辻惟雄集 1

「かざり」の美術

日本美術の特質を論じる名著『日本美術の見方』を総論とし,「かざり」の美術の各論4本を収録.

「かざり」の美術
ジャンル 書籍 > 単行本 > 芸術
書籍 > シリーズ・講座・全集
シリーズ 辻惟雄集
刊行日 2013/06/27
ISBN 9784000286510
Cコード 0371
体裁 菊判 ・ 上製 ・ 函入 ・ 254頁
定価 3,520円
在庫 在庫あり
日本美術の特質とはなにか.その本質を「かざり」「あそび」「アニミズム」に見出す著者の名著『日本美術の見方』を総論とし,「かざり」の美術の各論として4本の重要論考を収録.明治期以来細分化されてきた日本美術への眼差しを今一度高い視点に戻し,その全体像を透徹した審美眼でとらえなおす.(解説=青柳正規)

■ 編集にあたって

辻惟雄氏は,定説にとらわれることなく,新鮮な美の発見に挑戦し続け,豊かなパースペクティヴのもと,つねに日本美術の特質はどこに求められるのかを考えてきました.刺激に満ち,読者を知的興奮へ導く数々の研究論文や著書は,この分野の学問的水準を飛躍的に高めました.
 氏は,岩佐又兵衛,伊藤若冲,曾我蕭白など,きわめて強い個性を発揮した特異な近世画家を〈奇想の画家〉として正当に位置づけ,多くの人々の圧倒的な支持を得ました.また,狩野派の基礎を築いた元信などの基準作を確定し,様式の変遷を追い,さらに奇想的性格をもつ山雪に初めて着目しました.そして,日本美術史を再び広やかな視野からとらえ,研究を活性化させるために,日本美術の特質を見極め,それが〈かざり〉〈あそび〉〈アニミズム〉にあることを見抜きました.
 氏の膨大な著作から,とくに重要で興味深く,また示唆に富むものを集めて,六巻にまとめたのが『辻惟雄集』です.日本美術のかつてない豊かな姿がここに浮かび上がってきます.
 2013年3月
河野元昭


◆ 第1巻
「かざり」の美術
◆ 第2巻 
「あそび」とアニミズムの美術
◆ 第3巻 
障屏画と狩野派
◆ 第4巻 
風俗画の展開
◆ 第5巻
又兵衛と山雪
◆ 第6巻
若冲と蕭白


■ 特色
◎ 日本美術の豊かな表現世界を発見・提示してきた氏の研究を俯瞰する初の選集.
◎ 氏の研究の主要な三本の柱「日本美術の特質」「狩野派と風俗画」「奇想の画家」から,とくに重要で興味深く,また示唆に富む論考を厳選.
◎ 「日本美術の特質」をあつかう第1,2巻では,総論と「かざり」の美術,「あそび」とアニミズムの美術,白隠,仙厓,円空,木喰,源道らに関する論考を収録.
◎ 「狩野派と風俗画」をあつかう第3,4巻では,狩野派の成立と展開,画家の同定,洛中洛外図,風俗画,北斎などに関する論考を収録.
◎ 「奇想の画家」をあつかう第5,6巻では,岩佐又兵衛,狩野山雪,伊藤若冲,曾我蕭白,長沢芦雪らに関する論考を収録.
◎ 各巻モノクロ挿図を配し,読者の理解を助ける.


■ プロフィール

辻 惟雄(つじ のぶお)
1932年名古屋市生まれ.東京大学大学院博士課程退学(美術史),東京国立文化財研究所美術部技官,東北大学文学部教授,東京大学文学部教授,国立国際日本文化研究センター教授,千葉市美術館館長,「国華」主幹,多摩美術大学学長をへて,現在MIHO MUSEUM館長.東京大学・多摩美術大学名誉教授,日本美術史専攻.

■編集委員

青柳正規(国立西洋美術館長)

河野元昭(秋田県立近代美術館館長)

小林 忠(学習院大学名誉教授)

酒井忠康(世田谷美術館館長)

佐藤康宏(東京大学教授)

山下裕二(明治学院大学教授)

書評情報

日本歴史 2014年3月号
毎日新聞(朝刊) 2013年8月25日
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