安丸良夫集 全6巻

全巻構成/特色/推薦文/著者略歴

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「民衆思想史」の立場から,歴史を問い,現在を読み解く 安丸良夫集 全6巻 【編集】島薗進・成田龍一・岩崎稔・若尾政希
安丸良夫集
四六判・上製カバー・平均400頁


■ 全巻構成

第1巻 民衆思想史の立場 (第1回/2013年1月25日発売)

第2巻 民衆運動の思想 (第2回/2013年2月26日発売)

第3巻 宗教とコスモロジー (第3回/2013年3月26日発売)

第4巻 近代化日本の深層

第5巻 戦後知と歴史学

第6巻 方法としての思想史


■ 特色

◎ 1960年代から半世紀にわたり執筆された著作群から精選した著書・論文・評論などを,六つのテーマ別に編成.

◎ 各分野の第一線で活躍する編集陣が,著者の研究の軌跡を体系的に再構成,現在の問題意識から新たな光を当てる.

◎ 各著作に著者自身による「解題」を付す.

◎ 各巻に編者による「解説」を収める.

◎ 第6巻に,編者四人による「座談会」,および「著作目録」を収める.


■ 編者より

持続する知的な衝撃
成田龍一(日本女子大学教授.日本近現代史)
安丸良夫の「日本の近代化と民衆思想」(1965年)を読んだときの衝撃は,いまだに忘れられない.高度成長のただなかでの安丸の思索は,近代日本社会の深部と人間存在の奥にまで入り込んでいた.安丸は,対象の設定と分析の方法に注意を払い,歴史学におけるあらたな視座をきりひらいたが,その営みは以後も倦むことなく持続された.その全容がいま,ここに開示される.

骨太かつ繊細な思考
島薗 進(東京大学教授.宗教学)
宗教的な回路を通してこそ形を現してくる民衆の思考をどのように捉えればよいか? 今を生きる私たちの生活意識の地平に即して歴史を理解するには,この問いに答えることが欠かせない.安丸良夫はそのように考えて,民衆宗教と通俗道徳の思想という鉱脈を掘り当て,掘り起こし続けた.この著作集によって私たちはその足跡をたどり直し,あらためてこの歴史家の骨太でかつ繊細な思考と,日本人の宗教性の奥深い理解に圧倒されることだろう.

時代とむきあう思想史
若尾政希(一橋大学教授.日本近世史・思想史)
民衆思想史を基軸に置き,時代状況とむきあうことを通して,切実な課題を選び取り,挑み続けてきた安丸良夫の研究の軌跡.それは,安丸自身の主体形成の軌跡であるだけでなく,そこには1960年代から現在までの日本の時代史が刻印されている.この著作集によって,安丸が時代とむかいあい主体形成を遂げてきた,そのプロセスを読み込んでほしい.それにより,時代とむきあう新たな主体が形成されることを願うものである.

聖者にしてはいけない
岩崎 稔(東京外国語大学教授.哲学・政治思想)
日本史を専門とするひとたちは,安丸史学が豊饒な世界であることを知っている.しかし,安丸良夫を歴史家たちの申し分のない聖者にしてはいけない.安丸の手で描かれる歴史的敗者たちの姿は,自足する歴史家のサークルを飛び越して,この時代のありとあらゆる知と感受性を激しく揺さぶる力がある.このテクストが,ずっと遠くまで届いてほしい.どこか孤独にも見えるこの歴史家の透徹した思索は,どこまでも危険で不穏な知性なのだ.


■ 著者略歴

安丸良夫(やすまる よしお)
1934年,富山県生まれ.京都大学大学院文学研究科博士課程修了.日本思想史専攻.名城大学を経て,一橋大学教授,早稲田大学大学院客員教授などを歴任.一橋大学名誉教授.「通俗道徳」論の提示をはじめ,民衆思想史の研究を中心に歴史学の方法と可能性を拓いてきた.





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