高校倫理からの哲学 全4巻・別巻1

全巻構成/推薦文/シリーズの特長/編者紹介


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平易な言葉で「人間とは何か」を考える 高校倫理からの哲学 [編集]直江清隆・越智貢 全4巻・別巻1
四六判・並製カバー・平均232頁

高校生以上を対象とする,読みやすい哲学入門シリーズです.身近な問題や話題を出発点に,高校倫理の内容を織り込みながら,読者とともに考えてゆく親しみやすい記述になっています.どこからでも気軽に読めるよう,構成にも工夫をこらしました.いま改めて「考える」ことの大切さを実感している社会人だけではなく,これから深く考えることを学び未来の社会を作っていく若い世代に手にとって欲しいシリーズです.タイトルにはその思いも込められています.


■ 全巻構成

人間だけが生きているわけではありません.しかし人間的な生き方というものがあるとすると,それは何でしょうか.この巻では私たちが生きていることそのものの理解を深めていきます.
第1講 人と人とをつなぐものはなにか――身体と愛
第2講 「心」は深められるか――私の心と私の死
第3講 人間の尊厳とはなんだろうか――現代の医療と生命

「何だろう」と問うことは,私たちが生きることと切り離せない大きな意味をもっています.この巻ではものを知る,私を知るとは何かについて考えます.
第1講 〈考える〉と〈信じる〉はどこがちがうのか――哲学の問い
第2講 本当のことを知っているとはどういうことか――知識と真理
第3講 私のことを知るのは私か――自己と他者

正しく生きるとはどんなことだろう.正しさは人によりけりなのだろうか.しばしば起こるこうした疑問をもとに,倫理の基本となる「正義」について改めて考えます.
第1講 すべての人にあてはまる倫理はあるのか――倫理とその普遍性
第2講 隣人とどうつき合うのか――他者の正義との出会い
第3講 〈正義〉はひとつか――勝者の正義・敗者の正義

「自由」であることは当たり前なのだろうか.私たちは運命や自然に操られているだけではないのか.自由に行為するとはどういうことか.この難しい問いに挑戦します.
第1講 私たちはともに自由に生きられるのか――社会と自由
第2講 人は運命に逆らえるのか――運命と自由
第3講 人間は本当に自由なのか――自然と自由

災害についてどう考えたらいいのでしょうか.東日本大震災・阪神淡路大震災などの実際の経験と,古今東西の思想を織りあわせながら,自分なりに考えていく手引きです.本文とコラムからなります.
目次より
◆災害を日本人はいかに受け止めてきたか:関東大震災の場合
◆災害ではどんな倫理的問いが出されるのか
◆原子力とどのように向きあえばよいのだろうか


■ いま必要な「哲学力」を養う
野家啓一(東北大学教授・日本哲学会元会長)
哲学とは物事を「広く知る」のではなく,「深く考える」営みである.東日本大震災によって私たちの価値観や文明観が根底から揺らいでいる今ほど,自分の頭で考え,議論を通じて問題を深めるという哲学的思考が求められているときはない.哲学を学び始めるのに早すぎることはなく,入門はいつどこからでもできる.高校の倫理教育と連携しながら「哲学力」の育成をめざす本シリーズに期待したい.


■ シリーズ(全4巻)の特長

1 大テーマを軸に巻構成
「人間とは何か」が,全体を統一する問いです.哲学のいちばん基本にあり,現在いっそう重みを増しているこの問いに,「生きるとは」「知るとは」「正義とは」「自由とは」という4つの角度からせまります.

2 平易な言葉で思考を触発する
身近な題材を使った「問いのはじまり」で問題を提示し,節ごとに論点をまとめながら進むなど,読者の思考に寄り添う記述です.断片的な知識を詰め込んだり専門用語を羅列する入門本ではありません.

3 どこからでも読める立体的な構成
各巻は3講からなり,それぞれの講は「本文」とそれに関する「対話」,さらに関連する「コラム」からなります.「本文」で問題に気づき,「対話」で考えを深め,「コラム」や少し長い「課題探究」で詳しく学びます.

4 ポイントを明示し,課題や文献でサポート
キーワードや小見出しの活用で,文章の筋やポイントを明示しました.また,自分でさらに考えを進めるための手がかりとして,本文の最後に考察課題を置き,巻末で参考文献を紹介しています.

5 幅広い分野から集まった30余人の執筆者
全国のさまざまな大学から,哲学・倫理だけでなく宗教・政治・心理などの分野に属する約30人の執筆者が参加しています.正確で読みやすい内容にするため,何度も集まって検討・修正を重ねました.

6 高校・大学など教育現場での使用を考慮
高校倫理の全分野をカバーしています(付録:高校倫理学習課程対応表).国語科等での読解教材としても使えます.作成過程では,高等学校の先生方や生徒さんにも原稿を読んでもらい,ご意見を参考にしました.

◆ 別巻について
編集作業の途中で起こった東日本大震災に対して,編者・執筆者は何ができるかを話しあい,震災と自然災害について,さまざまな視点を設定して考える別巻を作りました.実体験を踏まえ,防災・減災教育や科学技術論も視野に入れつつ,全体として倫理・哲学の問いへと繋ぐものとしています.


■ 編者紹介

直江清隆(なおえ きよたか)
1960年生まれ.東北大学大学院文学研究科准教授.著書に『岩波講座 哲学9 科学/技術の哲学』(共著,2008)など.日本哲学会哲学教育WG幹事.

越智 貢(おち みつぐ)
1951年生まれ.広島大学大学院文学研究科教授.著書に『岩波 応用倫理学講義6 教育』(編著,2005)など.第一学習社『倫理』執筆代表者.





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