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2024.03.13
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岩波科学ライブラリー
数の発明
パスカルは「0から4を引けば0」と述べ,インドでは負かける負が正なのは常識だった.はたして数とは何か.
著者 | 足立 恒雄 著 |
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通し番号 | 219 |
ジャンル | 書籍 > 自然科学書 > 岩波科学ライブラリー 書籍 > 岩波科学ライブラリー > 数学 日本十進分類 > 自然科学 |
シリーズ | 岩波科学ライブラリー |
刊行日 | 2013/12/20 |
ISBN | 9784000296199 |
Cコード | 0341 |
体裁 | B6 ・ 並製 ・ カバー ・ 116頁 |
在庫 | 品切れ |
パスカルが「0から4を引けば0である」と述べた頃,インドでは「負数に負数を掛けると正数を得ることは羊飼いでも知っている」と書かれた.文化や時代によって数の捉え方は異なり,現代数学でも定義の仕方は単一でなく,いろいろなスタイルがある.数概念の発展を見ることで,数学とは何かという大きな問いへの答えに迫る.
■著者からのメッセージ
私が書いた数に関する著述の中で一番古いのは,雑誌『数理科学』の1990年4月号に載った「数体系の発展史」である.それから勘定すると,もう23年も経っていることになる.私としては自分が関心を持ったことは一応調べ終わったと思ったので,今回本書で一区切りをつけることにした.したがって本書は私の数に関する著述の「総集編」ということになる.
本書の題名『数の発明』はちょっと奇を衒っているように思われるかもしれない.たとえば負数や無限小数を数と観るなどは発明以外の何ものでもない.数は,自然数ですら「物そのものの性質」ではなく,「時間」や「空間」がそうであるように,人類が対象を把握する「装置」なのだと私は考えたい.真理に至る道はたくさんあるというよりは,真理そのものが多様であって,本当の姿などというものは最初から存在しないと言いたいのである.
本書が読者に,数学的真理とは何かという問題,そして人間とは何かという問題を考えていただくきっかけとなれば望外の喜びである.
■著者からのメッセージ
私が書いた数に関する著述の中で一番古いのは,雑誌『数理科学』の1990年4月号に載った「数体系の発展史」である.それから勘定すると,もう23年も経っていることになる.私としては自分が関心を持ったことは一応調べ終わったと思ったので,今回本書で一区切りをつけることにした.したがって本書は私の数に関する著述の「総集編」ということになる.
本書の題名『数の発明』はちょっと奇を衒っているように思われるかもしれない.たとえば負数や無限小数を数と観るなどは発明以外の何ものでもない.数は,自然数ですら「物そのものの性質」ではなく,「時間」や「空間」がそうであるように,人類が対象を把握する「装置」なのだと私は考えたい.真理に至る道はたくさんあるというよりは,真理そのものが多様であって,本当の姿などというものは最初から存在しないと言いたいのである.
本書が読者に,数学的真理とは何かという問題,そして人間とは何かという問題を考えていただくきっかけとなれば望外の喜びである.
――本書「まえがき」より抜粋,一部改変
まえがき
1 数概念の起源
1 基数
2 量
3 負数
4 複素数
2 現代における数体系
1 自然数の素朴な定義
2 公理・公準で規定する方法
3 集合論を使う方法
4 論理的に定義する方法
5 その他の数
3 数学とは何か
1 「聖」と「俗」
2 純粋数学の成立
3 数学者は本当に聖なる種族か?
4 群の場合で考える
5 完全性定理―聖と俗をつなぐ
6 歴史メモ
4 現代における数体系(補足)
1 実数体
2 連続性
3 自然数・整数・有理数
4 複素数体
問題略解
参考文献
1 数概念の起源
1 基数
2 量
3 負数
4 複素数
2 現代における数体系
1 自然数の素朴な定義
2 公理・公準で規定する方法
3 集合論を使う方法
4 論理的に定義する方法
5 その他の数
3 数学とは何か
1 「聖」と「俗」
2 純粋数学の成立
3 数学者は本当に聖なる種族か?
4 群の場合で考える
5 完全性定理―聖と俗をつなぐ
6 歴史メモ
4 現代における数体系(補足)
1 実数体
2 連続性
3 自然数・整数・有理数
4 複素数体
問題略解
参考文献
足立恒雄(あだち のりお)
1941年生まれ.早稲田大学理工学部数学科卒業,東京工業大学大学院理学研究科博士課程修了.早稲田大学理工学部教授,学部長,学術院長などを経て,現在,早稲田大学名誉教授.理学博士.
専門:代数的数論,数学思想史.
主著:『数学から社会へ+社会から数学へ――数学者の目で世相を観る』(東京図書),『フレーゲ・デデキント・ペアノを読む――現代における自然数論の成立』(日本評論社),『新版 楽しむ数学10話』(岩波ジュニア新書),『数とは何か,そしてまた何であったか』(共立出版),『フェルマーの大定理――整数論の源流』(ちくま学芸文庫)
1941年生まれ.早稲田大学理工学部数学科卒業,東京工業大学大学院理学研究科博士課程修了.早稲田大学理工学部教授,学部長,学術院長などを経て,現在,早稲田大学名誉教授.理学博士.
専門:代数的数論,数学思想史.
主著:『数学から社会へ+社会から数学へ――数学者の目で世相を観る』(東京図書),『フレーゲ・デデキント・ペアノを読む――現代における自然数論の成立』(日本評論社),『新版 楽しむ数学10話』(岩波ジュニア新書),『数とは何か,そしてまた何であったか』(共立出版),『フェルマーの大定理――整数論の源流』(ちくま学芸文庫)
書評情報
しんぶん赤旗 2014年5月11日