岩波フォト・ドキュメンタリー 世界の戦場から

チェチェン 屈せざる人びと

ロシア軍の圧倒的戦力による掃討作戦にさらされ,被害を黙殺されてきた抵抗の民たちの素顔に迫る.

チェチェン 屈せざる人びと
著者 林 克明
ジャンル 書籍 > 単行本 > 写真
シリーズ 岩波フォト・ドキュメンタリー 世界の戦場から
刊行日 2004/04/06
ISBN 9784000269667
Cコード 0331
体裁 A5 ・ 上製 ・ 函入 ・ 80頁
在庫 品切れ
ロシア軍の圧倒的戦力による掃討作戦にさらされ,国際社会からは「反テロ戦争」の名の下に,被害を黙殺されてきた抵抗の民たち.廃墟となった街を何度も訪れ,四世紀に渉ってロシアと戦い続けてきた人びととの触れ合いから,独立を目指す不屈の精神,敵兵をも助ける共同体のやさしさを伝え,彼らの素顔に迫る.

■「あとがき」より

初めてチェチェンを訪れてから,9年が経とうとしている.その間,戦争は激しくなり,人の心もすさんでいる.それでもチェチェンの人びとから学んだことは多い.
 それは,精神文化と人間性さえ保っていれば,人間には暗闇の中から光を見つけ出す希望があるということだ.しかし,現実的には,あるひとつの価値観を押し付けて相手にレッテルを張り,従わないものを貶める傾向が世界的に広がっているように思える.
 その最たるものが,アメリカやロシアのいう「反テロ」戦争だ.それならば,精神と人間性を機軸にした反「反テロ」戦争を闘わなければならないのではないか.これは必ずしも戦争や国際政治ばかりとは限らず,国内の様々な問題にも適応できる.
 私は政治家でもないし,軍人でもパルチザンでもない.社会的に真実を訴えていくにしても,ひとりの人間として常に反「反テロ」戦争のことを頭に入れて日々を生きていきたい.いま,そんなことを思っている.
 この本ができるまでは,総編集担当の広河隆一氏や担当編集の馬場公彦氏,チェチェンで出会った無数の人たち,家族も含め多くの方々の協力が必要だった.この場を借りてお礼申しあげたい.

 2004年3月
林 克明(はやし まさあき)
1960年,長野県生れ.ノンフィクション・ライター.業界誌記者を経て89年より『週刊プレイボーイ』『週刊現代』などの記者として働く.95年から1年10カ月,モスクワに住みチェチェン戦争を取材.環境問題をはじめ,社会問題を主なテーマとする.特定の人物を通して社会や歴史を見ることに興味がある.
2001年「ジャーナリストの誕生」で第9回週刊金曜日ルポルタージュ大賞受賞.著書に小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞した『カフカスの小さな国 チェチェン独立運動始末』(小学館).共著に『チェチェンで何が起こっているのか』(高文研),『安ければそれでいいのか!?』(コモンズ)などがある.「チェチェン総合情報」http://chechennews.org
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