加藤周一自選集 全10巻

推薦文/特色

刊行にあたって/全巻構成


加藤周一自選集のために
鶴見俊輔(哲学者)
 でこぼこの視野をもつ人だけを醇乎たる文人と見なす習わしが日本の一部にあって,その人たちは加藤周一を文人と感じないできた.ところが,最晩期に加藤周一は自分を仲間はずれにした人びとの感じかたの中に入ってその問題と取り組み,「随筆についての随筆」という独自の批評を残した.89年の仕事の最後を飾るものと私は感じた.


近代日本の恵み
水村美苗(作家)
 情報が氾濫し,教養を身につけたくとも,どこから手をつけたらよいのかわからない.そう人はいう.年代順に編纂された『加藤周一自選集』は,氏の愛読者だけでなく,そういう人たちの道案内になる.近代日本の恵みは,世界が日本の優れた知性に和漢洋の教養を身につけるのを強いたところにある.加藤周一は,その歴史の恵みに強いられ,驚くほど幅広く読み,そして書き続けた.その軌道を辿ることは,歴史が近代日本に強いた恵みを少しでも継承する,初めの一歩である.


特色

1937年から2008年まで70年余にわたって発表した厖大な著作の中から,文学・美術など芸術に関するものを優先しつつ,幅広い分野への発言が見渡せるような500本弱を精選.
著者を「定義」する選集という趣旨のもと,その軌跡をたどるべく,発表年月順に編成.
未完の未発表原稿を,最終巻に最後の著作として収録.
各巻に編者による解説を付す.
最終巻には付録として,著作目録,収録著作索引を収める.




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