築」『自然・人間・社会』No.31(2001),「リブの売春論とセックス・ワーク論とをつなぐ」『女性学』No.10(2002).
岩本美砂子(いわもと みさこ)
1957年生まれ.専攻,政治学,女性学.三重大学人文学部教授.「女のいない政治過程――日本の55年体制における政策決定を中心に」『女性学』No.5(1997),「女性をめぐる政治的言説――日本において,女性の政治的代表(婦人参政権・女性政治家)に関して論じられてきたこと」『「性」と政治』日本政治学会年報 政治学 2003.
三砂ちづる(みさご ちづる)
1958年生まれ.専攻,疫学,国際保健.津田塾大学国際関係学科教授.『昔の女性はできていた――忘れられている女性の身体に“在る”力』(宝島社,2004),『オニババ化する女たち――女性の身体性を取り戻す』(光文社新書,2004).
伊田久美子(いだ くみこ)
1953年生まれ.イタリア文学,ジェンダー論.大阪女子大学人文社会学部教授.『ワードマップ・フェミニズム』(共著,新曜社,1997).『概説フェミニズム思想史』(共著,ミネルヴァ書房,2003).
倉本智明(くらもと ともあき)
1963年生まれ.専攻,障害学.関西大学非常勤講師.『障害学の主張』(編著,明石書店,2002),『障害学への招待――社会・文化・ディスアビリティ』(共著,明石書店,1999).
砂川秀樹(すながわ ひでき)
1966年生まれ.専攻,文化人類学.実践女子大学非常勤講師.「新宿二丁目が照射する異性愛社会」松園万亀雄編『性の文脈』くらしの文化人類学 第4巻(雄山閣,2003),「変動する主体の想像/創造」『現代思想』(Vol.28, No.14,2000).
井上たか子(いのうえ たかこ)
1941年生まれ.専攻,女性学.獨協大学外国語学部教授.「『第二の性』における“自由”の概念をめぐって」石崎晴己・澤田直編『サルトルの遺産――文学・哲学・政治』(日本サルトル学会・青山学院大学仏文科,2001),「女性と市民権――E.バタンデール」三浦信孝編『来るべき〈民主主義〉――反グローバリズムの政治哲学』(藤原書店,2003).
足立眞理子(あだち まりこ)
1953年生まれ.専攻,経済理論,国際経済学,ジェンダー分析.現在,大阪女子大学人文学部教授,女性学研究センター主任.「市場とサブシステンス・エコノミー」井上俊他編『岩波講座 現代社会学』(第17巻,岩波書店,1996),「制度・市場・「家族」:フェミニスト経済学の可能性」杉浦克己他編『多元的経済社会の構想』(日本評論社,2001).
加藤秀一(かとう しゅういち)
1963年生まれ.専攻,社会学,性現象論.現在,明治学院大学社会学部教授.『性現象論――差異とセクシュアリティの社会学』(勁草書房,1998),『〈恋愛結婚〉は何をもたらしたか――性道徳と優生思想の百年間』(ちくま新書,2004).
竹村和子(たけむら かずこ)
1954年生まれ.専攻,英語圏文学,批評理論.現在,お茶の水女子大学教授.『フェミニズム』〈シリーズ 思考のフロンティア〉(岩波書店,2000)『愛について――アイデンティティと欲望の政治学』(岩波書店,2002).




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