戦争の経験を問う 全13冊

全巻構成

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戦争の経験を問う 全13冊
せめぎあう地域と軍隊
装丁:虎尾 隆
四六判・上製カバー・平均256頁
敗戦から60年以上が経ち,
アジア・太平洋戦争の体験が
ますます遠ざかってゆく今,
どのような形で
戦争のリアリティに迫りうるのか.
兵士たちにとっての戦争,
帝国や植民地における戦争,
「銃後」における戦争,言説の中の戦争――
様々な場所,様々な人々の
「経験」を切り口に戦争の意味を問い直す,
13の試み.


全巻構成

兵士たちの戦場
――体験と記憶の歴史化
山田 朗
(やまだ あきら)1956年生まれ.明治大学文学部教授(『世界史の中の日露戦争』吉川弘文館,『昭和天皇の軍事思想と戦略』校倉書房ほか).
兵士たちが体験した戦場は決して一様ではなかった.中国大陸,東南アジア,太平洋……それぞれの戦場での彼らの体験を通して,アジア・太平洋戦争の様々な側面を浮き彫りにする.

吉田 裕
(よしだ ゆたか)1954年生まれ.一橋大学大学院社会学研究科教授(『アジア・太平洋戦争』『日本の軍隊』ともに岩波新書ほか).
敗戦後,復員した兵士たちは市民として社会の中に戻っていった.戦友会に集う者,黙して往時を語らない者……兵士としての経験は,彼らの戦後をどのように規定していったのか.

笠原十九司
(かさはら とくし)1944年生まれ.都留文科大学文学部教授
(『「百人斬り競争」と南京事件』大月書店,『南京事件』岩波新書ほか).
華北占領地の「治安」を守るために何が行われたのか――その過酷な殲滅方針から「三光作戦」として知られる「治安戦」の実態に,兵士たち,そして中国の人々の証言を通して迫る.

ネイションの模索
――近代モンゴルと日本
リ・ナランゴア
(Li Narangoa)1963年生まれ.オーストラリア国立大学教授(Imperial Japan and National Identities in Asia,1895-1945,RoutledgeCurzon[共著]ほか).
「対日協力」にモンゴル国家独立の可能性をかけた「蒙疆」諸政権.日本の傀儡と位置づけられてきた彼らの独立への模索をたどり,ナショナリズムと戦争の関係を問い直す.

中野 聡
(なかの さとし)1959年生まれ.一橋大学大学院社会学研究科教授(『歴史経験としてのアメリカ帝国』岩波書店,『フィリピン独立問題史』龍渓書舎ほか).
「南方占領」の経験は戦後日本に何をもたらしたのか――占領に従事した人々の「語り」や「回想」の中に「大日本帝国」解体の契機を読み取り,戦後に忘却されたその意味を問う.

根本 敬
(ねもと けい)1957年生まれ.上智大学外国語学部教授(『アウン・サン』岩波書店,『ビルマ』河出書房新社[共著]ほか).
日本とイギリス両国への抵抗と協力のはざまに独立への道を探ったビルマ・ナショナリストたち.彼らにとって日本による占領は何を意味したのか――脱植民地化の歴史の中で考える.

 第7回/9月27日発売
倉沢愛子
(くらさわ あいこ)1946年生まれ.慶應義塾大学経済学部教授(『「大東亜」戦争を知っていますか』講談社現代新書,『日本占領下のジャワ農村の変容』草思社ほか).
「大東亜共栄圏」は,日本の戦争を支えるために従来と全く異なるヒト・モノの動きを作り出した.「ロームシャ」たちや,米不足に苦しんだアジアの人々の経験を通してその実態を描き出す.

高岡裕之
(たかおか ひろゆき)1962年生まれ.関西学院大学文学部教授(『幻の東京オリンピックとその時代』『総力戦と音楽文化』ともに青弓社[共著]ほか).
「福祉国家」日本のルーツは本当に戦時期にあるのだろうか――従来のファシズム論とも,近年の総力戦体制論とも異なる,日本固有の全体主義的な「戦時社会政策」の様相を探る.

河西英通
(かわにし ひでみち)1953年生まれ.広島大学大学院文学研究科教授(『東北』『続東北』ともに中公新書).
軍からの自立か,軍による振興か――両者の間で揺れ動き続けた日本の軍都の特質を,軍事の比重が極限に達したアジア・太平洋戦争期の新潟県高田を舞台に描く.

「銃後」の民衆経験
――地域における翼賛運動
大串潤児
(おおぐし じゅんじ)1969年生まれ.信州大学人文学部准教授(『占領とデモクラシーの同時代史』日本経済評論社,『戦後経験を生きる』吉川弘文館[ともに共著]).
総力戦によって再編された社会における個人と集団との関係性は,「民主化」された戦後日本にどうつながってゆくのか.民衆にとっての戦争の意味に,様々な経験を通して迫る.

〈特攻隊〉の系譜学
――イメージと語りのポリティクス
中村秀之
(なかむら ひでゆき)1955年生まれ.立教大学現代心理学部教授
(『映像/言説の文化社会学』岩波書店,『映画の政治学』青弓社[共著]ほか).
戦後を通じて映画や小説の中で描かれ続けてきた「特攻隊」.しかしその物語は,戦時に構築された表象の変奏的反復ではなかったか――自明とされる「戦争の記憶」を問い直す作業.

戦争のディスプレイ
――アジア・太平洋戦争と大衆消費社会
河田明久
(かわた あきひさ)1966年生まれ.千葉工業大学工学部准教授(『戦争と美術1937-1945』国書刊行会,『イメージのなかの戦争』岩波書店[ともに共著]ほか).
遠い戦地での戦争はどのように伝えられたのか――博覧会や絵本の挿絵など,大衆の娯楽として消費される戦争の表象から,現代にもつながる戦争の受容のあり方が浮かび上がる.

成田龍一
(なりた りゅういち)1951年生まれ.日本女子大学人間社会学部教授(『戦後思想家としての司馬遼太郎』筑摩書房,『大正デモクラシー』岩波新書ほか).
戦後,人々は直接体験の有無にかかわらず,自らと戦争との距離を探ることによってアイデンティティを形成してきた.人々の語りの変容を通して,戦後日本社会の特質を探る.




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