岩波科学ライブラリー 191

なぜ地球だけに陸と海があるのか

地球進化の謎に迫る

海の中で大陸が生まれる――この新説を打ち立て地球進化の謎解きに挑む科学者たちの営みをスリリングに描く.

なぜ地球だけに陸と海があるのか
著者 巽 好幸
ジャンル 書籍 > 単行本
書籍 > 自然科学書
書籍 > シリーズ・講座・全集
書籍 > 岩波科学ライブラリー > 宇宙・地球
日本十進分類 > 自然科学
シリーズ 岩波科学ライブラリー
刊行日 2012/03/15
ISBN 9784000295918
Cコード 0344
体裁 B6 ・ 並製 ・ カバー ・ 126頁
在庫 品切れ
地球は太陽系唯一,陸と海のある惑星だ! 秘密のカギは地球進化にある.著者らは日本列島の南へ延びる沈み込み帯(伊豆-小笠原-マリアナ弧)での驚きの発見から,新説「海の中で大陸が生まれる」を打ち立て,地球進化の謎解きに挑む.キーワードはサブダクションファクトリーや反大陸.科学的営みをスリリングに描く.

■編集部からのメッセージ

惑星地球を際立たせている特徴の一つは,ケイ素などの軽い元素が濃集する大陸が存在すること――つまり,陸と海があることです.地球は太陽系唯一,大陸のある惑星なのです.では,それはなぜでしょうか? これは,地球進化を語る際に避けて通れない根本的な問題です.
 本書は,陸惑星地球がどのように形成されたか,という話からはじまります.そして,1996年,著者がまるで「脳天杭打ち」を食らわされたようだと表現する,驚きの論文が「サイエンス」誌に発表される話で大転換をみます.「脳天杭打ち」の内容とその後の研究の展開は,本書を読んでのお楽しみ.ちょっとだけお教えすると,著者はその後の調査を経て「海で大陸が生まれる」という仮説をつくり上げます.本書の後半では,このまるで禅問答のような仮説から,どのような地球の進化史が予想されるのか,仮説検証のためには何をすればよいのかを,推理小説で犯人を追及するかのごとくのスリルをともなって紹介します.
 あなたの地球観が大きく変わること間違いなし.どうぞ,この地球の営みを明らかにしようとするダイナミックな物語をご堪能ください.
  まえがき

1 プロローグ──陸惑星地球

  地球──大陸をもつ太陽系唯一の惑星
  惑星の形成プロセス
  地球の誕生プロセス
  地球内部の層構造とその成因
  大陸と海の違い

2 大陸地殻──その性質と謎

  マグマ発生の基本原理
  プレートテクトニクスと海洋地殻のでき方
  大陸地殻をつくる沈み込み帯
  安山岩の成因
  二種類の安山岩のつくり方
  大陸地殻形成の謎と驚きの発見──大陸弧と海洋島弧

3 プロジェクトIBM──海で生まれる大陸

  IBM弧の成り立ち
  IBM弧の地殻・マントル構造
  大陸地殻のつくり方──モデルとその検証
  大陸地殻が安山岩質になる理由──透明なモホ面の役割
  成熟した大陸への道──反大陸のデラミネーションと島弧衝突

4 サブダクションファクトリー──その地球進化における役割

  サブファクの原材料と製品、その製造工程
  サブファクの廃棄物とその行方
  ホットスポットとマントル深部の化学的特徴
  サブファク廃棄物の熟成とリサイクル

5 エピローグ──なぜこの惑星は地球なのか?

  熱機関としての地球
  マントル対流とプレートテクトニクス
  なぜ地球は水惑星なのか?
  地球における水と炭素の分布

  あとがき
巽 好幸(たつみ よしゆき)
1954年大阪生まれ.京都大学理学部卒業,東京大学大学院理学系研究科博士後期課程修了.マンチェスター大学研究員,京都大学大学院理学研究科教授,東京大学海洋研究所教授などを経て,現在(独)海洋研究開発機構地球内部ダイナミクス領域プログラムディレクター.沈み込み帯のマグマ学への貢献により2003年度日本地質学会賞,2011年度日本火山学会賞受賞. 著書に『いちばんやさしい地球変動の話』(河出書房新社),『地球の中心で何が起こっているのか』(幻冬舎新書),『安山岩と大陸の起源』『沈み込み帯のマグマ学』(以上,東京大学出版会),共著書に『地殻の形成』 『地球内部ダイナミクス』(岩波書店)などがある.

書評情報

毎日新聞(朝刊) 2012年4月29日

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