決定版 機密を開示せよ

裁かれた沖縄密約

密約を認めながら「ないものはない」とした司法.特定秘密保護法まで続く対米外交の歪みをえぐり出す.

決定版 機密を開示せよ
著者 西山 太吉
ジャンル 書籍 > 単行本 > 社会
刊行日 2015/02/24
ISBN 9784000610254
Cコード 0036
体裁 B6 ・ 並製 ・ カバー ・ 222頁
在庫 品切れ
アメリカ国立公立文書館の開示文書や交渉当事者の証言により証明された「沖縄密約」.政府は頑なに否定してきたが,情報公開訴訟で東京地裁は画期的な判決を下した.「機密を開示せよ」.しかし,東京高裁,最高裁は密約の存在を認めながら「ないものはない」として原告敗訴とした.原告の立場からその経緯を描き,特定秘密保護法まで続く対米外交の歪みをえぐり出す.


■編集部からのメッセージ
 アメリカ国公立文書館の開示文書や交渉当事者の証言により証明された「沖縄密約」.政府は頑なに否定してきましたが,情報公開訴訟で東京地裁は画期的な判決を下しました.「機密を開示せよ」.しかし,東京高裁,最高裁は密約の存在を認めながらも「ないものはない」として原告を敗訴としました.
 原告の立場からその経緯を描き,特定秘密保護法まで続く対米外交の歪みをえぐり出します.国民には密約について知る権利があります.
はじめに

第一章 密約の公開を求めて

第二章 三つの密約文書

第三章 裁判(第一審)と訴訟指揮
 1 自民党政権の下で
 2 民主党政権の下で

第四章 密約調査
 1 外務省の調査
 2 財務省の調査
 3 衆院外務委員会の参考人招致

第五章 杉原判決とその意義
 1 全面勝訴――認定された密約
 2 原告の主張立証責任問題
 3 過去への決別

第六章 東京高裁判決と問題点
 1 判決――大勝利と大敗北
 2 上告とその理由

第七章 最高裁判決の反動性――情報公開の精神は蹂躙

第八章 特定秘密保護法の登場――政権による危険な情報操作

おわりに
西山太吉(にしやま たきち)
1931年,山口県生まれ.慶應義塾大学大学院修士課程修了後,毎日新聞社に入社し,経済部,政治部記者.72年,沖縄返還にからむ密約取材をめぐり,国家公務員法違反容疑で逮捕された.一審は無罪,二審で逆転有罪,78年,最高裁で確定(懲役4ヵ月,執行猶予1年).一審判決後に退社し,91年まで福岡県北九州市の青果会社に勤務.2000年以降,密約を裏付ける米公文書などの報道が相次ぐ中,05年,謝罪と損害賠償を国に求めて提訴したが,敗訴.他方で08年,外務省,財務省への情報公開請求に加わったが,文書の「不存在」を理由に「不開示」処分.改めて密約文書開示請求訴訟(原告25名)を起こし,10年4月,東京地裁で全面勝訴した.国側は控訴し,11年9月,東京高裁は原告の請求を棄却,14年7月には最高裁で上告棄却.著書に『沖縄密約』(岩波新書,2007年)がある.
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