10代からの情報キャッチボール入門

使えるメディア・リテラシー

ネット時代のいま,情報の被害者・加害者にならないために,四つの「ギモン」と「ジモン」を学ぼう!

10代からの情報キャッチボール入門
著者 下村 健一
ジャンル 書籍 > 単行本 > 社会
刊行日 2015/04/24
ISBN 9784000610414
Cコード 0036
体裁 四六 ・ 158頁
定価 1,760円
在庫 在庫あり
「今年の12月に人類滅亡だって!」君のLINEに友だちからこんなメッセージが届いたら,どうする?ネット上には無数の情報が飛び交い,誰もが簡単に情報の被害者にも,加害者にもなってしまう. 4つの「ギモン」と「ジモン」を学べば,誰でもしっかりと情報を受け取り,届けることができる.現代を生きるための実践ガイドブック.

■編集部からのメッセージ

 「今年12月に人類滅亡だって!」 こんなメッセージが,あなたのラインに届いたらどうする?――本書はこんな刺激的な問題提起ではじまります.ネットには無数の情報が飛び交い,私たちは,そうした情報の洪水の中で生活をしています.にもかかわらず,情報の扱い方(受信や発信の仕方)について,きちんと学ぶ機会は皆無と言っていいでしょう.そのために,誰もが無意識のうちに,情報の被害者にも加害者にも簡単になってしまいます.特に,いまの若い人たちは,LINEにツイッターにフェイスブックに,とネットにどっぷり浸かった生活を送っており,情報の被害者・加害者になる心配がより切実なものとなっています.
本書の著者,下村健一さんは,かつてTBSのキャスターとして数々の現場レポートをこなし,また,菅直人首相の時には,内閣府の広報担当としても活躍しました.このように,様々な状況で情報を扱ってきた,いわば「情報のプロ」です.今年度から使用される小学五年生用「国語」教科書(光村図書)では「想像力のスイッチを入れよう」と題してメディア・リテラシーについて執筆しています.
その下村さんが,「4つのギモン」と「4つのジモン」という独自の方法を通して,確かな情報の受け取り方,発し方を伝授します.10代の若い人たちにも理解できるように,易しい文章と多くの具体的な事例によって学べるような作りになっています.若い人たちから大人まで幅広く読まれ,実際に役に立つことのできる本を目指しています.学校でメディア・リテラシーを教える先生などにも,おすすめの一冊です.


■コロナ禍のいまこそ本書を活用するために 著者・下村健一さん特別寄稿(2021年7月)

 下村健一『10代からの情報キャッチボール入門――使えるメディア・リテラシー』は2015年の刊行以来、たくさんの方々に読みつがれ、このたび10刷の重版が決定しました。いまコロナ禍において、メディア・リテラシーの必要性が緊急度を増して高まっています。今回の重版に合わせ、著者・下村健一さんより特別にご寄稿いただきました。

2021年7月
岩波書店編集部

■10刷に寄せて――デマウィルスに感染しない抗体を身に付けよう

 「ワクチンにはマイクロチップが混入されている」「コロナのせいでトイレットペーパーがなくなる」「ぬるま湯を飲めばウィルスには感染しないと専門家が言っている」――新型コロナウィルスが全世界に感染を拡大させて以降、こうした不確実な情報や明らかに間違った情報がたびたび大流行(インフォデミック)を起こして、人々を振り回しています。
 ウィルス本体よりも格段に感染力が強いこうしたデマウィルスは、SNSに乗って人から人へと拡散する中で少しずつ言葉を変えて“変異株”が次々に生み出されるので、なかなか根絶できません。これからもまた、突然“新種”が現れて一気に私たちをパニック行動に陥れるかもしれません。
 こうしたデマウィルスに出逢ってもそう簡単に感染しない《抗体》を、大至急一人一人が身につけなければいけません。そのためのワクチンとして、拙著『10代からの情報キャッチボール入門――使えるメディア・リテラシー』で紹介している《4つのギモン》(チェックポイント)をぜひ実践してみてください!
 おかげさまで同書は、このほど10回目の増刷を迎えることができました。副題にあります通り、これは“読む”本というより、“使う”本です。「情報」という名前の球がますます大量にキャッチボールされる昨今、暴投や落球(エラー)であなた自身が惑わされることがないよう、そして社会がこれ以上無用な混乱や分断に陥ることがないよう、1人でも多くの方々にご活用いただきたいと強く願っております。

※新型コロナウィルスに関する「情報」をどう受けとめればよいか。本書の内容を活用しながら、私が解説している以下の動画もぜひご参照ください。

 » 経産省「未来の教室」内『STEAMライブラリー』解説動画1〜6

2021年夏
著者 下村健一
はじめに──人類滅亡を知らせるLINE

第1章 ネット時代の情報キャッチボール
 一日で一番,時間を費やしているのは?
 一番,教わったことがないものは?
 ある市議のブログに書かれた下村の「正体」
 どっちがホント? 読者と市議のエスカレート
 「自分でもわからない」「本当に恐ろしい」
 謝っても越えられない,四つのハードル
 ウィキペディアが伝える「下村健一」
 まとめ! 誰もが,情報の被害者・加害者に

第2章 情報をしっかり受け取るための4つのギモン
 ギモン1 まだわからないよね?──結論を即断するな
 ギモン2 事実かな? 意見・印象かな?──ゴッチャにして鵜呑みにするな
 “仕分け”と“排除”は違う
 ギモン3 他の見え方もないかな?──一つの見方に偏るな
 ギモン4 隠れているものはないかな?──スポットライトの周囲を見よ
 スポットライトに,悪意はあるか
 まとめ! 実は,とっくに身に付けていること

第3章 情報をしっかり届けるための4つのジモン
 君も全世界に情報発信ができてしまう
 発信と受信は,コインの表裏──まず,ギモン1~4をそのまま自分に向け直そう
 ジモン1 何を伝えたいの?──《明確さ》
 ジモン2 キメつけてないかな?──《正確さ》
 ジモン3 キズつけてないかな?──《優しさ》
 ジモン4 これで伝わるかな?──《易しさ》
 まとめ! 《思いやり力》と《汗の総量一定の法則》

第4章 情報のキャッチボールが社会をつなぐ
 インターネットを離れても
 民主主義は情報キャッチボールへの参加から
 情報キャッチボールで政治も変わる
 全否定でも,全肯定でもなく
 まとめ! 今年,人類は滅亡する?

あとがき
下村健一(しもむら けんいち)
1960年生まれ.東京大学法学部政治コース卒業.1985年,TBS入社.報道アナ,現場リポーター,企画ディレクターとして活躍.2000年以降,フリーとして「筑紫哲也 NEWS23」「みのもんたのサタデーずばッと」などで取材キャスターを続ける一方,市民グループや学生,子どもたちのメディア制作を支援する市民メディアアドバイザーとして活動.2010年10月~2013年3月,内閣審議官(満了後は契約アドバイザー)として官邸の情報発信担当.
東京大学客員助教授,慶應義塾大学特別招聘教授,関西大学特任教授を経て,現在,白鴎大学特任教授,若手メディア人の研鑽の場「令和メディア研究所」主宰,JMA(インターネットメディア協会)リテラシー部会担当.
著書に『想像力のスイッチを入れよう』(講談社),『窓をひろげて考えよう』(絵本,かもがわ出版),『首相官邸で働いて初めてわかったこと』(朝日新書)など.
2015年度から小学5年国語教科書(光村図書)に,本書に準拠した「想像力のスイッチを入れよう」を掲載.
【公式サイト】http://shimomuraken1.com/

受賞情報

平成28年度児童福祉文化賞推薦作品
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