岩波フォト・ドキュメンタリー 世界の戦場から 全11冊・別冊1

戦争とフォト・ジャーナリズム

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編集者からのメッセージ

 イラク戦争の取材から人質事件をめぐる「自己責任」論議へ.戦争報道をめぐって,フォト・ジャーナリズムへの厳しい眼が注がれています.フォト・ジャーナリスト広河隆一氏は,ジャーナリズムの原点をおのれのパレスチナ取材に求め,戦争取材のあり方を,ベトナム戦争の写真家たちが直面した問題に見出しながら,別冊『戦争とフォト・ジャーナリズム』を書き上げました.
 コソボから,チェチェンから,アフリカから,さまざまな戦場で撮られた紙焼き写真やスライドをみながら,何度編集の手を止め,視線を宙に浮かせたことでしょう.悲劇は9.11の貿易センタービルだけではありません.地の底が抜けたような悲惨と不条理は世界のそこここにあります.それに眼を背けないでいられたのは,写真に収められた人びとに接する写真家たちのいとおしい眼差しがあったからでしょう.
 ここに「岩波フォト・ドキュメンタリー 世界の戦場から」を完結したことで,多くの読者が写真が本来持っていた真実に迫る力に気づいてくださることを願っています.

【編集部:馬場公彦】


著者紹介
広河隆一(ひろかわ りゅういち)
1943年生まれ.67年,イスラエルへ渡り,70年帰国後フォト・ジャーナリストとして世界各地を取材.ベイルート虐殺事件の記録で82年,よみうり写真大賞,83年,IOJ国際報道写真大賞,89年,チェルノブイリとスリーマイル島原発事故の報告で講談社出版文化賞,93年,産経児童出版文化賞をそれぞれ受賞.現在,チェルノブイリ子ども基金顧問,パレスチナの子供の里親運動顧問,JVJA(日本ビジュアル・ジャーナリスト協会)世話人代表.月刊誌『DAYS JAPAN』編集長.
写真集に『パレスチナ――瓦礫の中のこどもたち』(徳間書店),『核の大地』『チェルノブイリと地球』『龍平の未来――エイズと闘う19歳』(以上,講談社),『人間の戦場』(新潮社),『チェルノブイリ 消えた458の村』(さがみはら写真賞),『写真記録 パレスチナ』(日本写真協会賞・土門拳賞,以上,日本図書センター),『反テロ戦争の犠牲者たち』(本シリーズ,岩波書店),『子どもに伝えるイラク戦争』(共著,小学館)など.




ウクライナのターニャはチェルノブイリ事故から10年後の1996年に突然甲状腺がんを発症.医者が気づいたときにはがんは脳に達していた.彼女はこの2カ月後に14歳で他界した.


イスラエル占領直後のガザで,パレスチナ難民の女の子が,ヤギの皮を張った太鼓を売っていた.1968年


甲状腺がんになったインナ.彼女は手術のとき副甲状腺がんも摘出してしまったため,カルシウムを摂取できず,定期的に肩甲骨の下を切り裂いて,そこに骨を埋めるという荒っぽい手術を繰り返している.薬を買えばいいのだが,父親の給料をすべて当てなければ,買えない.1997年


ベツレヘムに攻め込んだイスラエル戦車.遠くに石を投げて逃げようとするパレスチナ人の姿が見える.2001年



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