シリーズ いくつもの日本

編集委員からのメッセージ

本シリーズの特色/各巻の目次


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【編集委員からのメッセージ】
読者へ

この弧状なす列島の民族史をめぐって,さまざまな声と眼差しが交錯する.
日本とは何か,日本人とは何か,日本文化とは何か,と問いかける声が谺している.
歴史への眼差しが大いなる混沌の渦中に投げ込まれている.
いったい抱きしめるべき新しい歴史は,どこにあるのか.
わたしたちはもはや,国境に閉ざされ,中心のシンボリズムや力学に呪縛されてあった,これまでの「日本の歴史」に身を寄り添わせることはできない.
あらゆるレヴェルにおいて,中心と周縁・辺境の構図の内側に封じ込められてきた,これまでの歴史観は無効を宣告されつつある.
国家とは何か,民族とは何か,という根源の場所に立ちもどって,すべての歴史があらためて構築されねばならないことが,しだいに気づかれようとしている.
いま,そこかしこで,ひとつの中心に支えられた「ひとつの日本」が壊れてゆく.
いく筋もの裂け目が走る,国境が沈んでゆく.
そうして,その屍を踏み越えて「いくつもの日本」を抱いた,あらたな列島の民族史が,やがて姿を現わすことだろう.
この時代はまさに,そのはざまに引き裂かれながら,過渡の季節の苦しみのなかにある.苦しみに喘げばいい,痛みにのたうてばいい.
古めかしい物語や神話への回帰によっては癒されぬ,救われがたい現実こそを凝視しなければならない.
新しい歴史への眼差しの地平をもとめて,わたしたちはいま,それぞれの場所から,それぞれの作法と流儀をもって出立する.
これは「ひとつの日本」から「いくつもの日本」への転換の現場である.


【編集委員】
赤坂憲雄 (1953年生/民俗学/東北芸術工科大学)
http://www.tuad.ac.jp/tobunken/akasaka.htm

中村生雄 (1946生/日本思想史/大阪大学)
http://bun110.let.osaka-u.ac.jp/member/nakamura/nmht.htm

原田信男 (1949生/歴史学/国士舘大学)
http://plaza14.mbn.or.jp/~HARADA_NOBUO/index.html

三浦佑之 (1946生/国文学/千葉大学)
http://homepage1.nifty.com/miuras-tiger/index.html



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