ヒドラ 怪物?植物?動物!


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編集部だより
著者からのメッセージ

 学生時代,同じサークルの仲の良い友人から,ふと,「お前が実験しているのは,何やったっけ? ラドンやったっけ?」と尋ねられたことがあります.「えっ?ラドンは怪獣やろ?ヒドラやぞ」とあせって答えましたが,分野違いとはいえ,仲の良い友人ですらこういう状況なのですから,「ヒドラ?何それ?」と思われる方はとても多いのではないでしょうか.
 ヒドラは,切り刻んでもすり潰しても元通りに再生でき,さらに若返り能力や生き返り能力さえももつ,不老不死ともいえる生き物です.そのくせ,海にすむヒドラを水道水につけたりすると一瞬で死んでしまったりするのです.強いのか,弱いのかさえよくわからない,とても不思議な生き物なのですが,特に実体顕微鏡の下で見ると,淡い透明なピンク色をした花のようで,震えるほどに美しく神秘的な姿をしています.
 ヒドラとはいったい,何者なのだろうか?いやそれ以前に,自分がいったい何者なのか,なんとなくわかりつつあるような,まだわからないような状態のまま生きている筆者なのですが,とにかく,ヒドラの美しさと面白さに魅せられてしまった人間(ヒトら)の一人であることには間違いありません.本書では,ヒドラの驚異の能力や面白さと同時に,その美しさも伝えることができたらいいなと思っています.
 愛しのヒドラの世界,「ヒドラ・ワンダーランド」へ,ようこそ!
――「はじめに」より


著者紹介

山下桂司(やました けいじ)
1958年長崎県五島列島生まれ.兵庫県姫路市在住.1985年鹿児島大学大学院理学研究科修了.2004年,「ベニクダウミヒドラ・アクチヌラ幼生の着生に関する研究」により博士(農学)号取得(東京大学).1992〜1996年,新技術事業団(現 科学技術振興機構)ERATO研究員.2006年より(株)セシルリサーチ取締役社長.会社は,海洋付着生物関連の調査・研究に特化したビジネスを展開している.本人は,毎日,経営者と研究者の融合実験にいそしんでいる.兵庫県立大学客員研究員,日本付着生物学会運営委員.主な著書は『フジツボ類の最新学』(分担執筆,恒星社厚生閣).趣味はスキンダイビング,卓球,水族館めぐり.毎夏,帰省の際に,故郷の海で潜ることを楽しみにしている.


目次

1 ヒドラって何?
ヒドラって怪獣?/分類上の位置と仲間たち/体のつくりと形/風船と見せかけて――マルチタレント細胞群/ヒドラはどこにいる?
 
COFFEE BREAK
ジェリーフィッシュ・ライダー
2 ヒドラの摩訶不思議な一生
さまざまな一生のパターン/子どもとクローン/泳ぐ? 這いまわる?じっと待つ?/決断のとき
 
COFFEE BREAK
太陽と月の粒子
3 海に浮かぶ宝石――アクチヌラ幼生
運命の出会い/海に浮かぶ宝石/極小ミサイルでペタペタ/溶岩流の中で/溶岩流の中での一次付着/アクチヌラのタコ踊り/出会った瞬間に,ビビッと
 
COFFEE BREAK
産業の場に意外な楽園
4 ヒドラのおそるべき能力
切り刻んでも,すりつぶしても元通り/多能性幹細胞を超えて/一生はリバーシブル/ハイヒール・タップダンサー/しなやか神経系/ヒドラは考える……
 
COFFEE BREAK
イソギンチャクのピンポンダッシュ
ミズクラゲの鬼ポリプ
5 出会いと共生のストーリー
巻貝とのランデブー/ニンギョウヒドラの土俵入り/ひきこもりヒドラ/全身をヒドラでおおわれた魚/藻類とヒドラ/爆弾どろぼう
 
COFFEE BREAK
ヤドカリとイソギンチャク
6 ヒドラとヒトら
それはデルフトからはじまった/海へ ,そして海を越えて/昭和天皇とヒドラ/ヒドラとヒトら
 
COFFEE BREAK
ポリプとタコ
ヒドラつながり
付録 海のヒドラを探してみよう!


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