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岩波科学ライブラリー

数学 想像力の科学

数は実在しないが,数というラベルを付ければ,全体の量や相互関係や未来を類推できる.それが数学だ.

数学 想像力の科学
著者 瀬山 士郎
通し番号 222
ジャンル 書籍 > 自然科学書 > 岩波科学ライブラリー
書籍 > 岩波科学ライブラリー > 数学
日本十進分類 > 自然科学
シリーズ 岩波科学ライブラリー
刊行日 2014/02/04
ISBN 9784000296229
Cコード 0341
体裁 B6 ・ 並製 ・ カバー ・ 116頁
在庫 品切れ
1,2,3,…という数が実在するわけではない.私たちはある具象物に対して,1,2,3,…というラベルを付けることで,全体の量や相互の関係を類推することができるのです.さらに具象物を構成する点や線を数値化することで未知なるものの形や性質を議論できます.そこにリアリティが出現する.これが数学であることを語ります.



■編集部からのメッセージ
 「数学」と聞いて,わたしには関係ないとそのまま一切受け付けないという方もいれば,それはどんな数学,何をテーマに,とますます関心を抱く方もいるでしょう.物理マニアとか,化学マニアというのはあまり聞きませんが,数学マニアというよく耳にする言葉です.それほど,数学には独特の楽しみ方があります.
 この本は,どちらかといえば,前者の数学はどうも,という方々にぜひオススメしたい1冊です.この本を読めば,数学を遠ざけてきた人でも,4次元立方体の展開図がスラスラ描けるようになるから不思議です.もちろん数学には自信があるという方も,あらためて数学とはどんな学問なんだろうと再考してみるには絶好の本です.1,2,3,…という数のリアリティはどこから来るのか,+や-という記号なくして,あるいはa,b,c,…という文字記号なくして数学を語ることはできるのかといった問にも,数学の何千年の歴史や先人の知恵が感じられます.
 もっとも,この本の魅力は,「数学がわかる/わからない」の境界はどこにあるのかを教えてくれることにあるともいえます.そのキーワードが「想像する」です.
 虚数の虚数乗(√-1の√-1乗)がどんな数になるのかを教えてくれるのも,想像力の科学としての数学の威力です.
 数学がカバーする範囲は広大ですが,その基礎にある数学らしい見方・考え方を一覧できる本として,ぜひご覧ください.
1 想像力で見ること/想像力で見えること
2 数学――想像力の科学
3 次元を超えて――空間を想像する力
4 虚数はあるのか――数を想像する力
5 無限を眺める――無限を想像する力
6 意味と形式,そして想像力
7 数学におけるリアリティ――結びにかえて
読書案内
瀬山士郎(せやま しろう)
1946年群馬県生まれ.1970年東京教育大学大学院理学研究科終了.専門は位相幾何学,グラフ理論.1970年群馬大学教員となり,2011年定年退職.群馬大学名誉教授.放送大学群馬学習センター客員教授.在職中に数学教育協議会会員となり現在副委員長.退職後は一数学愛好家に戻り数学を楽しんでいる.群馬大学時代はおもに教養数学を担当し,楽しく面白い数学をモットーに,数論,幾何学,パズル学,算数学など様々な分野の数学を講義する.少年時代からSF,探偵小説,怪談を愛読し,友人たちと月1回の児童文学の読書会を開いて40年近くになる.趣味はパズル玩具と動物の頭骨の収集.夢は4次元空間を見ることと,2035年の北関東皆既日食を見ること.
著書『バナッハ・タルスキの密室』(日本評論社),『読む数学』(角川文庫),『はじめての現代数学』(ハヤカワ文庫),『ぐにゃぐにゃ世界の冒険』(福音館書店),『計算のひみつ』(さ・え・ら書房)他.

書評情報

朝日新聞(朝刊) 2014年3月30日

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