占領期雑誌資料大系 文学編 1

戦争と平和の境界

1945.8-1946.7

内務省による検閲は消滅したが,GHQ検閲を意識しつつ表現の欲望に突き動かされた文学者の模索が始まる.

戦争と平和の境界
著者 山本 武利 , 川崎 賢子 , 十重田 裕一 , 宗像 和重
ジャンル 書籍 > 単行本 > 歴史
書籍 > シリーズ・講座・全集
シリーズ 占領期雑誌資料大系 文学編
刊行日 2009/11/26
ISBN 9784000282468
Cコード 0391
体裁 A5 ・ 上製 ・ 326頁
在庫 品切れ
日本は降伏し,占領が始まった.内務省による検閲は消滅したが,今度はGHQ検閲を意識しつつも,表現の欲望に突き動かされた文学者の模索が始まる.文学者は,創作領域だけではなく,政治,思想,世相,風俗など様々な分野で発言を要請された.志賀直哉「銅像」,織田作之助「訪問客」中野重治「そつくりそのまゝ」他.

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占領期には,旧大家から新進作家まで,あるいは地方の作家や作家としては無名の庶民に到るまで,多彩な文学者が登場しました.表現者と読者の広がり,表現方法の多様な模索,文学出版の活気などから見て,創造的な躍動感が横溢した文学の黄金期でした.
 目下の文学研究の大きな課題は,従来の作家中心の文学史研究から,表現史や文学制度の成立過程の洗い直しに向かいつつあります.敗戦直後の虚脱と混沌の中から戦後文学が成立した過程を知るためにも,プランゲ文庫はメディア研究の対象としても文学研究の対象としても極めて価値の高い資料です.
 大衆文化編に続くプランゲ文庫雑誌コレクションを底本とした文学編は,来るべき世代があらたな批評研究に赴く際に使い勝手の良いもの,アクセスしやすい資料集に編集します.また,現在は流布本のない,しかも占領期の文学の性格を伝えるにふさわしいテキストを集め再構成します.「占領」という視角から日本の文学活動を概観した初めてのアンソロジーです.
 2009年9月
岩波書店

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1 戦争と平和の境界 1945・8-1946・7

2 表現される戦争と占領 1946・8-1947・7

3 破壊から再建へ 1947・8-1948・7

4 「戦後」的問題系と文学 1948・8-1949・12

5 占領期文学の多面性 

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メリーランド大学プランゲ文庫が所蔵する,1945年9月から1949年11月頃までに日本各地で発行された膨大な雑誌の記事を精選したもの約150件余を配列する.


記事の選定に当たっては,著名な作家だけでなく,地方で発行された雑誌メディアにも注目する.


巻編成は編年体を採用して歴史を横断する「文学空間」を提示することで,従来の文学研究が作家や文壇中心主義であったのに対して,表現史・受容史を重視する.


記事は史料性を重視する立場から,雑誌発表時の形で採録することとし,検閲官の指示や書き込みメモも再現する.


各巻に付録として「検閲のはなし」(山本武利)と,「雑誌創刊の辞セレクション」を掲載する.


記事一件ごとに書誌及び内容の解題を施し,章解説と巻解説を付す.


各巻に月報(8頁)を付載し,占領期文学研究の動向,占領期当時を知る当事者の証言などの記事を掲載する.
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