そうだったんだ!日本語

正書法のない日本語

現代でこそ唯一表記への強い志向がはたらいているが,日本語には万葉集以来ずっと書き方の多様性があった.

正書法のない日本語
著者 今野 真二
ジャンル 書籍 > 単行本 > 言語
シリーズ そうだったんだ!日本語
刊行日 2013/04/24
ISBN 9784000286213
Cコード 0381
体裁 B6 ・ 並製 ・ カバー ・ 202頁
在庫 品切れ
正書法とは正しい書き方のこと.日本語にはそれがない.漢字と二種類の仮名があり,あてられる漢字も一つとはかぎらないから選択肢が複数あり,どれを選んでも間違いではないのだ.現代でこそ唯一表記への強い志向がはたらくようになったものの,日本語には万葉集以来ずっと書き方の多様性があった.表記を通してみた日本語の歴史.

■ 全巻構成


正書法のない日本語
今野真二
「怪しい/妖しい」のような「書き分け」にはどんな意味があるのだろう.世界でも例がないユニークな表記法はどうして生まれたのか.

日本語は親しさを伝えられるか
滝浦真人
敬して遠ざける敬語は発達していても,親しく交わる手段に乏しい標準語.その成立事情と将来を見通す画期的なコミュニケーション論.

黒船来航 日本語が動く
清水康行
日米和親条約の締結後に浮上した日米間の解釈の相違.責任を問われ退場となった漢文.公的文書の表現は緊迫する外交交渉でどう鍛えられたのか.

子どものうそ,大人の皮肉
――ことばのオモテとウラがわかるには
松井智子
ありのまま本当のことばかり言えないのが世の常.でも,曖昧さに気づいたり,皮肉を皮肉と受け取ったりするのは,実は高度な言語技能なのだ.

相席で黙っていられるか――日中言語行動比較論
井上 優
なんで偉そうな挨拶をするの? なんで初対面で立ち入った質問をするの? 日本人と中国人,理解に苦しむ言動も見方をちょっと変えればわかりあえる.

近代書き言葉はこうしてできた
田中牧郎
明治中期~昭和初期の雑誌『太陽』を調べると,現代につながる語彙と語法がこの時代に急速に整えられた様子がわかる.ことばの栄枯盛衰物語.

旅するニホンゴ――異言語との出会いが変えたもの
渋谷勝己,簡 月真
「ミーのボーイは……」.移民や植民地支配により異国に持ち込まれた日本語は,現地で変貌を遂げつつも,今なお息づいている.

日本語の観察者たち――宣教師からお雇い外国人まで
山東 功
大航海時代に来日した宣教師たちは,「格変化も性も数もない」けれど「豊富で典雅」な日本語に驚いた.外から見えた日本語の姿.

じゃっで方言なおもしとか
木部暢子
種子島の「こんにちは」は「きょーわめっかりもーさん」(=今日はお目にかかりません).方言には共通語にない発想がたくさんある!

コレモ日本語アルカ?――異人のことばが生まれるとき
金水 敏
漫画の「中国人キャラ」はどうして「ワタシ○○アルヨ」と言うのか.横浜居留地と旧満洲に,この奇妙な役割語のルーツを探る.
井上 優 (いのうえ まさる・麗澤大学教授)
金水 敏 (きんすい さとし・大阪大学教授)
窪薗晴夫 (くぼぞの はるお・国立国語研究所教授)
渋谷勝己 (しぶや かつみ・大阪大学教授)

書評情報

日本語の研究 第9巻4号(2013年10月)
文藝春秋 2013年8月号
日本語学 2013年8月号
夕刊フジ 2013年5月15日
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